第48話 おしゃべり妹

「桃香ちゃんは、私の隣のクラス子です!!」

「合同体育や合同授業の時に良く、お話しをしています!!」


 小鞠ちゃんは、伊藤さんに和やかな表情で答えている。

 葉月学園はマンモス学園で有り、学年全体で体育等の授業は理論上出来ない。


 学園の都合上で、幾つかグループ分けがされて、そのグループで体育の授業や情報等の授業が行われている。

 そのため、虹心と小鞠ちゃんはグループが違うから、体育の授業等で鉢合わせすることは無い。


「えっと……小鞠ちゃんだっけ…?」

「ちょっと、引っ込み思案の所が有る妹けど、仲良くして上げてね♪」


「!!!//////」


 伊藤さんは凄く優しい笑顔で、小鞠ちゃんに話し掛ける!

 俺はその笑顔を見て、本当に心臓が飛び跳ねた!?


(うぉ! なに……この超絶美少女笑顔!!///)

(普段は冷酷だけど、愛嬌を見せたら超絶美少女じゃん!!///)

(これは……こんな笑顔を見てしまったら、殆どの男子は好意を持つに決まっている!!//////)


「はっ、はい!」

「これからも、仲良くさせて貰います!///」


 小鞠ちゃんも、日本語が少しおかしい返事を恥ずかしながらしている中、俺は本当に伊藤さんをガン見していると……


「……これが、兄ちゃんの憧れの人?」

「うん……美人だね!///」


 虹心は陽気な口調で、周りに聞こえるように呟く!??

 俺は虹心に、伊藤さんがタイプだと教えた覚えは無いぞ!!//////


「えっ…!?///」


 その言葉を聞いた伊藤さんは当然、驚きながらと俺と虹心の方に顔を向ける。


「……私」

「三國君から声は掛けられたことは、一度も無いけど…?」


 伊藤さんは俺と虹心に向けて、警戒心をあらわにして言ってくる!

 その言葉に対して、虹心は言い訳を言うように言い始める。


「あっ///」

「伊藤さん! 気にしないで下さい!!///」


「兄ちゃん、いっ、いや、兄の顔が、伊藤さんに凄く興味を持っている、表情をしていましたので!///(汗)」

「妹だから、分かっちゃうんです…。兄の好みの女性が何となく…///」


(虹心! それ全然、擁護に成ってない!!)

(これでは、俺が只の女たらしでは無いか!!)

(うっ…けど、実際は間違ってないか…///)


「あ~~、そう言う事!!」


 虹心の言葉を聞いた伊藤さんは、低い口調で言い終えると、俺を睨み付けながら話し始める。


「……三國君」

「私もいえ、私たちも聞いて居るわよ!」

「女子たちに、かなりの頻度で声を掛けたらしいね…。ねぇ、彩織?」


 伊藤さんは、怒りを含ませた低い口調で言い終えると、二村さんにも話を振り、二村さんは遠慮気味に返事をする。


「うっ、うん…///」


(……やっぱり、この二人たちの耳にも入っていたか…!)


 俺にとっては悪意の無い行動だと思っていたが、学年の女子たちは、俺の行動を悪行と捉えた。

 俺の春を到来させるために行った作戦。


 俺は深追いをしなかった筈だが、嫌悪感を持った女子たちもかなり居たんだろう。

 俺は次に発言される、伊藤さんの言葉を待った……


「ねぇ…?」

「何故……三國君は、複数の女性に声を掛けていたの?」


 伊藤さんは俺を睨むのを止め、澄ました表情に変わり、落ち着いた口調で質問してきた?


「えっ…?」


 俺は伊藤さんからその言葉聞いて、一瞬考えてしまう。


(どうして、伊藤さんがそんな質問をするのだ?)

(伊藤さんは俺には気が無いはずだし、そんな理由を知ってどうするのだ??)


(俺が春を求めてると言ったら、伊藤さんは俺の彼女にでも成ってくれるのか!?)

(それとも、只単に妹たちの前で、俺に恥を掻かすために言わすのか!!)


 別に正直に答えても良いが、出来れば答えたくない俺で有った。

 公共の場(プリンモール)で、自分の生き恥をさらす必要は無い。

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