第60話 サービスと連呼する住人 その2
過去にサービスなのかと連呼していた住人の話を書いたと思う。
コミカライズはされているが、コミックには未掲載。
その1は、原作の記録があるので、再度まとめて出すとしよう。
そちらの不動産業者から、再度の連絡がきた。
「またお願いしますよ、別の物件の住人がサービスサービス言ってまして」
また変な客の対応を、こっちに振ってきた。
大体自分達で、相手にするものの、対処出来なくてこちらに振る事が多いのだ。
今回も顧客情報を貰い尋ねた。
駅から徒歩15分、3LDKのファミリータイプに住む男性。
駅から離れて広いから即決したそう。
何が起こるのかを聞くと、キッチンの下の扉、吊戸棚、食器棚、キッチン回りの扉が勝手に開閉する。
「これってサービスかなんかですか?」
扉の開閉がサービスってなんだよと心の中で悪態をつく。
その開閉、他の部屋では発生しない模様。
話を聞きつつも、この人も前の人みたいなのかと、少々心配になる。
彼が時計を見て、「あと少しで始まりますよ」と言うので、急いでビデオカメラをセットする。
同時に、スマホとアクションカメラも準備。
数分後、吊戸棚から皮切りに始まる、流し下段扉、吊戸の残り、後面のサイドボード、食器棚と開閉。
蝶番が錆びているのか、微妙な軋み音で曲を奏でている様だ。
しかし、なんの曲かは解らない。
傍目には不協和音なのかな。
住人の彼は、耳を澄ませ聞き入っている。
時間にして15分程、嫌な音から解放された。
彼は目を輝かせて「やっぱり、これってサービスですよね」
うん、相手にしてはいけない。
機材を片付けて、後日結果を知らせるとして撤収。
因みに同じ建物の他の部屋では、ポルターガイスト的なのは発生していない事は書いておく。
事務所へ行き報告する、彼らも同じ事を言われ、錆びた蝶番の音を聞いていた。
住人以外に被害は及ばないから、放置していた模様。
解決をするには、先生にお願いするので、当然有料となる。
それを知っている社長は、「とりあえずこのまま、現状維持で」となった。
また住人が、おかしな動きがあったら連絡が来ることになっている。
前は見えないけど見えるだった、今回は音だったが、念の為に先生の事務所へ映像を持ち込む。
一目見るなり、「俺が手出すまでじゃねぇ」と
寧ろクルミが、画面にかぶりつき考察を始める。
「次に連絡がきて、解決を求めるなら、しっかり請求してやるからな」と親指と人差し指で丸を作る。
取れるところからは、しっかり取る顔だ。
そんな変な物件であり、変な物件を扱う不動産会社と住人のいたマンションの話でした。
進展あれば、また呼ばれる事でしょう。
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