第27話 二人の妹会議 その2

 俺はアプリゲームに“キリ”を付けて、虹心たちが居る、虹心の部屋に向かう。

 誰からも連絡は来ないと思うが、一応スマートフォンを持って行く。


『コン、コン♪』


 虹心の部屋に入る前に、俺はドアノックをする。

 家族同士で有るが、マナーだけはきちんと守る。


「どうぞ~~!」


 虹心の返事を待ってから、俺は部屋に入る。

 虹心の部屋に入ると、リビングから拝借してきたクッション三つが、カーペットの上に置かれており、その二つに虹心と小鞠ちゃんが座っていた。

 ご丁寧に座卓まで用意されており、その上にはアイスティーとお茶菓子も準備されている。


「さぁ、兄ちゃんも座って~~♪」


 部屋に入るなり、虹心が陽気な声を掛けてくる。

 俺はクッションに座りながら、小鞠ちゃんに元気な声で挨拶をする。


「こんにちは!」

「小鞠ちゃん!!」


「あっ……こんにちはです。武蔵さん///」


 小鞠ちゃんは、少し恥ずかしそうに挨拶をする。

 不思議と昨日と比べて、全く様子が違う感じがする?


「兄ちゃん!」

「お話しをする前に、お茶をどうぞ♪」


 俺がクッションに座ると同時に、虹心は陽気な声で言いながらアイスティーをコップに注いでくれる。

 アイスティーはペットボトル入りの市販品で有る。

 あまり喉は渇いて無かったが、虹心が勧めてきたので、注ぎ終わったアイスティーを飲む。


(ふぅ…)

(さて……どんな話をするのかな?)

(けど何で、小鞠ちゃんは恥ずかしい表情のままなんだ??)


「……///」


「もぐ、もぐ、―――♪」


 小鞠ちゃんは頬を染めて顔をうつかせているし、虹心は陽気な表情でお茶菓子を食べている。


(俺・虹心・小鞠ちゃんの三人で、今後のことを話し合うのだよな?)


 俺もお茶菓子を摘まみながら、誰が会話を切り出すかを待っているが、誰も話し出そうとはしない……


(俺から話を始めるのもなぁ…)

(虹心が、こう言うのは得意だから虹心待ちだ!!)


 虹心が話し出すのを待ちながら、俺は少し早いおやつタイムにしていた。


 ……


「兄ちゃん!」

「そろそろ、お話を開始しようか♪」


 お菓子を食べて虹心は満足したのか、和やかな表情で聞いてきた。


「やっと……始まるか!」


「なに~?」

「もっと、早く初めて欲しかった。兄ちゃん?♪」


 虹心は顔を“にやつかせながら”言う。


「まぁ……俺も忙しいからな!」


 俺は兄の威厳を漂わせながら言うが……


「無理に格好付けなくても良いよ♪」

「兄ちゃん!♪」


 笑顔で少し馬鹿にした口調で言う、虹心。

 全くこの妹は……


「さて、兄ちゃんとのお遊びは此処までにして!」


「じゃん♪」

「私と小鞠ちゃんで、兄ちゃんを巡る話し合いをした結果…………」


 虹心は陽気な表情で話し始めるが、途中で言葉をためる。

 早く言ってくれ。虹心!!


「兄ちゃんは……私と小鞠ちゃんで、共有することに決めました❤」

「兄ちゃんは、私と小鞠ちゃんの両方を愛してね!♪」

「えへへ♪❤」


「…………」


 虹心は嬉しそうな笑顔で言い終えると『ペロッ』と舌を出す!

 俺はその言葉で、思わず目が点に成ってしまった!!


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