追放戦士のダンジョン攻略 ~魔法の使えないただのタンク役の戦士だからと追放されたが、かえってよかった。不遇職の戦士でも、双剣の戦士として成り上り、次々とダンジョンを制覇する。
@setsunayo
第1話 パーティ追放
「セフィー、おまえをこのパーティから追放する。」
ギルドの一角で、魔剣士のユージンが急にそう言った。
俺は最初何を言われたのか、わからなかった。
「おいおい、何を言い出すんだ。このパーティのリーダは、俺だぞ。みんな俺が誘って参加したんじゃないか。」
魔剣士のユージン
魔槍士のアリス
プリースト(僧侶)のラグラス
魔術師のハイド
魔術師のレイナ
そして、戦士の俺、セフィー。
このパーティ「三日月の剣」は、俺が、15歳の成人を迎えた時に、ここダンジョンの町ニールでメンバーを集めて結成し、この1年ほどでDランクのパーティになっていた。
ここからさらにレベルアップを重ね、ゆくゆくは、ダンジョンを制覇し、Bランクまで上り詰めるのが、当面の目標だ。
その後もダンジョンや依頼をクリアし、「三日月の剣」の名を世界にとどろかせてやるとみんなで話していたものだ。
「おまえは魔法が扱えない。これから上を目指す俺たちの足手まといになる。」
「おい、ラグラス何とか言ってやってくれ。」
「俺たち4人も同じ意見だ。」
どうやら5人とも同じ意見らしい。
スラムで育った俺は、拾ったナイフと手作りの木の盾で、13の頃から、ホーンラビットを狩って金をため、成人するとギルドに登録した。
マナの扱いがわからなかった俺は、魔法を覚えない戦士にしかなれなかった。
戦士は、魔法の使えない不遇職と言われているのは確かだ。
しかし、俺は、これまでパーティのタンク役としてやってきた。
先日も、ためたお金で、新しい大盾を買ったばかりだ。
「俺は、パーティのタンク役としてタゲをとって貢献しているはずだ。特に魔槍士のアリスとの連携は、うまく行っていて、何度も魔物を倒してきた。また、バックアタックを食らっても素早く対応している。それに、魔物のことやダンジョンのことは、俺がギルドの資料室でかき集めている。役に立っていないわけは、ないはずだ。」
「お前は、マナがうまく扱えない。タンク役ならだれにもできるが、お前は、今も、今後も魔法が使えるようにはならないだろう。」
マナは、攻撃魔法や回復魔法、付与魔法などすべての魔法の源だ。
普通の家であれば、幼いころから、マナの集め方や練り方などを教えられている。
スラムで育った俺は、マナがうまく扱えず苦労していたのは確かだ。
「しかし、なぜ急にそんな話になるんだ。」
「急じゃない。以前から俺たちのなかでは、話していた。最近、俺たちと同じレベル10の聖騎士が、パーティに入りたいと言ってきたのだ。」
「レベル10の聖騎士がなぜフリーなんだ。」
「知らん。しかし、魔法は使える。」
「ハイド、アリス、レイナ、それでいいのか。怪しい聖騎士とやっていくのか。」
「怪しくなんかないさ。俺も会っている。いい奴だ。」
「セフィーには、感謝しているわ。でもこれから先のことを考えるとやはりこうなるのよ。」
「そういうことだ。お前が出ていくか。俺たち5人が出ていくか、いずれにしてもお前は1人だ。」
俺は、あきらめパーティを出ていくことにした。
ギルドでは、1人では、パーティと認めてくれない。
信頼していた仲間に裏切られたことは、相当なショックだった。
- とにかく、収入元を見つけなければ。
先日、大盾を買ったので、たくわえがあまりない。
それに俺はタンクだ。ひとりでダンジョンには、もぐれない。
早く仲間を見つけるか、収入元を確保するかしないと、またスラム生活に逆戻りだ。
翌日から、パーティや仲間を探した。
駆け出しのころは、同じ初心者を誘えばよかったが、レベルが上がった今、そう都合よく自分に合った者が見つかるものではない。
俺が、ギルドを去ろうとすると、ユージンたちが、新しい仲間とともにギルドから出るところだった。
俺は、完全に無視したが、ユージンが話しかけてきた。
「セフィー、新しいメンバーは、見つかったか。魔法を使えないただのタンクには、厳しいだろうが、せいぜい頑張ってくれ。」
俺を完全に見下している。
無性に腹が立つ。
- 必ず見返してやる。
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