第5話お見逸れしましたご老体

僕は自分より弱いものバカにしたりけなしたりはしない。

人間として当然の事である。

だが、ご老体の会話にはユーモラスに満ちており面白い。

うちのばあちゃんは今から15年前、98歳で亡くなった。大往生である。

ばあちゃんはテレビが好きで、僕がばあちゃんちを訪ねると、必ずテレビを見ていた。

「笑っていいとも」が好きであった。

たまに、遊びに行く程度であった。

そのばあちゃんのテレビが壊れたらしい。

ばあちゃんは業者に頼み、新しいテレビを購入した。

ばあちゃんちに電話を掛けた。

「もしもし、ばあちゃん。新しくテレビを買ったらしいね」

「うんうん、買うたよ」

「どこのメーカー?」

「……」

「テレビはどこの製品?」

「……ヤンマー」


ばあちゃんの一言で笑った笑った。

今となれば、良い思い出である。

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