第20話 マリア再び相談に乗る

決闘が終わるとニルス様は生徒会を休んでいた分の仕事が溜まり必死に片付けていた。


でも生徒会室はアンナ先輩が出入りしてるからやはりあの空き教室を使っているようだった。私は久しぶりに透明になって幽霊のマリアのフリをしてみることにした。


ニルス様は箒が浮いているのを見て歓喜した!


「おお!マリアか!?お前どこいってたんだよ!!」

私は黒板に


『里帰り…いえ、墓帰りを少し…』

といい加減な事を書いておく。


「よくわからんがまた毎日ここに来てくれるのか?」

と期待されたが


『毎日は無理。私にも友達ができてそっちに行く時あるから』

とまた適当書いて誤魔化す。


「そうか。ならたまにでいい。話を聞いてくれると嬉しい」

マリアにはいつもこんなに素直なのにな。私にはいつも天邪鬼なんだから。


しかし…ニルス様は悩んでいた。


「マリア……そ、その…この前一年のクソ王子と決闘をしたんだ。俺がもちろんギリギリで幸運で勝てたんだが!…そそ、その後……いろいろあって…その…イサベルに頰にキスされたんだ!!」

と言うから私は何であんなことをしたのか後悔した。嬉しくてつい?して欲しそうに見えたから?


「そそ、それでどう思う?あいつ!イサベルは俺のことを少しは好きだと思うか!?今までは嫌々付き合わせてたから嫌われているのだと思っているんだが…イサベルから頰にキスをくれた!


これは…脈ありというヤツなんじゃないか?俺はこれからどうしたらいいのか…」

と悩んでいた。


『さあ?その場のノリかもしれませんから一旦落ち着いた方がいいかと』

と書くと


「その場の…ノリ…まあ決闘が終わったし、あいつとのキスより俺の方がマシだとは言っていたしな…そうか…ノリなのか……」

とわかりやすくシュンとした。


『ノリですね』

と書くと…


「もういいよ。わかった。俺なんかをイサベルが好きなはずないしな。でも危なかった。クソ王子が体勢を崩さなかったら俺は負けて目の前でクソ王子とイサベルの熱いキスを見せられるところだったんだ!」

確かにそれは嫌だな。良かった勝ってくれて。


『怪我は?』

と包帯の手を見る。


「ん?これか?これならちゃんと薬を塗ってある。ペンを持つと少し痛むが大丈夫だ。さて終わらせないとな!」

と再び仕事に取り掛かった。


「ああ、…でも…イサベルも俺のことを好きになって欲しいのだがどうしたらいいだろうか?マリア…」

そんなこと言われても困る。


「だ、抱きしめたらとてもいい匂いがした。柔らかいし…細い。どうしたらイサベルは俺のことを少しはい、意識してくれるかな?


この気持ちを伝えたい!でも、恥ずかしくてついまた反対の意地が出てしまう!」

とグダグダ悩んでいた。

意識って…最近の私もどうにかしているわ。抱きついたりしてはしたない。


私には研究がある。この世から消える夢も。消えて1人のんびり暮らすのだ。


「マリア!俺はイサベルが好きだ!何とか告白したい!!あいつは綺麗なんだ!またクソ王子みたいのが現れると困る!クソ王子も諦めてない!油断してたらまた掻っ攫われる!それはダメだ!」

と言う。相変わらずマリアには素直なんだから。後、そんなに好き好き言われると恥ずかしい!


「そうだ、マリア!俺の告白の練習に付き合ってくれ!」

えっ!!?私本人なんですけど!!


『わ、わかりました…』

でも断れなくそう書くと


「よし!じゃあマリア聞いてくれるか?変な所は直すから!よし!」

と息を吸い箒に向かいニルス様が


「イサベル!俺は…お前が好きだ!心から愛している!どうか他の男を見ないで俺だけ見ていて欲しい!ずっと側にいてほしい!…でもお前を束縛とかそんなことはしない。お前にもお前の時間は必要だろ?好きな研究もあるから。

何を作っているかは知らないけど完成を願う。


もし俺の気持ちが伝わるならこの花を受け取ってくれ!」

と言う。あ、花を持っている設定だったのか。

というか普通に恥ずかしい。素直なニルス様程かっこいい人はない。


『それで充分だと思いますよ!』

と書くと


「そうか?良かった!よし!頑張って告白をする!あ……待て」


『どうしました?』


「告白をする場所だ!思いつかない!ど、何処がいいんだ!2人きりになれるところがいい!でもそこへ誘うと怪しまれないか?」

と言う。確かにいきなり2人きりになりたいとかニルス様が私に言えるかどうかが怪しい。


…というか私も言われたら受けちゃう?……うあ、恥ずかしいけどでもやっぱり…私も告白…されたいのかな?あれ?


私もニルス様のこと好きでいいのかな?迷惑じゃないよね?ニルス様は私が好きなんだし。アンナ先輩から意地悪されそうだけど…。


『手紙で呼び出せばいいです』

と書くとおおっとニルス様が言う。やはり単純なとこがある。


「その手があったか!それならイサベルも来てくれるだろう…ありがとうマリア!!」


『はい、お幸せを願っております…では私はこれにて』


「また何かあったら相談に乗ってくれよ!?」

と言うニルス様にコクリと箒を傾けた。


どうしよう!これからニルス様に手紙で呼び出されて私は告白されるんだわ!!は、恥ずかしい!ていうかさっき練習でされたけど!…マリアにだけど!!マリアも私だし!


柄にもなく私はドキドキしていて透明化が解けたことに気付くのが少し遅れた。ホワホワと消えてるとまだ思い込み歩いてうちの馬車の方へ向かう途中…何者かが後ろから私のことを捕まえて縛り上げ口にハンカチを当てた!!


薬が染みていたのか私はクラリとして気絶してしまった。

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