「学園にいこう!」
僕の名前は
この春、家から少し離れた県内トップの高校、
自分でいうのもなんだが、女子とはなかがよかった。どうせ僕みたいな陰キャをからかって面白がっているだけだろうが。ほんとにやめてほしい。彼女?そんな人はいたことはない。
世の中の男性が聞いたら嫉妬ですごいことになりそうだが、僕は未だに初恋の女の子が忘れられない。もう会えないとわかっていても、どうしても他のひとを好きになることができないのだ。
今日は白南風学園の入学式、すこし、いやとても緊張している。
「いてて、ほんとに緊張するよ…」
僕がおなかを手でさすりさすりながら呟くと、
「自信持てって、お前入試2位だったんだろ?元気だせって」
隣で一緒に電車の席に座っている
「だって、あの白南風学園だよ?県内どころか、全国でも上位に入るめちゃくちゃすごい高校だよ?緊張しないわけないじゃん…どうして一馬は平気そうなんだよ…」
「いやだってお前、入試二位じゃん。なんでそんなに卑屈になるのかがわかんないんだよ!」
「たまたまだって、それに僕は一馬みたいにイケメンで明るくないしサッカーもうまくないよ…」
「いやお前なぁ…もういいわ、そろそろ駅につくぞ」
「やっぱり緊張するなー…」
一馬は成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群でサッカーの名門高にもスカウトされるような、いわゆるスクールカースト上位にいるイケメン陽キャだ。なぜかわからないがいつも僕と一緒にいてくれる。中学からの友達だ。
そんなこんなで駅に着いたはいいものの僕たちは目の前の光景を見て息をのんだ。
「すげぇな…地元とはレベルが違うぜ…お、見てみろ蓮!あんなところにマ○クがある!
あそこにはデパートだ…でけぇ…やっぱ都会はかわいい子とかも多いな!」
うん。最後のは聞かなかったことにしよう。
そういいながら街をまるで子供が初めて都会をみたかのようにはしゃぎまくる一馬。
この調子だと入学式に間に合わないかもしれないと思い、僕は一馬に注意する。
「おーい一馬、早くいかないと遅刻するよ…初日から遅刻なんてしたらやばいって…また帰りに寄ろう?周りの人たちも顔をすこし赤くしながら僕らを見てるし…」
「なにあのイケメンたち…やばい超かっこい…話しかけてきてよ」
「でも学生じゃん…うわぁ、あの白南風学園の制服きてるよ…」
「頭よくてかっこいいとか反則だよぉ…」
なんか僕たち噂されてる???
やばいめちゃくちゃ恥ずかしい、都会はやっぱり怖すぎる
なんだよ一馬、こっち見ながらニヤニヤすんなよ、おい。
「一馬、急ごう?これじゃほんとに遅刻するよ!」
「はいはい…」
僕たちは人混みを避けながら足早に学園に向かう。
「あぁ…行っちゃうよ…連絡先聞けばよかったよ…」
「なぁ一馬、やっぱり僕たち田舎者って思われてるのかな?」
「あぁ…うん。そうなんじゃね?」
なんだよ一馬、さっきからこっち見てニヤニヤしやがって、いいかげんおこるぞ?
「ごめんって、そんな怒った顔しなくてもいいだろう?わ、分かったってちゃんとするから、その顔はやめてくれ!」
そんな他愛のない話をしながら歩いていると一人の女子とぶつかった。
「…、っ!」
「ご、ごめんなさい!私急いでいるから!じゃあね!」
「おいおいどうした蓮、そんな面食らった表情しやがって、そういやあの子白南風学園の制服着てたな。同級生か?」
あの長い黒髪、あの声、まさかそんなことはないよな。
僕はため息を付きながら学園をめざした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます