第27話 side アスモデウス ☆挿絵あり
「アス、聞いてた?魔王の側近を倒すだけでなく惚れさせちゃった!完勝だょ。」
主人が嬉しそうに話してくる。
ヨルム殿には主人が自己回復出来るくらいの魔力を分け与え放置して来た。結界を張っておいたが魔物に襲われるしんぱいはないから大丈夫だろう。
あの階層に生物はもういない。大地は砕け散り舞い上がった土砂で光が遮られ暗黒の地と化している。
フロアボスも巻き込まれて死んだ。
なぜ分かるかと言うと主人が最後のワザを放った直後転移の為の石碑が現れたのだ。
ボスエリアも跡形もなく消し飛んだとみるのが妥当だろう。
俺も危ない所だった。多重結界を張り。主人の背後に回らなければ間違いなく死んでいた。
まさに破壊神だ。この主人と一緒にいては命が幾つあっても足りない。
戦いを見ているだけで何度も死線をくぐらなければならないのだから。
「やっぱり命懸けでバトると女としての魅力も上がるのかなあ?」
「ハッ!流石アル様!感服いたしました!(んなわけないだろ!てか、あんた男だよな?もうどうでもいいけど・・・)」
「アス、今度からアタシの事はアルル様と呼びなさい!わかった?」
「ハッ!アルル様!(その格好気に入ったのか。ノリノリだな。)」
「アス、アンタも人間みたいになれんの?」
「ハッ!可能でございます!(まさか。なれってか?)」
「へえ。ちょっとなってみてよ。」
「はっハッ!(出たよ、無茶振り。勘弁してくれ!)」
はあー出来るけど嫌なんだよなあ。ちっこくて魔物共に舐められる感じがして。
やれって言われりゃやるけどさ。はぁ。
ぽわん。
「おっ!カッコ良いじゃん!もふもふ髪可愛い!」
毛並みと同じ茶髪もふもふの髪に垂れ目で眠そうな感じの青年。これが俺だ。
はぁ。こんなガキの言いなりとは情け無い。
髪をわしゃわしゃされる。
駄目だこのガキ早く何とかしないと。
食事を食べ終えた頃を見計らい話しかける。
空腹だととにかく機嫌が悪いのだ。
「アルル様!」
リボンの付いた髪留めを装備中の主人に呼びかける。
「なあに?」
「この姿のままだとアルル様を背に乗せて走る事が出来ません!ご主人様を歩かせるなど下僕として恥ずべき行為!是非元の姿に戻って我が背にお乗りいただければと愚考いたします!」
上手く誘導しなければ。このメスガキはすぐ癇癪を起こしろくでもない事になる。
「あーそっか。どうしよう。んー。ちょっと抱っこしてみて。」
はっ?抱っこだと?本気か。
持って移動させる気か!?
「ハッ!しっ失礼します。」
腰に手を回す。
「やん・・・。」
このメスガキがあ!!変な声上げるんじゃねえ!
イラつきを抑え片腕を腰に回して持ちあげる。
「下ろして。」
ん?何だ?
バキッ!ドゴォン!
顔にハイキックを喰らい吹き飛ぶ。岩盤を数枚ぶち抜き止まる。
ゴフッ。深刻なダメージを負ってしまった。
この破壊神、ヨルム殿との死闘を経てまた強くなってやがる。
「アスぅ。3、2、いーち」
!! 破壊神の声ッ!
メスガキの前に転移する。
遅れると追撃がくる為1秒とて遅れはゆるされない。
「なに今の?アタシはお姫様抱っこしてって言ったよ?荷物の様に小脇に抱えろとは言ってないけど?」
「ハッ!も、申し訳ございません!ガフッか、勘違いをしておりました。」
吐血してしまった。ダメージが深すぎて回復が追いつかない。
「もっかいして!てか血凄っ。ワンピに着いたらヤダなあ。んー、やっぱいいや。」
「ハッ!承知いたしました!(このガキャアアアア!絶対コロす!絶対コロす!)」
「アスぅ?」
「ハッ!(コロす!コロす!)」
「殺気漏れてるよ?」
「ハッ!(コロす!コロ・・・え?)」
禍々しい笑顔の主。
ヒイイイイイイイイ!!
この後、滅茶苦茶殺された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます