第40話 妹の作戦 その2

 俺は、ほぼ普段着に着替え直して、虹心に部屋に入って貰い、虹心に俺の姿を見て貰う。


「どうだ……虹心?」


「パンツは普通の綿パンに変えて、ジャケットは脱いで、ペンダントは……有っても良いか…!」


「うん! それでこそ、兄ちゃんの格好だ!!」


 やけに嬉しそう表情で言う、虹心?

 これは、虹心の好みでは無いか!?


「こんなので良いのか。虹心…?」

「どう見ても、モテる格好の要素が無い感じがするが…」


 俺は不満げに虹心に言うと、虹心は少し勝ち誇った表情で言い始める。


「あのさ、兄ちゃんはさ……何でも、ブランド物を買えば良いと思っている派でしょ!」


「…それは当たり前だろ。虹心!」

「ブランド物のアクセサリー、ファッション、スマートフォンを持つのが、モテるルートの近道だろ!!」


 俺は虹心の言葉に噛み付きに行く。

 モテる人間は地味な格好に見えても、凄くお金を掛けているし、ブランド物もきちんと身に付けている。


「うん!」

「兄ちゃんの言っている事は間違ってないけど、兄ちゃんの場合は、それに遊ばれて居るのだよ!!」

「身分相応と言う言葉、そのまんまだよ!」


 虹心は困った笑顔で言う。


(相変わらず、口が達者な虹心だ!!)


「だから兄ちゃんも、身の丈に合った格好をするのが、兄ちゃんの魅力が一番出るんだよ❤」


 虹心は最後、笑顔で言ってくれるが……


「俺は褒められているのか、けなされているのか…?」


「まぁ、兄ちゃんも、それが解る時期が来るよ♪」

「この格好が、一番格好いいと感じる日が!!」


 折角、揃えた服も殆ど無駄に成ったが、虹心がそう言うので、俺はほぼ普段着でプリンモールに行くことに成る。

 二人で家を出た後は小鞠ちゃんを迎えに行くために、小鞠ちゃんの家に向かった。


 ……


 俺は虹心と雑談をしながら、小鞠ちゃんの家に向かっている。


「今日は、天気が本当に良くて良かったな。虹心!」


「うん! そうだね!!」

「この天気なら、学園の人達もかなりプリンモールに来ているかもね♪」


 俺と虹心は和やかな表情で雑談をしているが、俺は虹心に質問をする。


「なぁ…虹心」

「もし、この作戦が失敗した時はどうするのだ?」

「次の案は考えているのか?」


 俺が虹心に質問すると、虹心は和やかな表情のままで返事をする。


「兄ちゃん!」

「失敗なんかしないよ!!」


「美少女二人が、しょぼくれた兄ちゃんに、くっついて居るんだよ!!」

「絶対に成功するよ!♪」


「“しょぼくれた”の言葉は要らないぞ! 虹心!!」


 俺は虹心に注意するが、虹心の表情は変わらない!


「事実そうじゃん!!」

「そうで無ければ、彼女は無理でも女性の親友位はもう居るでしょ。兄ちゃん?」


「本当に……口ばかり達者に成って…」


「それでも、私は兄ちゃんのことが好きなんだよ!」

「感謝してよ!!」


「……妹に好かれて嬉しくないことは無いが、まだせめて小鞠ちゃんだったら良かったのに…」


 俺が愚痴を言うように言うと、虹心は一瞬不思議そうな表情をするが、穏やかな表情で話し始める。


「?」

「小鞠ちゃんも、兄ちゃんのこと好きじゃん!」


「それは、“お兄ちゃん”としてだろ…」

「俺は小鞠ちゃんを、一人の女の子として見たかったのだよ!///」


 俺は虹心に本音を言う。

 虹心は実の妹だが、小鞠ちゃんは彼女に出来るからだ。

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