第36話 住めない その1

ある繁華街のビルの3階で殺人事件があった。

その後、全面リニューアルし新たに入居者を募った。

入居者が来るが、早い人は3日で出てしまう。

事故物件だからと、好んで住みたがる人も居るが、

その人達も早々に出ていく。

ビルのオーナーは、回転が良いが悪評も立つからと、解体し新たなビルにしたいとの申し出。

出るのは3階だけなので、完全に使わない事を前提で計画をする。

諸々申請関係や検査があるので、管理者のみ入れるのを前提に、非常階段には鋼製扉を設置、専用の鍵でしか開かない様にした。

エレベーターも同様、3階は止まらない、パネル表示もしない。

世間に知らせぬよう、徹底的に隠した。

それが功を奏したのか、8階建てビルは完成し、全フロア埋まった。

臭いものには蓋をしろの考えのオーナー

オカルト方面には金を掛けない

見てくれだけで済ませた

建設当時、3階部分に結界を張って、上下左右前後に影響を出さない方針だったが。

見えないものに金は出せないと主張、見える防御は完璧だと言う事だろう。

その結果、霊的な防御は一切やらなかった。

完成から数年の後、未曾有の大震災があった。

その際、ビルは使用不可の状況になる。

各フロアの検査をしたところ、封じられていた3階が、内側から何かが爆発したかのように鋼製扉が吹き飛んで居たという。

同時に上下左右にも穴を開ける程の威力だったとか。


その時は、我々はノータッチで、地元の業者が解体工事をしたそうです。


あの3階には何が封じられてしまったのか

今では解らない事ばかりですが、

当時、設計をしたあの方は、あいも変わらず不敵な笑顔で。

『ケチるからだよな』と言っております。




最後だけ、スペシャルゲスト的に。


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