第39話 地中には何が…………

会社員時代の事ですから、三十年近く前の話です。

当時、東京は新しく建て替える建物が多かったと記憶している。

そんな折、私の担当になったのは、都内の某呉服問屋(現在その大店は別の場所にあります)

昔の木造の店舗を解体し、新たに鉄筋コンクリート造5階建てにして、1.2階を呉服問屋の店にする。

内装は木造時代の店舗に似する仕様でした。

解体工事から着工し、基礎工事に入る為に地面を掘り返し始めた。

すると、家主たちも知らない地下室が出た。

地面から地下2階程度の場所に、部屋があった。

中を確認すると、大人が一抱えするくらい、60cm程度の龜(かめ)が出てきた。

蓋の部分は、油紙で栓をしてあった。

不思議に思ったのは、かなりの時を経ているのに、

油紙が湿っている感じだった。

龜(かめ)の数が24個あり、4個は割れていた。

割れた龜(かめ)には、ゴミクズ1つなかった。

問題は割れてない龜(かめ)

私は触りもしなかったが、一連の作業は土工事の職人さんが担当。

龜(かめ)を運び出し、作業している土の上に並べた。

若手の一人が、年配の職人に言われ、恐る恐る油紙を剥がす。

中には黒や白の糸のようなモノが入っていた。

油紙を広げると、達筆な筆文字で何やら書かれていたが読めないので保存。

どうやら髪の毛のようだった、これを会社へ報告し、施主さん立会の元、どうするかを決める。

この家の菩提寺に連絡し、住職に来てもらい判断を仰ぐ事になる。

住職は来るなり、ひと目見て汗が尋常で無いくらい吹き出しガタガタ震えていた。

つまり、(ヤバイやつ掘り出してんじゃねぇよ)と思ったんだろうね。

お経をあげてもらい、処分するのかと思ったら、住職曰く、

「あった場所に再度、安置所を造って納めるように」となった。

施主も反対しなかったので、地下部分に開かずの間的な部屋を造り、龜(かめ)を全て納めて封印を施した。

その時、住職さんと近所の神社の神主さんも立会で行った。


その後、店舗にもいくつかの仕掛けを施した。

主に地下のモノたちが悪さしないようにだとか。

この仕掛けは、住職と神主と共同で色々やった模様。

当然記録等残っていないので、何を施したかは不明。

建物が竣工し、20数年の後、解体されたと聞いた。

その際、地下はどうなったかは聞いていない。

今現在、その場所は、大きな施設の一部になっている。


そんな事が昔にありましたよ。

何故今頃出したか、それは文章化していないので、

記憶に留めておくには、嫌なだけです。

アウトプットしたら忘れることにしていますので。

この手の会社員時代の、変な物件で起こった怪異はボチボチ出していきます。


2023-01-04




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