第21話 アスモデウス
ボスフロアを抜け奥の空間に進むと、大浴場にあったものと同じ石碑が置いてある。触れると1層目と似たような山岳地帯に飛ばされた。
2層なのか?
「おい、2層に転移したのか?アナウンスが無いぞ。」
『はいはい、2層攻略スタートよ。』
あの小娘、テレサと言ったか。不貞腐れるとすぐこれだ。子供だから仕方ないか。
「ディメンション。」
スキル、ディメンションは空間を把握する能力だ。魔力を使っての索敵なので死角はない。
周囲10キロ程の地形を把握する。
魔物の強さは魔力の密度で大体分かる。
この辺は雑魚しかいないようだ。先へ進もう。
キャンプをしながらのんびり進む。この辺で獲れるウサギはジューシーで美味い。
2層に来てからどれくらい経ったのだろうか?
あの女神、仕事をサボって日にちを言わなくなりやがった。
濃密な魔力を感じディメンションを発動。すると2層の魔物とは比較にならない程の魔力を持った集団を発見する。城のような所に集まっているな。
「どれどれ、行ってみるか。」
ディアボロの城より大きく荘厳な作りの城が見えて来た。
城門は閉じられている。
城壁を飛び越え中へ入ろうとするが見えない結界に阻まれる。
城全体に張られているようだ。
「さてどうしたものか。」
このまま無視して行っても良いが、中の強者が気になる。
強引に突破出来るだろうか?
ドンッ!
城門前の結界を殴る。
衝撃派で大気が震えるも結界はびくともしない。
「固いな。」
魔装の密度を上げる。
棒を取り出し魔力を纏わせる。
「シューティングスター。」
ドゴオオオオオオオオオン。
凄まじい爆音と衝撃波。
結界は消え去り城が消滅していた。
「ふむ、対象の強さが分からないとやり過ぎてしまうな。こまやかな調整が今後の課題か。俺は破壊神ではないのだからな。ふふふ。」
『(笑えないっての。)』
「何が起きた!?何故城が崩れている!?」
宙に浮かぶ6メートルはあろうかという悪魔の影。
頭にはクルンとした角が2本、背中には羽、モフモフの体毛に覆われたトカゲの様な悪魔がいる。
「お前がこの城の主かね?」
悪魔にたずねると、
「貴様は何者だ!神の手下か!?」
質問で返された。
「名乗るのが遅れたな。俺はアル・ディライト。人間だ。このダンジョンを攻略している冒険者だ。」
「ふざけるな!人間にこんな事出来るわけがない!貴様、使徒か!」
何やら勘違いしているようだ。
「まあ、何だっていいじゃないか。剣で語り合おうじゃないか。」
「誰を相手にしているか分かっていないようだな。いいだろう。望み通り消炭にしてやる。」
「そう言うセリフは人間と変わらんね。」
魔装の密度を上げ、棒を構える。
「メスガキが!消し飛べ!カタストロフカノン!!」
ズバァ!!!
トカゲの悪魔が口を開けると魔力が収束し凄まじい威力で吐き出される。
それを棒で難なく弾くと彼方に吹き飛び大爆発し地平を炎で赤く染める。
「カタストロフカノンを・・・。神をも殺す不滅の焔を・・・。な、なんなんだ。お前、その力は。ハァハァ。」
「はっ!凄いな、地形が変わったぞ。お前も俺と同じだ。加減という物を覚えた方が良いぞ。まあ、これから死ぬお前に言っても仕方がないか。」
魔力を収束させていく。
「なっ、何と言う魔力の奔流。こんな、ハァハァ、こんな事が」
「いくぞ。シューティング・・・」
「ちょ!?待て待て待て待てっ!おまっふっざけんな!勝てるわけないだろ!私の負けだ!だからそれ止めろ!」
「・・・・・・シューティ・・・」
「やめろおおおお!止めて!止めて下さい!お願いします!何でも言う事聞くので助けて!」
「・・・・・・シュー」
「あーもういい!分かったよ!ヤれよ!ほら早く殺せ!クッソ早くしろよ!」
ふふふ。反応が面白いので遊んでしまった。
「冗談だ。流石に命乞いする奴をヤるほど外道ではないよ。」
「っざけんなよ!城ごと配下を吹っ飛ばしておいて何言ってんだ!殺すぞ!」
「・・・ああん?」
「すいませんしたっ!」
何だコイツ。雑魚臭しかせんな。ジィーと見る。
名前 アスモデウス
種族 上位魔神
Lv 計測不能
ディスペアダンジョンを統べる8柱の1人
700層のフロアボスを倒すと資格が与えられ2層にある居城に転移出来るようになる。
この鑑定合ってるのか?こんな小物が8柱の1人?魔剣の事といいポンコツスキルと言わざるを得んな。
「テレサ、これは俺の勝ちでいいのか?ダメならキッチリ始末するが。どうなんだ?」
遠くで「ヒィ!」と小さな悲鳴が聞こえた・・・ような気がした。
『チッ・・・雑魚悪魔の服従を確認。カス悪魔討伐報酬を付与するわ。受け取りなさい。』
大分イラついているな。からかいがいのある奴だ。
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