37. 社会風習
朝、太陽が昇り一日が始まる。
目覚まし時計という便利なものは無いだろう。早い人は太陽が昇るより早く起きるかもしれない。
教会の鐘の音に合わせて起きる場合もあるだろう。
現代日本での時間感覚よりは、おおらかというかいい加減だと考えられる。
時間により鐘の鳴る回数が異なり、何時であるか知らせている。
朝最初の仕事は、ドアや窓を開けて、水道がない場合は水汲みをする。水は思った以上に重く重労働である。
顔を洗ったり手を洗ったりする。
朝食を作り、食べる。こった朝食は食べないことが多いだろう。
買い置きの冷めたパンに、あればサラダ、お金もちなら肉やベーコンのような物だ。
都市部では生の葉野菜は貴重かもしれないし、貧困層ならベーコンは贅沢品だろう。
海から遠い土地では海産物は高級品だ。牛や馬は労働用として飼っているので肉はあまり出回らない。肉といえば主に豚か鶏になるだろう。
味付けは主に塩だ。他にはハーブがある位で、香辛料は比較的高価だろう。
名古屋のように社会によっては朝食も外で食べる文化もあるだろう。逆に外食はほとんど発展していない社会かもしれない。
掃除をする。箒と塵取りなどを使って掃除をする。
洗濯をする。水の入った桶に洗濯板などを使い手で洗う。洗濯機がない世界では洗濯も重労働になる。石鹸も粗悪品だったり贅沢品だったり、そもそもなかったりする。
そして冬では水が冷たく手が痛くなる。
習慣によっては毎日洗ったりしないかもしれない。洗濯は服の生地を傷めることになるので、服自体が高価な世界では汚れたりしたときしか洗わないこともあるようだ。
生活魔法があれば、この辺の事情は一変する。水汲みは水魔法ですます。洗濯掃除はクリーンの魔法ですませてしまう。
国民の何割が生活魔法を使えるだろうか。貴族は自分で魔法を使えなくても良い。奴隷やメイドに代わりに働かせればよい。
仕事をする。商売に畑にアイテムの生産に精を出す。買い物も現代より不便である。何軒もの店を訪れることもあるし、店が遠いこともある。
忙しかったり貧しかったり風習上、お昼ご飯はないこともある。
国によってはお昼寝の習慣もある。その後は午後も仕事をする。
暗くなる前に夕食を食べることが多いはずだ。
夜間に何かするには光源が必要だ。ランプでできることもあるが、それでは暗い作業もあるだろう。
ゴールデンタイムにテレビもインターネットもないので、あとは寝るぐらいだ。
多少余裕がある家では夜食は酒場で酒を飲んで騒ぐかもしれない。
宿屋で生活する一般的な冒険者はあまり家事をしないようなイメージがある。
食事も掃除も洗濯なども宿任せにしている。
宗教が強い国であれば、お祈りの時間も重要になってくる。
朝、昼、夜と3回あったり、不定期だったり断食のような季節でなにかあることもある。
◆娯楽
賭博、簡単な遊び、飲酒、食事、噂話などが主な娯楽になるだろう。
町のお祭りが一番の娯楽だろう。
吟遊詩人や歌などの見世物、劇、サーカス、オペラなどの見る娯楽もある。
これらの見世物は町々を移動していることがある。
固定で劇場などがあるところは大きな町に限られるだろう。
小さな村で同じところで毎日同じ演奏をしても飽きられてしまう可能性がある。もちろん観光地なら別だ。
バーや喫茶店で演奏を聞かせる店もあるので、そういう場合はお店が出演料をくれたり固定客がいて成り立っているので、移動しなくても生活が成り立つかもしれない。
死刑などの刑罰の見世物も中世では娯楽の一つだった。
死刑の代わりに闘技場で戦わせ娯楽として提供される。戦士対戦士や戦士対魔物で戦闘をする。
勝ち進めば解放されることも稀にあるだろう。
物見遊山、観光を娯楽とする人も一定数いると思われる。
ただ無報酬で観光するよりは冒険者や商人や吟遊詩人として商売をしながら移動するのが賢いような気がする。
◆喫煙、麻薬
嗜好品の一つであるが依存性が高い。
なろう小説では喫煙および麻薬が出てくる異世界物は多くないようだ。
