1 決意
「…よし」
バシュン‼
ガコン‼
「…やった」
グイッ、汗を拭う。
やっぱりシュート入るとマジで嬉しいわ。
俺、藤沢達哉。中学生でバスケ部所属。
今は放課後、部活に来ている。
個人でロングシュートの練習をしろと部長に言われ、俺ら一年生はロングシュートを入れ続けている。
そして、今俺が入れたシュートには大きな意味がある。
二つある。
一つ目。俺は今このシュートで、ある決意をした。
二つ目。小五の頃から一目惚れしている同級生で同じクラスの足積美咲さんが、今俺のシュートを見ていた。
ちょうど俺は、足積さんに今教えられているところだ。
「良かったじゃん!頑張って。でも、もう少し鋭いの出せそうじゃない?」
「あ、はい」
「…敬語使わなくてもいいのに」
足積さんは口を尖らせる。
「ねえ、足積さん」
今俺は、史上最高に鼓動の速さが速いはずだ。
だが、できるだけ平静を装って言う。
「なあに?」
「あのさ、部活終わったら体育館裏来てくれる?」
「いいよ」
よし。
平静を装って言えたか?
「でも、良かった。やっと藤沢くんがタメ口使ってくれたよ」
「いやいや、そこは敬語じゃないのって言うだろ」
「いやだってタメ口じゃん。敬語じゃないのって」
「タメ口は目上の人とかに敬語じゃないのを使うときに『タメ口』って言うんだよ」
あれ?立場逆転してねえか?
いつも俺は足積さんにバスケ教わってるのに、今俺はタメ口っていうのを使うときのことを教えている。
俺が足積さんに何か教えたのは初めてだ。
一歩近づいたか?
あ、なんで部活終わったら体育館裏来てって行ったかというと。
____俺が、足積さんに告白するためだ。
そう、さっきのシュートの一つ目の意味の決意。
それは、足積さんに告白することだった______。
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