真夏の少年たちの嵐
河村成
第1話 最強帝南中学校
1993年夏
俺のいた帝南「ていなん」中学校は歴代代々続くような、
言わゆるヤンキー学校ではなかった
それだけに、写真も色褪せる年月が経っても
この頃の俺らの話は
伝説としていまだ語り継がれている。
真夏の13歳の今日も
金髪、赤髪、青髪、さまざまな色をした
髪のヤンキーと
バイカーファッションをした
仲間が集会を開いている。
『おー!陸ー』と呼んでいるのは
幼馴染でこの辺り一帯のボスの光(コウ)ちんだった。
こんなクソ暑い夏でもバッチリ服をキメるために
20万の革ジャンにブーツカットのパンツ
3万のブーツを履いて
シルバーアクセサリーを揺らしている。
光ちんの影響を受けた仲間の9割以上が
バイカーファッションを着ていた。
それ程光ちんに憧れる奴は多い
俺は反対に"龍神"と"天上天下唯我独尊"
"天下無敵"と刺繍の入った昔ながらの
短ランにボンタンだ。
族といえばのファッションを好んだ。
『やっぱりガキの頃くらいありきたりだけど、
昔ながらのヤンキーでいいんじゃねー?』と俺は言ったが
『まぁ強制じゃねーから』と光ちゃんは言う
皆んなが着やすいしメンバー集めや、
この時期流行っていた
バイカー達もその方が入りやすいのだろう。
それにしても暑くないのか真夏に革ジャン…。
ローラー公園とゆう
人が来ない場所がたまり場だった。
『よう聖川(ひじり)』と
髪が前髪の真ん中しかない派手髪に
サングラスをかけた仲間に俺は話しかけた。
聖川に『遅かったじゃん』と言われたが
『あー3年2人ボコってた』と言うと
またかよと笑われた。
喧嘩の話をしてると、豊(ゆたか)と
涼(りょう)と有村(ありむら)が来た。
豊はいつもの金髪にGジャンにブーツ
涼はデカい体に
Tシャツにブーツを履いていたが、汗だくだ
有村は長い髪に革ジャンを脱いでブーツだ
こいつは悪さは好きではないが、俺と一緒にいるので、カッコいいといい古着などを着こなし、周りもコイツには文句は言わないでいてくれている
少年の頃は喧嘩の話は盛り上がる。
祭りごとのイベントのような感覚に似ている。
仲間達がまた揉め事かよと茶化す。
俺は、『んーーー』とリーゼントを
整えながらなんとなくぶっとばした
『特に揉め事じゃねーよ』と
期待に反してありのままを言ったが、
周りは勝手に盛り上がっている。
『どうせなら2年も、3年もやっちゃおうぜ』と
豊と涼が言っている。
俺が完全に気分で喧嘩してボコってきたので、
特に先輩が悪い訳じゃない、
皆んな暇が1番の苦痛で刺激が欲しいのだ。
光ちんの立場からすると、
すぐ動ける人数が1年だけで
で20人以上いる、全員イケイケだ。
2年と3年は10人くらいだ
あんまり集団リンチに近い事は避けたかったのか、
ただ笑って畳んじまうかと笑い飛ばしていた
聖川からは1人で無茶するなと心配された。
こいつは面倒見がいい優しいやつだ。
ただ切れると声が本当に同一人物か⁉︎と思うほど変わる。
口調が変わるのは分かるが、声も変わるのだ。
あー分かったよ、と言ったが、明日も変わらず暴れるのが俺たちだ。
ダラダラ喋ってるとまた何人か来た、今回はバスの登場だ。
光ちんが気弱な勝(まさる)に全員乗れる車が欲しいと言いい、親の名義でバスを買わせたのだ。
おせーよとさっそくドスっと蹴りを1発。
勝は親に鍵を取り上げられてと必死の形相で説明していた。
落ち着いた所で隣の薪ヶ丘「マキガオカ」
中学に行くぞと光ちんが言い出して、全員バスに乗り込んだ。
そう、隣の中学にも化け物のように危ない奴らトリオがいるのだ。
車のお披露目にと言った所か、格の違いを更に見せ付けるためか。
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