中世風世界では、麻薬は禁止されていないかもしれない。現代でも大麻が合法になっている先進国がいくつか存在する。
さらに類似品に媚薬や惚れ薬があるが、異世界では取引が禁止されていたりするものの、密売されたりしている。
◆教会
冠婚葬祭、教育、医療などを一手に引き受ける強力な存在であることも少なくない。
地方都市以下では学校がなく、村だと知識人もいないので、中央から派遣されてくる教会の人々が唯一の知識人で教師になれる人材であることもある。
ヒール魔法がある世界では教会で治療を施すことも多い。専門の入院施設はないかもしれないが、成り行きで教会付属の孤児院の子供たちと一緒に生活することもあるだろう。
事あるごとにお布施を要求するだろう。教会も無料で奉仕できるほど裕福ではない。
町の教会での日曜日のミサのような物は貴重な男女の出会いの場にもなるだろう。
時計が一般家庭にない世界では教会の鐘が時間を告げる唯一の方法である。時間を支配していることが社会を支配することに繋がるため、このような権利は教会が独占する傾向にある。
鐘の時間に合わせて、町の門が閉じられたりする。
聖書の読み聞かせ、説法の他、洗礼の儀式や、祝福の儀式なども日常で行われる。
厳密な偶像崇拝を禁止していない場合、十字や聖なるシンボルをかたどった、ペンダントやロザリオなどを販売することもある。
◆成人の儀、洗礼の儀
20歳ではないためかあまり「成人の儀」とは言わないが、15歳や12歳もしくは6歳などのときに「神託の儀」のようなものをする世界もそこそこある。
とくに職業などがステータスで固定みたいな世界では、よく職業やスキルを神から授かるとする儀式をする。
たいていは町の教会などで行われる。
この儀で、主人公はもし昔の小説でもこのような行為があれば「最高」のものをもらうというのがテンプレであっただろうが、現代では「不遇職」「ハズレ」を引くが、実際には「最強」というパターンが多く目につく。
主人公はハズレスキルを引き「追放」ないし捨てられる旅に出るというパターンが多い。
この際には「スキル石」や「ステータス石」のような魔導具に類するものが出てくることがある。
あとは儀式的なもの、司祭などの偉い人の話などが付随する。
一部の小説では、孤児院などで青田買いをしておいて、よいスキルを引く子が出てくるのをガチャのように待って、将来有望な子は高値で引き取るまたは普段から融資をしていて、それでもって引き取るというような話もある。
◆商店
現代よりも同じものを同じ値段で売り続けるのは、難しい場合もある。
剣や防具や家具のようなものは一点物が多くなる。
町の商店では専門店が多く、スーパーのような場所はないかもしれない。商店街のように各店を回って買い物をすることになる。
逆に村では商店が一店舗しかない場所もあり、そういう所では客の要望に応えて色々なものを扱っていることが多いだろう。
野菜、キノコ、魚などの季節ものは、時期によって売ってない物が現代よりも多くなるだろう。
しかし弱いモンスター素材の場合は、逆に年中安定して取れるものもあるだろう。
肉類はモンスターを狩る冒険者次第かもしれない。
アイテムボックスや転移門の存在は、商習慣を一変させるインパクトがある。
アイテムボックスがあれば、輸送量の大幅な改善が可能で、設定によっては時間凍結効果があり、鮮度を維持したまま移動させることが可能になる。
もっともアイテムボックスが登場する作品でも、レア品・レアスキル扱いであることが多いので、その場合はそれほど経済に違いはないだろう。
転移門がある世界では、商品および人の移動が簡単になるので、田舎に住んでいても転移門で買い出しに出かけたり、商品を買い付けに行くことが可能になるので、地域差が格段に少なくなる。
ただし転移門を利用するのに値段が高かったり魔術的なコストがあったり、身分の都合があったりなど、制約がある場合もあり、完全に自由に移動できるのとは若干違うことがほとんどだろう。
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