【番外編その3】サナーリアを愛しすぎたシュワルツによる報復・グランド編 ※閲覧注意

※教育上よろしくない表現があると思いますので閲覧注意です。女性の扱いが酷いのが嫌いな人はUターンしてください。

自己責任でお願いします。




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私は許さない。サナーリアの婚約者を語った男を。子爵家に騙された? 知ったことではない。直接、サナーリアを婚約者呼ばわりしたのはあの男なのだから。


ブロー伯爵家のグランドだったか、伯爵家……確か鉄鉱石が取れる領地だ。鉱山で働いているものからの苦情が多く、財務部でも担当が扱いに手を焼いていると聞いたことがある。


安定して鉄鉱石が掘れるから金はあるのに労働条件が悪く、なかなか人が居着かない。国としては、鉄鉱石は大事な資源であるからなんとかしろと通達が出ているようだが……それでも改善の見込みがないのか。

国のためにならない貴族連中は、排除でいいだろう。


調べてみたところ、ブロー伯爵家の領地では度々暴動やストライキが起こっている。これは少し手を加えるだけで簡単に崩れそうだ。サナーリアの婚約者と名乗った令息だけなんとかすればいいと思ったが、まあここは国のために一家全員道連れになってもらおう。



やることは簡単だった。領地の鉱山で働く者たちやその周りの者に、自分たちがいかに劣悪な環境で働かされているかを自覚させればいい。これは皆が薄々思っていることだ。国に嘆願が上がってくるくらいだからな。ならばそれにプラスして、領主の儲け分がどれくらいか、その金を何に使っているかを教えてやろう。



「この仕事はいつ命を落とすか分からないだろう。鉱山には崩落事故がつき物だからな。」


「ああそうだ。それなのに、もし死んじまっても残された家族に金が入るわけじゃないだろ? 子供は男なら鉱夫、女なら花売りがいいとこだ。」


「そんな状態なのに、領主様んとこは金があるって言うだろ?おかしいとおもわねぇか。」


「ここで掘り出された鉄鉱石はひと山の金額はたかが知れてるがな、卸先の製鉄所からはそのひと山から加工したのが30倍の値段で出荷されるらしいぞ。」



危険な仕事、少ない給料、保証されない命や家族、鉄鉱石の取引の実態、領主である伯爵家の懐事情、豪遊、散財、酒池肉林、そういったものの噂を現地の酒場で流していった。



「領主様んとこにゃ、豪華な美術品がいっぱいあるって話だぜ。」


「宝石がついたキラッキラしたドレスを山ほど持っているとか」


「町で見つけた若い娘を連れてってるって? でもそいつらもそこでは贅沢できるってわけだ。」



すると、簡単に火がついた。


鉱山での作業員を筆頭に、その家族、領民たちが領主邸を取り囲んだ。そして館の中に押し入った者たちは、そこにあった贅沢品の数々を持ち出し後日領民で分け合ったとか。



「わっ、わたしだって無理やりつれてこられたのよっ!」


「知ったことじゃねえな。そんでもいい暮らしさせてもらってたんだろ? 肌も髪もツヤツヤじゃねえか。露店じゃ見たこともねえ、そこにある果物も食い放題かよ!」


「だって、それでも、でも!」


「うるせえ! 今までいい思いしてやがったんだ!ちったあ俺らの役にも立ちやがれ!!」


「ひいっ…!」



彼女たちも被害者といえば被害者だったが、暴走する民たちには冷静な頭がなかった。きれいな身なりで色とりどりのお菓子やフルーツに囲まれ贅沢三昧だった女たちは、荒くれどもに嬲られ、娼館に売られ金に替えられた。



「ま、まて、金なら出そう。ほら、いくらだ?言ってみろ。」


「まだ自分の立場がわかってねえようだな。金なら勝手に持ってくよ。俺らの稼いだ金だ。皆で平等に分けるさ。」


「な、何を言っている! ここにある金は私のものだ! 持っていくなどと」


「うるせえ! もう限界だ! 野郎ども、やっちまおうぜ!!」


「「「おおおおお!!!」」」



ブロー伯爵と令息は、身ぐるみ剥がされ館の外に連れ出され暴行を受けた。死なない程度に痛めつけられ、縛られ地面に転がされた。

そして、豪奢な衣装に身を包んだ伯爵夫人と令嬢は、そのドレスも金になるからと脱がされ、伯爵らの目の前でいたぶられ代わる代わる鉱夫の相手をさせられ続けたとか。




その後、国から派遣された新しい領主が新しい労働条件を提示し、暴動が起きるようなことはなくなった。

伯爵一家は鉱山のどこかに繋がれて、鉱夫たちのストレスのはけ口としてその身をやつして頑張っているそうだ。



これで男も、サナーリアとは二度と会うことはないだろう。



すべての憂いを取り除いた私は、もうすぐ世界でたった一人の愛しい人と結婚式を挙げる。


あの美しい人を最大限輝かせるためには用意した10着や20着のドレスでは足りないだろう。もう式まで時間がないが、明日にでもまたデザイナーを手配しなくては。




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