学級転移★レイヴィア繚乱記~勇者爆誕で異世界が大変なのです~
雨垂れ 空
第0章 女神との邂逅
第01話 3人共に仲良く50
「そんな感じで……皆さーん、始めるのでーす♪」
――ティーン、トーン、ターン、トーン♪
――テンテン、テーン♪
――トントン、パーン♪
神々しいとまではいかないが、気持ちキラキラ感有りの自称ロリ女神からの開始の合図と共に、周りが一斉に騒がしくなった。
「未来を勝ち取るのでーす……皆さん、ファぃおーなのです♪」
――テンテン、テーン♪
――トントン、パーン♪パーン♪
膝上の細かい花柄の刺繍が散りばめられたヒラヒラのレース、フワッと張りのあるチュールっぽい生地?……上品に煌くベージュ色のドレスの裾を両手で握り、楽しそうにエールを送ってる。
腰丈の淑やかに輝く金色の髪には色とりどりのリボンがあり、腹部にある大きめのリボンと一緒に小気味よく揺れている。
何とも軽い口調の激励?……応援だな。人混みを嫌い、離れた所にいる俺のところまで女神の凛と弾んだ声が鮮明に聴こえる。ちょい摩訶不思議、現象。
女神の後ろには、ポップでカラフルな執事服を着た3頭身のデフォルメされたウサギ達?……が効果音を奏でている。背中の小さな羽がパタパタして人目を引く。因みに、二足歩行で短い手足をバタバタさせている姿が可愛らしい。
俺達は、全体が淡く光り輝くこの何も無い広い空間で、女神から端折られた経緯と、ここで今からやるべきことの説明を受けた。
思うところは多々あるが、取り敢えず、隣にいるカイとレンもやり始めたようなので、俺も……、
『ステータス・オープン』。
声を出さずに唱えてみた。
おっ、いいね。問題ないようだ。
目の前に、50×30cmの半透明のウィンドウもといステータス画面が音も無く出現した。
Status---------------------------------
名前:ハル・カミシナ(神志那 悠瑠)
種族:人族(♂、15歳)
階位:Lv.1
体力:150(50)(0)
魔力:210(50)(0)
物攻:130(40)(0)
物防: 70(40)(0)
魔攻:190(40)(0)
魔防:270(40)(0)
知力:150(30)(0)
技巧:230(30)(0)
俊敏:160(30)(0)
幸運: 50(20)
---------------------------------------
意識するとサイズや角度、高さも変更可能っぽい。それに、個人情報保護の仕様で、周りには見えてない……隣のカイとレンが一点を見つめている姿は、シュールでありどこか面白く映って見える。
笑みを堪えつつ、視線を自身のステータス画面に戻す。
えーと、名前、種族……問題なしっと。階位はレベルで、1からなのね。
俺達がこれから向かう世界レイヴィアの人族における非戦闘員……一般人や村人のステータスは平均50程度で、駆け出し冒険者や見習い兵士などが平均100程度だった……はず、女神の説明では。
で、俺の表示されている『体力』は、
体力:150(50)(0)
説明された見方は、
150 ⇒ 現時点での俺の体力値
(50) ⇒ 女神から最低限の補償としてプレゼント
(0) ⇒ この空間で追加されたステータス
因みに、現時点でのステータスの一の位が全て『0』なのは、女神が一捨二入をしてくれたお陰らしい。
それを聞いた何人かが、「おー、慈愛のロリ女神様」って吐露てた。
俺のステータスで200超えをしているのが、『魔力』、『魔防』、『技巧』の3つ。
ファンタジー要素満点の『魔力』に値があることは悪いことではない。幸先が良いのではないだろうか。
次に気になった『魔防』の項目名に意識を集中すると……ポップアップで『魔力防御力』と補足が表示された。同様にしていくと、
・物攻: 物理攻撃力
・物防: 物理防御力
・魔攻: 魔力攻撃力
・魔防: 魔力防御力
うんうん、なるほどね。ゲームっぽいな。因みに、指でタップしても問題なく補足がポップアップされた。
物防: 70(40)(0)
気にしないようしていたが、何度も目に入る『70』。右手で自身の左胸を押して肉付きを確認してみる。それから、上腕二頭筋、上腕筋も軽くモミモミ。
筋肉はあると思うが……まあ、あれだ……今後に期待だな。
それに、『物防=筋肉』とは限らん。
「ハル、一般人の平均ステータス……確か、50って……女神っ子が言ってたよな!?」
カイが眼前の虚空を見つめながら、確認してきた。カイのステータス画面は、当然、俺には見えない。レンも会話に興味があるようで耳を傾けている。
「俺の認識では、……戦闘経験なしの一般市民の平均が50で、……戦闘初心者などの戦闘経験が乏しい者が100かなー」
改めて考えると、ステータス的には問題なしと言うか、なかなか良いのではないだろうか。カイもレンも笑みがこぼれているので、俺同様に満更でもないようだ。
大声で騒いでいる連中の会話から、100超えは、それ程いないような気がする。聞いてる限り、プレゼントの(50)を足して100超え達成かな。
それにしても自身のステータスを大声で周知するとか……ある意味、勇者だなー。俺には無理。
会話のタイミングを計っていたレンから、
「ハル、カイ、どうだろう?……お互いのステータス、見せ合いをしないか?」
他と比較をしたくてウズウズしていたので、渡りに舟と言うか、有り難い。
「おうっ!」
「もちっ!」
即答したが、カイも同様だったようで、俺より反応が速かった。
