第58話 ワンルームマンションの秘密
もうかれこれ十年は経たので、そろそろ良いかと思い書くとする。
既に元請け会社は無く、関係者各位消息不明なのでね。
都内某所(この物件は今でも存在している)の、ワンルームマンションでの話。
依頼があったのは、昔付き合いのあった不動産業者。
「第九話 黒き箱」の業者ね
そこからの依頼で、打合せに同行した。
外観は良く有るマンション、ポストの数が多いからワンルームなのだなと予想。
エントランスから中に入ると正解。
三◯六号室
鍵を開けて入る、空気の入れ替えをしていないので、臭さが籠もっていた。
玄関を入り、真っすぐに廊下、左手にミニキッチン、右手にはユニットバス兼トイレのはずが、額縁しかない。
いや、違う、元々ユニットバスの扉だった場所が、塞がれ上に壁が作られている。
この部屋の臭いはあそこからだろと検討がつく。
短い廊下を進むと居室は一段下がる、廊下部分には、水回りの配管があるので、どうしてもこうなる。
居室入って右側、クローゼットがある、壁挟んで隣はユニットバス。
業者曰く、『このクローゼットを壊して、奥にシャワーユニット、手前に単特のトイレを造って貰いたい』
給水と排水はどうするかを聞くと、キッチン側から取ってくださいと言われたが、水圧の関係もあるので、多分シャワーで満足に水や湯は使えないと伝える。
既存のユニットバスに繋がっているはずだしね。
排水に関しても、キッチン側に流して下さいと、そりゃ駄目だよ。
大体がキッチン側の排水も、ユニットバス側に纏まって流れるのだから、ユニットバスの配管確認しないとと告げたが、断固として聞かない。
風呂を潰している段階で、ヤバいのだからこれは触らん方が良いと結論を出す、その間十五分。
それでね、ヤバい案件だから多少の色を付けるなら、考えなくもないよ。
その業者は、『負けろ負けろ安けりゃいい』しか言わないんだ。
このおっさんとは、もう仕事しないで良いやと思い、思わず言ってしまったよ。
「オタクの値段に、見合う業者探したら良かろう。うちは低価格が売りじゃ無いんでね」と
顔を真っ赤にして罵詈雑言かましてたけど
納得出来ないから断ったよ。
そして、後日談。
自称大工が乗込み工事をした、内容を聞いていないのか、既存のユニットバスの壁を壊して中を空けた。
おっさんの悲鳴が響き渡り、管理人突入。
ユニットバスの惨状を見て、警察登場。
結果として、浴槽の中でバラバラにされた事件の現場だった。
乗り込んだ大工達の一部精神的なアレになる。
仕事を持ち込んだ不動産業者、警察に呼ばれる。
この辺りからおかしくなる
この話の結末をなぜ知っているか
元々の発注主が知り合いだったからね
それ以上は言わないお約束
もちろん、制約があるので、何箇所も暈していたりしますので、其の辺は勘弁して下さいね。
大体匿名やら所在地やら名称やらをポロリするのが
私共で企画しているリアルイベントです
勿論コミカライズの裏話などもポロリポロリとしております。
宣伝?付けたし今回はこの辺で終了。
今回は早かったね
次は未定だよ
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