感染症の地元を脱出して新村形成
メグルハ
序章 感染都市からの荒野へ
第1話 愛する家族と家を捨て開拓キャラバンへの出立
頃は2月18日の夕方の頃、北風が激しく吹いていた。波止場の波も激しく打ち立てていた。
私の故郷であるリバルディア地方にあるスベルタでも日は暮れなずんでいた。
しかし、そこには日常は無く、普段は石畳のきれいな街並みにも、遺体がゴロゴロと腐敗臭を醸し出していた。まるでこの世の地獄である。臭い。とにかく臭い。
血もあちこちに散乱し、綺麗だった街並みも変わり果ててしまった。
人々はこの死に至る病をコロリン病と呼んだ。ある日、ころっと転がり死んでしまうからだ。前日まで元気だった人もこの病気にかかっているとある日突然死ぬのである。仕事中でもデート中でも突然死ぬ。しかも厄介なのは、この病気は何を契機にかかっているのかが分からない。
コロリン病が出た家族は感染病棟に閉じ込められ、人々からは忌避された。通路に落ちている人々はコロリン病が出た家族が片付けることになっているが、結局、家族もコロリン病で死んでしまい、ミイラ取りがミイラになってしまうのであった。
私はこのスベルタから出ていくことに決めた。愛する家族を守るため。もうこの街では衛生的な暮らしがもうできないからだ。共同の井戸の水にも病原体の元が混ざっているかもしれない。トイレにも病原体がいるかもしれない。
「もう行くぞ。出発の準備はできたか?」
「えぇー。私、行きたくない。なんでこの街を離れないといけないの?」
「前も言っただろ。この街ではもう暮らし続けることができないからだ。隣の家も全滅して空き家になっただろ。お母さんもなにか言ってくれ」
「そうよ。野菜も肉も市場でも手に入らなくなってきたわ。もう市場の担い手もいなくなってしまって、買い物がこの街ではできないの。」
「それに、もうすぐ戦争が始まるかもしれない。我がソルディア国の疲弊をもとにルナテラス国が攻めてくるかもしれない。この街では住み続けることはできないんだ。なんでもソルディア国王の友好親善の手紙を、ルナテラス国の大臣が偽装して取り替えてしまって、ルナテラス王がカンカンに怒っているらしい。」
「戦争って何?それは私には関係ないんじゃないの?」
「ここは大都会・スベルタ。しかもルナテラスの国境に近い。まず掌握される街だよ。」
「そんなの嫌だよ。もうこの街では住めないの?」
「そうだよ。だから誰もいない荒野に共同移住することになったんだ。開拓キャラバンがまもなく出るよ。この話は何回もしたのに納得しない子だなぁ。誰に似たんだか。」
かくして我々、アルファンティス家一族は開拓キャラバンの元へ行くことになった。
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