当然、お互いのステータス画面は見えないので、口頭で順番に伝え合うことに……超アナログである。2人が正直に教えてくれている保証はないが……嘘を言う必要がないので、俺は素直に値を口頭で公開する。
脳内で教えてもらった値をまとめる。
先ずは、カイのステータスから、
Status---------------------------------
名前:カイト・オニガセ(鬼ヶ瀬 凱翔)
種族:人族(♂、15歳)
階位:Lv.1
体力:280(50)(0)
魔力: 90(50)(0)
物攻:160(40)(0)
物防:200(40)(0)
魔攻:100(40)(0)
魔防:150(40)(0)
知力:130(30)(0)
技巧:180(30)(0)
俊敏:210(30)(0)
幸運: 50(20)
---------------------------------------
呼び名は、カイ。
身長は、185cm。
髪型は、サイドと襟足をしっかりと刈り上げたショート。
体格は、遅筋と速筋繊維のバランスが取れた筋肉で覆われ無駄のない見事な体躯。
どの部活にも入ってないが、依頼があれば助っ人として大会に出場しては、勝利を積み重ね優勝に導く、スポーツ万能のカイ。
200超えは、『体力』、『物防』、『俊敏』。
両親共にメダリストで、ステータスからも遺伝子を十全に受け継いでいるだろうことが伝わる。
どうでも良いことだが、俺は175cmで、レンは177cm。3人の中では、一番低い。実に残念で、悲しい現実である。
気を取り直して、レンの方は、
Status---------------------------------
名前:レンノスケ・シシオウ(獅子凰 怜乃丞)
種族:人族(♂、15歳)
階位:Lv.1
体力:230(50)(0)
魔力:140(50)(0)
物攻:280(40)(0)
物防:110(40)(0)
魔攻:130(40)(0)
魔防:180(40)(0)
知力:140(30)(0)
技巧:200(30)(0)
俊敏:170(30)(0)
幸運: 50(20)
---------------------------------------
呼び名は、レン。
身長は、177cm。
髪型は、セミロングのクセっ毛をローポニーテールでまとめ、サイドと天辺から自然と抜け出す後れ毛が空気を纏ったような柔らか&ふんわりとした雰囲気を醸しだしている。
体格は、武道で鍛えに鍛え抜かれた、細マッチョ。
『物攻』が俺やカイより高いのは見なくても分かっていた。流石、古武術道場の獅子凰流の跡取り息子である。
200越えは、『体力』、『物攻』、『技巧』。
俺とカイは、小学4年から暇な時は、レンの道場で遊んでいた?いやいや、鍛えてきた……と思いたい。
2人のステータスを見た感じは、大体、想像通りだったかなー。
カイは、全体的に高スペック?多分だけど。
レンは、殺人剣を幼少の頃より鍛え込まれてきただけあり、ヤバい感じの物理攻撃力。
「因みに、『魔防』が3人共、高いよね」
「だな!」
「だねッ」
同意らしく頷くカイとレン。
「ハルが高いのは、何となくだが……あれだろう?霊的なヤツ!」
「それ、俺も思った。ハルは、多分それ!でも……俺とカイも高めなのが不思議でならないかな?!」
カイの妄言に、間髪入れずに同調するレン。
2人が言ってるのは、幽霊的なヤツ……かな。失礼な話だ。一度も見たことないのに。
うーん、でも何かがいるとかは……感じるかなー。
偶にウザイなーと思って手でシッシッと払うようにすると……直ぐに消えるしー。実害がないので、深く考えてこなかったけど……ほんと、何なんだろうねーアレ。
でも俺の『魔防』が高い理由がそれなら、……2人共、自分は関係ないと高を括っているが、カイとレンも同様だと思う。
2人は、カイ風に言うなら霊的なヤツの帰結に至ってないようなので、ちゃんと教えてあげることにする。理由が理由だけに、少しニンマリしていまう。
「多分だけど……カイとレンも俺同様だと思うなー。見えないから確かじゃないけどね」
「「えっ!!」」
ショックだったようで、2人共、苦虫を噛み潰したような顔なった。
そこまで、嫌そうな顔しなくても……言わない方が良かったかなー。でも言っちゃった。ゴメン。
納得し難いのか再度、確認してくる。
「まじで?!」
「ハル、本当に?!」
「マジで、本当だよ。……ある意味2人とも人気で……定期的に囲まれてたよ。あ、でもウザそうなのは、俺が手で振り払って消した?って言うか追っ払ってたから……大丈夫、多分だけどね」
「おぉぉ!ハル、いやいや、ハル様ー!」
「ハル様、あーざす!」
「取り敢えず、謝意は受け取っておこう!どういたしまして!」
2人から冗談半分に言われているが、悪い気はしない。
3人共に運動神経が良いのは周知の事実で、ステータスは全体的に良かったと思う。女神からの情報が正しいのであれば……。ありそうなのは、間違いではないけど、情報が古かった的なヤツ……痛過ぎだから、無しで頼んます。
そう言うのは、要らんのです。
「そして、『幸運』は、3人共に仲良く50」
レンが軽く締め括った。
「だな!」
「だね」
少しニヤつきながら、カイと一緒に頷いた。
『幸運』50が高いか低いは分からないが、同類……友がいることでついつい安心してしまう……俺。
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