第16話 虹心と小鞠の再開 その2

(虹心の中では幼なじみで、小鞠ちゃんの中では親友の再開だな!)

(けど以上……小鞠ちゃんに関する事は聞かない方が良いな…)

(これ以上聞くと、小鞠ちゃんの性格上、暗い話ばかりしそうだ!?)


 俺は何か、この場が盛り上がる様な、質問は無いかと心の中で思っていると、小鞠ちゃんが澄ました表情で俺に質問をしてくる。


「武蔵さんは……どうして、虹心ちゃんと仲が悪く成ってしまったのですか?」


 俺は小鞠ちゃんに、相談するように言い始める。


「……それが、俺も良く分からないのだよね。小鞠ちゃん!」


「……今日も出掛ける前に、ちょっと虹心と言い合いに成って、最後に虹心の奴『道の途中で兄ちゃんだけ、上○国民の車に突っ込まれろ!』と、言われてしまったからね……」

「普通の妹なら、そんな物騒な発言はしないよ!」


「!!」


 小鞠ちゃんは驚いた表情をしていた!

 虹心は小鞠ちゃんの前でも、こうへいと話す時のように猫を被っているのか!?


「……普段の虹心ちゃんからは、想像が付きませんね??」

「私に対しては明るくて、何時も優しい表情で声を掛けてきます!」


 小鞠ちゃんは落ち着いた口調で言う。

 俺も虹心と距離を開けられる前は、そんな関係で有った……


「つい……この間までは、俺も小鞠ちゃんのような感じだったんだ…」

「少し、生意気な妹程度だったんだ……」

「それが、ある日から急に俺に対しては“つんけん”モードに変わってしまい……小鞠ちゃん。どうすれば良い?」


「武蔵さん。それは、何時ぐらいの時期からですか…?」


 小鞠ちゃんは、澄ました表情で質問をする。


「俺の記憶が正しければ……小鞠ちゃんが再び、三國家に遊びに来るように成ってからかな…?」


「……///」


 小鞠ちゃんは『まさかね……』の表情をしながら、俺の話を聞いている。


「ねぇ、小鞠ちゃん…」

「何か……心当たりでも有るの?」


「いっ、いえ……無いですね!///」

「まったく有っても、心当たり無いです!!///」


 小鞠ちゃん…。思いっきり隠そうとするのが、見え見えですけど……


(虹心の態度と小鞠ちゃんの慌てる態度……)

(虹心は小鞠ちゃんの恋心を潰そうとしているし、小鞠ちゃんも俺との関係を虹心には隠そうとしている…)


(二人はリビングの壁から俺が、盗み聞きしているのは知らない筈だから、そう考えると虹心は俺に恋心を抱いている!?)


(いや、いや…。虹心は義理の妹では無い。実の妹だ!)

(虹心だって小学生では無いのだから、その部分は理解出来ているはずだ…)


「武蔵さん……」


 小鞠ちゃんは、改まった表情で俺に話し掛ける。


「へっ…、なに?」


「きっと、虹心ちゃんも思春期だと感じます…///」

「しばらくしたら、また前の関係に戻れると思います。武蔵さん…///」


 小鞠ちゃんは少し頬を染め、微笑みながら話す。

 俺を元気付けるためかな?


「……そう成れば良いけどね。小鞠ちゃんは知っている?」

「俺には極悪性格の妹だけど、学園では男子に人気が有ること!?」


 俺は少しトーンを高めながら小鞠ちゃんに話すと、小鞠ちゃんは穏やかな表情で返事をする。


「えぇ。知っています!」

「虹心ちゃんが、良く教えてくれます!!」


「G組の鈴木君から告白されたとかの、恋話を良く教えてくれます!」


「うぁ…!」

「虹心ったらラブレターだけで無く、告白までされて居るのか!!」

「その、G組の鈴木君に教えたいよ。彼女にしたら絶対に後悔するぞって!!」


「でも……断わったんだろ。虹心の奴……」


 俺は小鞠ちゃんに静かな口調で聞くと、小鞠ちゃんも静かな口調で返す。


「はい…」

「虹心ちゃんは、そう言ってました…」


「家では……口が悪い妹だが、学園では美少女か…」

「兄としては変な気分だ!!」


 不思議と、そう呟いてしまった……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る