第80話 学年美少女と勉強会 その1

「三國君…。顔を“にやつかせて”いる所悪いけど……私はスパルタだよ…!」

「甘い勉強会だと思わないでね…!」

「親友とは言え、容赦はしないから!!」


 伊藤さんは顔をしかめて、非常に厳しい口調で言ってくる!?

 間違えたら定規で、手でも叩かれるのだろうか!?


「時間も惜しいしから始めるよ」

「三國君のクラスは、今日はどの辺をやったの?」


 伊藤さんは俺の了解を得ずに、二人での勉強会が開催された!

 伊藤さんは澄ました表情で、俺に聞いてくる。


「あっ、今日はこの辺を……」


 俺は手元に有った数学の教科書を持って、今日の授業で習ったページを開く。


「三國君!」

「今日は、ここを習ったのだね?」


「…はい」


「……理解は出来た?」


「どうにか……」


「そう…!」

「今から、今日の復習問題を書くから、ちょっと待っててね!」


 伊藤さんはカバンからレポート用紙を取り出して、俺が今日習った部分の問題を作り始めた!?


(伊藤さん。凄いな!)

(教科書の練習問題を解かせずに、自ら問題を作る!)

(問題を作ると言うことは、伊藤さんは完全に、この辺を理解しているのだな!?)


 伊藤さんはレポート用紙に幾つかの問題を書いて、書き終わると、その用紙をめくり取って俺に渡してくる。


「その量なら、10分も有れば解けるよね?」

「早速始めて……」


 伊藤さんは澄ました表情で俺に言うと、伊藤さんも自分の教科書を開いて、復習か予習を始めた!


(俺の思っていた勉強会とは違うな…)

(これでは、塾と同じ感じかな?)


「三國君…。こんな機会無いんだから、時間がもったいないよ!」


 俺が直ぐに問題に取り掛からないから、伊藤さんは澄ました表情で注意をしてくる。


(伊藤さんと二人きりの勉強なんて、最初で最後に決まって居るだろうな!)

(伊藤さんがどれだけ、“スパルタ”かは分らないが、とにかくこの問題を解こう!)


 俺はシャープペンシルを筆箱から取り出して、伊藤さんが作った数学問題を解き始めた……


 ……


「うーむ」

「……理解率は、50%と言う程度か…」

「これ位の問題だから、80%以上は行って欲しかったな…」


「……(汗)」


 10分後……

 俺はまだ問題を解いていたが、伊藤さんは時間に成ったらかさずレポート用紙を引ったくる様に取り、採点を始めた。

 採点後は、伊藤さんは眉間にしわを寄せて、辛口評価を呟いていた!!


「三國君。基本は理解出来ているけど応用は、やはり理解は出来てなかったか…」


 伊藤さんは澄ました表情で呟いて、一人で納得していた。


「三國君は、進路はどう考えているの?」

「それによって、教え方を変えるから…」


 採点を終えたレポート用紙を俺に戻しながら、伊藤さんは澄ました表情で聞いて来た。


「伊藤さん。進路ですか!」

「……今の所は、提携している大学に進学と考えていますが」


「提携だと彼処か……」


 伊藤さんは俺の言葉を聞いて呟き、何かを考え始めた……


「まぁ……彼処なら、これ位でも行けるか!」

「今の学力なら十分圏内だけど、彼処より上を狙うつもりなら、今の状態だと厳しいよ」


 伊藤さんは俺の数学理解力から、合格予想を弾き出した!?

 それも、澄ました表情で言うから、コンピューターかよと一瞬感じてしまう。


「……厳しく教えても、付いて来てくれるなら、応用をしっかり教えるけどどうする?」


「一応、教えてくれますか。伊藤さん?」

「まだ、完全に進路を決めた訳では無いですから」


「……分かったわ!」


 伊藤さんは澄ました表情で呟いて、俺は伊藤さんに勉強を教えて貰う。

 こうして、二村さんのクラブ活動が終わる時間まで、俺と伊藤さんの勉強会は続く……

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