私の初めてを奪った欲望の塊

第1話

私は、そこそこ顔がいい方だ。自覚しているし、人からも褒められる。しかし、得をしたことはない。

　私が、初めて男性の体を見たのはいつだと思う？

初めて出来た大好きな彼氏ではない。露出魔だ。まだ、少女だった私を汚したクズ。

では、私を初めて抱きしめたのは？

ストーカーだ。

私は、恐怖で声など出ない。私の体には数々の黒い手形が付いた。一生消えることなどない。汚い欲望の塊によって。

四角い箱の中に押し込まれた人々。その中には、自分の欲望を満たすためなら何をしてもいいと思うクズがいる。私の服の中に手を入れようとする。私は、その手が恐ろしくてたまらない。やっとの思いで這い出たその箱を背に泣くのだ。私が女で産まれたことを恨みながら。

私が、自分の後ろに人が立つことをが恐れる理由は、逃げられない状況に追い込まれたことがあるから。

なぜ、助けてと言えないのか…言っても見て見ぬふりされたから。まだ少女だった私を見つめながら去っていった人の顔が忘れられないから。

私は、大人になった。

私の体は、足首以外真っ黒だ。

私は今、花を育てている。葉には棘があるが、小さな淡い紅紫色の花を咲かせることを楽しみにしながら、今日も水をやる。

いつかクローバーを添えて。