「自己紹介」
そんなこんなで入学式が終わったあと、一人ずつ自己紹介が始まった。
陰キャには過酷だが、初日からつまづいてしまってはいけないと思い頭の中で練習していると、一馬の紹介がはじまった。
「俺の名前は櫻井一馬!サッカー得意だ!よろしくな!」
ほんとに無意識なんだろう。一馬のイケメンスマイルで女子たちは黄色い悲鳴を上げていた。
まったく、イケメンはほんとにずるいな。僕がため息をはいていると橘さんと目があった。
ん?僕また何かやっちゃいました?
ラノベ主人公みたいになっていると橘さんの自己紹介がはじまった。
「私の名前は橘柚月、運動が好きです!みんな仲良くしてね!」
あれ?今ウインクした?もしかした僕に?俺みたいな陰キャに?
そうこうしていると男子たちの雄叫びが聞こえてくる。いや、分かるぞ、その気持ち。マジで天使だもんな。
席から倒れてもがいている男子をみながらボーとしていると僕の番が回ってきてしまった。
なんかみんなの顔が赤くなってない?僕ってそんなに田舎っぽく見えるかな?
うぅ…おなかが痛い…
「僕の名前は西宮蓮っていいます。サッカーしてます。こんな都会にあんまり来たことがないのでそわそわしますが、仲良くして下さい、よろしくお願いします!」
なんとか最後は笑顔でいうことができた。あれ?なんか女子顔真っ赤じゃない?
大丈夫?
困惑しながら席に戻ると橘さんと目があった。橘さんも顔真っ赤じゃん!そんなに僕の笑顔はぎこちなかったのか!やばい泣きそう。なんだよ一馬、こっち見ながらニヤニヤしやがって。いいよなイケメンは!
そして全員の自己紹介が終わったあと、委員会決めがはじまった。
「それじゃー、学級委員長を男女一人ずつきめるぞー。推薦とかないかー?」
いやいや、まだ始まって一日目でお互いを知らないのに推薦もクソもありますかい!
と心の中でツッコミをしていると、橘さんが手をあげた。
「はい!私と西宮君でします!」
・・・え?
僕ですか???陰キャなのに?またまた御冗談を橘さん!
「冗談なんかじゃないよ?西宮君一緒にしよう?」
グハァ…そんな目でみられたら死んでしまうわ!まじ天使やんけ!
「わ、わかりました。よろしくね橘さん!」
こういうのは最初が肝心!精一杯の笑顔でこたえるべき!
僕は自分にできる最大級の笑顔で答えた。
「あ、ありがとね…蓮君…」
なんで耳元でそんなこと言うんですか!しかも顔赤いですよ!!今、下の名前で呼びましたね!やっぱり、小学生のことおぼえているんですか!
「顔赤いけど、どうしたの?」
「…、っ!い、いいから早く委員会を決めてしまいましょう!」
え?今顔そらされた?え、やっぱり陰キャが心配すると気持ち悪いですよね…
初恋の相手に嫌われました。もう立ち直れません。
ニヤニヤすんな一馬、僕は今落ち込んでいるんだぞ?
顔が赤い橘さんと、死んだ顔をしている僕。まるで水が流れるように終わった委員会決め。
やっぱり橘さんはすごいや。
そんなこんな終わった入学初日。
今からどうなることやら・・・
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