好きな人が偶然に

第一章

第1話 僕の好きな人は

僕には昔から好きな人が

たった一人だけいる。

今日のその子はどうやら朝寝坊さんのようだ。

もうそろそろ起きてくる頃だろうか……。

と思っていたら

「あ。おはよう。」

やはり彼女が下りてきた。

「おはよう。今日は随分遅かったね。」

昨晩はあんまり寝付けてなかったみたいだし。何かあったのかな。

「うん。ちょーっとだけねー。」

間延びした彼女の声に、自然と頬が緩んだ。

「そっか。カプチーノ入れたけど飲む？」

「うん！飲む飲む！」

あぁ。ホントにかわいいな。

「はいどうぞ。」

「わー。ありがとう！ほんと優しいね！

お兄ちゃんって！」

この人が僕の好きな人だ。