第7話。新たな能力を探す。

はたして異世界転生するまでの間、俺はどのぐらいまで強奪をすることができるのか。この地球では魔法というのは存在しない。だから異世界に転生したところでそれがどれぐらい役に立つかは分からない。もし魔法が中心の世界だったとしたら、肉体的な強化が意味がないのかもしれない。しかし異世界というのはつまりはほかの宇宙にある星という事だろう。ならば、宇宙を海と例えるのならば地球などの惑星は島である。つまり同じ宇宙の島々ならば国によって違いはあるだろうが基本的には共通している部分がある。という事はこの地球でスキルを得ることが異世界でも役に立つというのは間違いでは決してないと思うのである。だから幽霊のこの間にどこまで成長できるのか。俺の幽霊の旅は始まったばかりだ。

 幽霊になって一週間がたった。

 強奪したスキルは中華料理、スペイン料理、日本料理、フランス料理、水泳、ボクシング、空手、合気道、マジック、そして色彩検定やフォークリフトのスキル、危険物乙4種などのスキルだ。これはスキルというより資格なのだがその資格を持っている人はスキルとして獲得していて、実戦経験がある人や見についている人はスキルレベルが高いことが分かった。つまりは運転免許証を持っていてもペーパードライバーだとスキルレベルが低いのと一緒である。俺は次にカメラマンのスキルを強奪することにした。異世界がどんな世界かわからない以上。向こうで食いはぐれないように様々な能力を獲得するのは必然だからだ。

「いやあ、今まで平凡な生活してきたから気づかなかったけど、いろいろ獲得すると、高みから見る景色は違うなあ。今までとは」と俺は自然とつぶやいていた。

 しかし俺は驕ることはしない。なぜならば根が謙虚だからだ。もともと下町人情味が溢れる性格の俺は高いところから見下ろすのがあまり好きではない。それは景色の話ではない。性格の話である。しかし、高いところから見る景色も嫌いではない自分に気づいてしまっていた。結局のところ高みにいようがいまいが、心の在り方次第で自分というのは形成されている。自分を失うことがなければ権力をふりかざすのではなく、権力を使って弱きを助けるのであればどんな高いところにいようとも、俺は下町人情溢れるおとこなのだと、そういう結論に至ったのであった。

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