第37話 住めない その2

近くの物件の話

地元で土建屋をやっていた老人が亡くなった。

死因は放火の上、心臓を包丁で衝かれていた。

犯人は見つからず。


昨今仕事が減った関係で、土建屋も縮小、

現社長の息子は事務所も移転していた。

先代だけは、旧事務所兼自宅に暮らしていた為、発覚が遅れたとのこと。


先代が見つかったのは3階の元事務所部分でした。


暫くは消防の調査と保険屋の調査があり、半年位放置されていた。

なんだかんだと一年後くらいに整地され、住宅メーカーが購入した。

そこそこの広さもあった為、4分割し、一戸建て木造3階建ての建売が4棟出来た。

手前の住宅は特に問題ないが、奥の2棟が問題があった。

誰もいないのに、気配がする、階段を上がってくる足音がする、うめき声がする。

どれも3階部分に起こる、隣の家も同じ現象が起こる。

このせいで、奥の2棟の購入者から、不動産屋に入る苦情の多い事。

処分したくても建売ですから、売買に時間も掛かる。

2回目の客へ中古物件として販売するも、一月で不動産屋へ買取れ等と問題発生。

困り果てた不動産屋は、業者の伝手を使い、私達の元へ辿り着く。

経緯を聞き、対策を立てた。

不動産屋に、出費を覚悟して、今ある建物を一度解体し、再度新築する様にとした。

出費はあるが、前回のやり取りで疲弊していた為、即決で了承を得た。

今度は木造2階建て、念の為3階のあった部分へ結界を施し空間に閉じ込めたのだとか。

もちろん、別途費用であのおっさんが回収していました。


この2棟を建てた時の裏話があります、

ここのヤバいのは、3階部分。

屋根の作業をしていた職人から言われたのは、

作業中に、背中に何か乗るから何度か落ちそうになったよ。と

念の為、先生から作業中に限りお守りを持たされていたので、助かったのかもしれません。


その後、無事完成し、販売を開始しましたら、早々に完売しました。

現在何も問題無く生活されています。

不動産屋からは、もう少し安くと言われましたが、思いの外、早く完売出来たので、色々チャラになった模様。


その1とその2共に『3階』が共通ワードとなりますが、特に意図はありません。

この2つの話は、2022年11月23日都内某所にて行われました、

怪談会(リアルイベント)にて話したモノに、加筆しての公開となりました。

イベントの本編では無く、休憩時間にした話だったりします。

休憩時間でも怪談かよと皆様に呆れられましたが、

それでも聞き耳立てて聞いていのは、さすがにイベントに来るだけあるなと思った次第です。

次回は夏に開催予定ですね。


以上


住めない その2







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