The kiss of angel and little devil.
ー橘柚月視点ー
あのあと私たちは公園のベンチに座り直して、話し合った。
「なんであんなところで泣いていたんだ?」
「嫌いにならないでほしいんだけど…」
「もちろんだよ、僕が柚月嫌いになることは絶対にない」
「……っ!」
どうして蓮はいつもかっこいいセリフを言ってくれるんだろうか。
「あのね、放課後に蓮に話しかけようとしてたら、颯希と話してて、気になって付いていったんだ。ごめんねストーカーみたいなことしちゃって…」
「そうだったんだね…映画のとき柚月の気配がしたのは気のせいじゃなかったんだ…」
蓮が何か小さい声で呟いている。
何か気になったところがあったのだろうか。
「けどそれのどこに泣く要素があるんだ?」
はっきりと言ったほうがいいのかな…
蓮のことが好きで颯希にとられるかもと不安になったからって…
「やっぱり聞かないよ、デリカシーがなかったごめん」
「え?」
思わず声が出てしまった。
「だってそんなに悲しそうな顔をしている女の子に何があったのとは聞けないよ」
そう言って蓮は微笑む。
「ありがと…今日は助けてくれありがとう」
「気にしないで、柚月が止めてくれなかったら今頃僕はお縄についていたさ」
そんなおかしなことを言う蓮のおかげで雰囲気が明るくなった。
「ねぇ、好きだよ蓮…」
私は小さく呟き蓮の頬にキスをしていた。
ー萩野颯希視点ー
私は解散したあと走り去った蓮の後を追いかけた。
きっと蓮が追いかけているのは柚月だろう。
私はフードコートで柚月に対して宣戦布告まがいなことをした。
それに蓮の頬にキスもした。
柚月は多分蓮のことが好きだと思う。
だからこそさっきは逃げ出した。
でも私も蓮の事がずっと好きだった。
「嘘…でしょ…」
私が蓮を見つけた時、柚月も蓮の頬にキスをしていた。
キスをされている蓮の方は驚いた顔をしている。
何が起きているのか分からない。
学園では天使のようだと言われている柚月はあんな大胆な事は出来ない。
「一体どうして…」
私の呟いた声は夜の公園に反響することなく消えていった。
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