第16話 決闘の申し込み
美形三人が集まっているからかいつの間にかいい見世物になっている。気持ち悪くなって震えてきたらニルス様が気付いて
「…目を瞑ってろ!」
と言い私を胸に押し付けた!ニルス様の胸に!
ええ?やけに鼓動が早くなる。
「何してんだよ俺のイサベルちゃんに!変態ー!セクハラー!」
と訳のわかんないことを騒ぐクリストフ様。
どうしよう?このままじゃ…。
「ともかくさ?そんなに2人とも彼女が大事ならここは決闘をして勝ち取るのが筋ってもんじゃないのかい?」
とヘルベルト様がとんでもないことを言い出す!
「なっ!だ、大事とか…ではないが!!」
するとヘルベルト様は目を細め
「そんな…大事そうに彼女を抱えて何をほざく?」
「こっ、これはこいつが人の目で気分が悪くなる体質だから仕方なくだな!!」
「そういうのあった?…なんでもいいや、じゃあ、俺に預けてよね、イサベルちゃんこっちにおいでー?」
「ひ!」
とニルス様のシャツを握りしめると
「は!お前のことが怖いみたいだ!!ざまあみろ!」
とニルス様が調子に乗った。
「はあ?そんなわけないだろ?俺は女子達から嫌われたことなんて無いもんね!決闘…いいね!打ち負かしてやるぜ!お前はどうせ勉強と悪口しか言えない臆病者なんだからな!剣なんかできるわけねえ!!」
と言う。
「な!なんだとぉ!?」
ニルス様が怒りで震えた。
「そういや、ニルスって剣の授業はそんなに得意じゃなかったような?あれごめんニルス。俺にも負けるよねよく」
「……は?そんなことない……」
なんか青ざめるニルス様!ちょっと!ここで負けたら私は婚約破棄させられて今度はあのいけすかない第二王子と婚約させられるの!?
身分的にはそんなに変わらないだろうけどなんか整理的にあのクリストフ王子とは嫌だしそれならニルス様の方がいい。いや、マシ。悪口は嫌だけど。素直になればマシなのだ。
「できないのなら他の方法でも…」
と私が言うと
「は!?できるが!?剣くらい?だが、剣を今修理に出している!決闘とは俺の家の家紋が入ったものでないとダメだからな!一週間待ってもらおうか!!」
と言うとクリストフ王子が笑い出した!
「だっせー!こいつっ!なんか1週間修行でもすんの?そんなことしなくても負けるよねお前は!苦手なんだろう?」
「そんなことはない!!」
ギリっと唇を噛むニルス様。無理だー!!ニルス様はヘルベルト様にも負けるらしいし剣は絶対に苦手だーー!!
「悪いけど…なんか不正されても嫌だしここでいいじゃないか?剣なんて授業のヤツじゃダメなわけ?」
と言う第二王子に我が国の王子は言う。
「家紋なしは正式とは違う。少なくともうちの国の決闘方式ではね。剣は持つものの命を預けるものであり、その魂を受け継ぐのが家紋だ。授業のような遊びとは違い、婚約者をかけてとなる正式決闘は家紋入りの剣を用いるのがニルスの言う通り正解だろう。剣を修理に出してるのかは知らん」
とヘルベルト様が言う。
「な!いや!出してる!修理中だ!!……くっ!」
と苦し紛れでニルス様は汗が出る。
「い、1週間後で!!お願いします!!」
と私は頭を下げるとそこにややこしいのが来た!!
「あら?何の騒ぎ?あら、貴方は隣国の王子様…クリストフ様?」
「ん?そう言う君は…ヒロインちゃん?」
するとアンナ先輩は変な顔をした。
「ヒロインて…あんたもしかして…」
こそっとアンナ先輩が王子に耳打ちしている。するとクリストフ様はニヤリと笑い
「うんそう!へえ君もか!なら応援してよ?それとも俺に興味あんの?俺前ね、オタクだったし」
と言うと嫌な顔をしたアンナ先輩は
「嫌よ!ならニルス様は負けたら私が慰めてあげますわ」
と言うとヘルベルト様が
「おい、アンナ?どういうこと?知り合いなの?これは私も決闘しなくては?」
「いえ違います!私はヘルベルト様だけですわ!ただ…ニルス様もヘルベルト様の従兄弟様でしょ?ヘルベルト様と結婚したら私はニルス様とも親族になる予定ですもの!」
とアンナ先輩が言うとヘルベルト様が
「……ああ、そういう意味かい」
と騙されている。
「慰めなどいらんし!俺はアンナの親族になる気はない!ヘルベルト!俺が勝ったらこのクソ女とも別れろ!お前にはもっと相応しい女が似合う!」
と言う。するとアンナ先輩は頰を染めて
「まあ!ニルス様ったら!私の事を!!本当はお好きなの?」
「どうしてそうなる!?頭が沸いてるのか?クソ女!俺は…イサベルの為に戦う!仕方ないだろ!」
と言う。
「仕方ないなら今くれよー」
とクリストフ様が手を伸ばすがばい菌を弾くみたいにバシっと叩く。
「触るな!!まだ決闘は始まってない!こいつの事は親同士が決めたもので、卒業までは親が権利を持っている!!だから俺は在学中婚約破棄はできないと言ってるのだ!
途中で破棄できるのは決闘という法に従ったものだけだ!この国では!
クリストフ様が私に正式に申し込むなら剣の手入れも必要だ!私は何か間違っているか!?」
と言うとヘルベルト様は首を振る。
「いや、それについてはニルスが正しいよ。学園在学中はまだ親元にいるのと同じだから成人していても進路が定まってない今はまだ親に婚約の権利の同意書がある。決闘の法に従うなら親は無視され直ぐに破棄できるがな。後は事故で死んだり殺されたりしない限りは」
と言うとニルス様が
「物騒な事を言うな!ヘルベルト!貴様!」
「はいはい、と言う事でギャラリーも集まってきたし解散!1週間後に決闘!学園の敷地内の訓練場でいいだろう!証人は生徒会長であり次期王太子の俺がなろう!」
と言われニルス様は
「よろしく頼む!」
とキッとクリストフ様を睨み、ヘルベルト様は
「ああ、後、決闘前に婚約者を横から拐うのは無しね?クリストフ王子。ちょっかい出したらダメだよ?」
「ええ?」
と言う顔をするクリストフ様にいきなり
「なら私が!その間見張っておきます!!このイサベル様の唯一の友人であるハイデマリー・ロデリードが!…ちなみにロデリード商会にご入用のものがあればよろしくお願いします!!」
とちゃっかり実家の宣伝もしたマリーがやってきて間に入り込んだ。
「ということで解散!ほらアンナいくぞ!」
とヘルベルト様はアンナ先輩を引っ張り、クリストフ様もやれやれと引き下がる。
マリーも野次馬たちを牽制して去り、その場にはまた私とニルス様の2人になった。
ニルス様は相変わらず怖い顔で固まりかけている。
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