第25話 VS ヨルムンガンド
構えた瞬間ヨルム(ヨルムンガンド)の気配が変わる。
数瞬前とは別人だな。
奴は空手で構えている。武闘家か。
対して俺が構えているのは黒薔薇の装飾がされた、ショートソードだ。
棒では雰囲気が出ないからな。
「いくぞ。」
奴が呟き。怒涛の撃ち合いが始まる。
俺とヨルムが激突するたび数千の火花と衝撃波が生まれ結界内が震動する。
この結界持つか?なんて考えていると額をのすぐ前を奴の踵が落ちる。
ズバァ
額から鼻の脇にかけ出血する。
避けた筈だが・・・衝撃波か?
そこから紙一重で避け続けるも奴の攻撃が当たりいたる所から出血する。
良く観察してみるとヨルムが拳を繰り出すと周囲に揺らぎが生じている。空間にまで影響してるのか。
【ディメンション】を使う。
この方がより鮮明に知覚できるな。
しかし傷はすぐ治るが服は破けたままだ。
「破れないんじゃなかったのか?」
ニヤニヤしながら奴が話しかけてくる。
「ああ、そのつもりだったんだけどな」
俺の魔力が通っている物に傷付ける奴がいるとは。
あーあエロさが倍増してるじゃないか。
そろそろギアを上げてくか。
神速で接近し斬撃の雨をふらせる。
今使っているのはシューティングスターだ。
移動手段、技の繋ぎと応用しまくっているためもう技と呼べないな
どうだ、手数で圧倒的に上回った。やつでもこれを捌ききるのは難しいだろう。
さっきとは逆にこちらが有利となる。
!!
凄まじい魔力の高まりを感じ飛び退いてしまった。
「いつ以来だ。これ程の緊張は。こりゃヤバイ。」
「バリスティックシールド。」
魔力の障壁を張り備える
アスのカタストロフカノンごときでは傷一つ付かなかった俺の防御の要だ。
「迅雷風烈!」
ヨルムのラッシュによるあり得ない衝撃。正面から受けたら不味い。シールドに角度を付け流し受ける。
いや完全には無理だ。数カ所抉られた。
あーこれイッたか?消えた箇所をみると消えてない。おお?
回復するスピードこんな早かったんだ。
ここまでのダメージ受けたの久しぶりだったからなんか感動した。
「あれ喰らって生きてるとかテメェ何者んだあ。」
「人間だ。ワタシを側に置くと言っていたのに殺す気満々だな。」
「やらなきゃヤラれんだ。仕方ねえだろおがよう。」
「・・・・・・。タイムだ。」
「タイム?」
「結界が消えてるだろ。あまり意味は無さそうだが張り直させる。アス!」
自分に多重結界を張り遠くに隠れているアスを発見。スターティアー(剣に魔力を乗せ放つ遠距離攻撃)を当てると「ギャッ!」と悲鳴が聞こえた。
「服もボロボロだ。肝心なところは、辛うじて残っているが・・・。」
ヨルムがこちらを見ている。
「服を着替えるからあっち向いてて!覗いたらメッだよ!」
ウインクして舌を出す。
「・・・おっおう。」
照れている。
ゴスロリワンピに着替える。さっきのより防御力は上だ。
再開する。向こうも遊びはやめたようだ。
魔力は極限まで高めている。刹那に放たれる数千の剣撃。その一撃一撃が必殺の威力を誇る。
既に結界は消し飛び大地は所々消し飛んでしまった。
殺し合いは数日程続くが決着はつかない。
お互い致命傷を負ってもすぐ回復してしまうのだ。
奴の回復力も中々だな。さてどうしようか。
点より面。面で攻めてみるか。
距離を取りメテオストライクを連発する。空から降る一億の斬撃。おいおいマジか。全弾弾いてるぞ。
奴の意識が逸れている間にシューティングスターで距離を詰め懐に入る。
「!!?」
「メテオバーストストリーム」
ゼロ距離からのメテオストライク。威力はご覧の通りだ。跡形もなく消し飛んで・・・いない!後ろか!
「くはっ。」
蹴りで脇を抉られた。
はー本当嫌になる。ゼロ距離だぞ。あれを避けるかね。
「危ねえ危ねえあれヒットしてたら詰んでたな。はぁはぁ。」
肩で息をしている。避ける為に大分無理をしたようだ。
そこから徐々に形勢逆転。俺の攻撃が通るようになり、ヨルムの闘気は消えていく。
傷も癒えていない。回復する魔力が減っているいようだ。俺はまだ余裕だがね。
「クッソ!魔力切れで終わりとか。クッソ!」
悔しがってるな。
俺もこのまま勝っても嬉しく無いぞ。
「おい!ヨルム!」小瓶を放り投げる。
「エリクサーだ。飲めよ。」
「!!」
「アタシと決着つけたいんだろ?」
「・・・ああ。」
「最後だ。お前の全てを出してみろ。アタシが受け止めてやる。」
息を飲むヨルム。
「最高だ・・・。」
エリクサーを飲み干し魔力を練る。
俺も残った全ての魔力を黒薔薇の剣に注ぎ込む。
互いの闘気が迸り収束。
最後の必殺技が放たれた。
「煉獄」
「スーパーノヴァ」
刹那の瞬間、音、光、大気、全てが喪失した。
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