人魚無双〜幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる〜
景華
第1章 そして少女は幼女になる〜咲かせて見せよう幼女道〜
プロローグ
【私を愛して──】
【私を嫌いにならないで──】
【──大丈夫よ──……るわ──……】
悲鳴にも似た心の叫びに、誰かが答えてくれた。
そんな気がした。
遠くて、なつかしい【記憶の声】
まだまだ眠っていたいのに、微睡むまつ毛の上に線のように降り注ぐ光がそれを許してはくれなかった。
「──んぅ……」
ゆっくりと開いた目に飛び込んできたのは、光ではなく────【漆黒】……。
「……え……?」
目の前にいたのは、黒い騎士のような服を一つの乱れもなくカチッと着こなし、同じ色のマントを纏った美しい男性。その男性は黒い衣服に黒い手袋までしてあるなか、さらさらの輝く銀の髪を紫色のリボンで束ね、左肩に流している。
トクン──……
大きく鼓動が高鳴り、長い眠りから覚めてようやく私の時間が動き始めたように感じた。
ゴクリ、と私は息を呑む。
私はこの人を知ってる。
だって……だってこの人は────。
──私がドハマりしている乙女ゲーム【マーメイドプリンセス】の【非】攻略キャラ!!
私の生涯の推しにして、最愛の人!!
騎士団長シリル・クロスフォード先生じゃないですかぁぁぁあ!!
え、ちょ、待ってなんで!? 本物!?
何で愛しのクロスフォード先生が目の前に!?
セイレ王国騎士団長にして、このゲームの舞台である魔法騎士学校【グローリアス学園】で、聖魔法と闇魔法専門の授業【神魔術】を教える教師でもある彼は、
真面目を通り越して堅物。
女性嫌いで人間嫌い。
眉間の皺がトレードマーク。
──とまぁ、とても気難しいキャラなのだけれど、私にとってはそのどれもが魅力でしかない。
そんな最愛にして最推しに、私は今、冷たく光る剣先を向けられている。
不機嫌そうに眉間の皺を濃くし鋭いアイスブルーの瞳で睨みつける私の最推し。
だがしかし!!
私にとってはむしろご褒美ですっっ!!
ぁぁぁあ……!! まさか愛しのクロスフォード先生に会えるなんて……!!
最高すぎるでしょぉぉっ!!
夢なら醒めないでぇぇぇぇえ!!
「はぁっ……推しが美しすぎてつらい……!!」
とりあえず幸せに高ぶる感情を抑えようと、胸を抑え視線を逸らして部屋の中を見る。
私が今座っている純白のベッドは、神々しい光を放つ水晶に囲まれていて、床には所々に数字の書かれた箱が散乱している。
何この部屋……。
──異質すぎる。
私の部屋はこんなじゃなかったはず。
そもそもどこから生えてるの、この水晶。
私が考えを巡らせていると、先生はさらに深くその光る剣の切先を私の喉元に突き付け口を開いた。
「君は誰だ。ここには誰も入ることができないはず。どうやって入った? なぜここで眠っていた? 幼女を手にかける趣味は無いが、返答によっては──」
「ま!! 待ってください!! 幼女って……!! 私これでも二十歳の大人なんですけど!! いくら愛しの先生でも酷いですよ!! 私そんな幼女体型に見えます!?」
畳みかけるように一気に発せられる言葉を途中で遮って私が反論すると、先生は更に眉間の皺を深くした。
そして左手を私の前に突き出すと、ヒュンッ──!! と音をたてながら大きな氷の鏡を作り出し私に向けた。
すごい……!!
これ……魔法?
氷の姿見なんて初めて見た!!
わぁ素敵!! ──って……。
「────え……??」
興奮も束の間。
次の瞬間、私の昂った血の気は一気に引くことになった。
「これでも君は、幼女でないと?」
だってそこに映っていたのは、背中まで伸びた長い黒髪に、桜色の瞳をした──……
10歳程の幼女だったんだから──。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
無機質な水晶だらけの部屋に、私の少し高い声が響いた。
……幼女体型じゃん……。
──後書き──
皆様始めまして!!
景華(かげはな)です!!
異世界転移(?)幼女化変態型恋愛ファンタジー!!
ご覧いただきましてありがとうございます!!
一章は主人公神崎ヒメちゃんの努力と挫折をメインにお送りし、二章からは15歳に成長し、魔法学校での授業や魔物や他国の魔術師との魔法バトルに恋愛(ラッキースケベもあるよ)に、陰謀に思惑に、壮大な本格ファンタジーになってきます!!
彼女の明るくひたむきで一途な愛を、そして変態的な推しへの愛を、どうぞ最後まで応援していただけると嬉しいです!!
そしてよかったら、☆やコメント、レビューなどで応援していただけるとものすごく喜びます!!
これからよろしくお願いします!!
↓表紙イラスト
https://kakuyomu.jp/users/kagehana126/news/16817139557799429122
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