第34話 イタズラ

ある神社の改修工事のときの話

壁が漆喰塗りで、左官職人が前日に、フネに漆喰の粉を用意して、シート被せて翌日朝から仕事出来るようにして帰った。


翌朝、シートを捲ると何かおかしい。

フネの真ん中に穴が空いている。

左官職人は大声上げて犯人探しをするが、ここにいる全員、今来たばかりだからありえない。

左官職人は喚いているが、私らは何がおきたのかを確認する。

よく見ると、フネの真ん中に穴があり、穴を覗くと、どうやら拳の型取りをしたみたいになっている。

ただね、拳なのだけど、掌を開き指を広げた形だった。

有り得ないんですよね、漆喰の粉を崩さずに、掌を抜くなんてね。

そんな感じで、作業スペースで騒いでいたら、神主さんがやってきた。

『何かありましたか?』と聞かれたので、件の話をしたら、何か判明したんでしょうね。

『あっ!』て漏らしたんですよ。

訳知りだなと思ったので、逃げ腰の神主さんを捕獲して、話を聞きました。

神主さんが言うに、夜中にこの神社の神様が出てきたと。

お告げでは無いですが、『イタズラしてしまった』と

朝起きても覚えていたが、これだったのか。

つまり、漆喰の穴は、神様の付けたイタズラ?


左官職人も、縁起良いんじゃ?となり、その漆喰を使い壁を塗りました。

すると不思議なんですよね、塗った壁がね、光るんですよ。

蓄光みたいにボンヤリとね。

それが、数年経た今でも光っているんですよね。


2022-11-23

この話は、この日に参加型の怪談会にてお話した話になります。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る