第172話・落ち着いて考えたら第五王子の分際で嫁が三人とも天魔って贅沢じゃね?
ヤマダ王国にある王立学園の大闘技場にて剣術訓練という授業が行われていた。
剣術訓練、名前の通り剣術の授業であるが、今行われている剣術訓練はただの剣術訓練ではなかった。
教師があの【剣舞の天魔】であったのだ。
【剣舞の天魔】とは、世界に100と存在しない最強の存在である天魔であり、天魔の中でも剣という戦闘にこれでもかと向いている戦闘型の天魔。
天魔の中でも上位の実力を持ち、威圧だけでヤマダ王国の騎士団を壊滅させ、剣を振うだけで隕石を両断する。
文字通りの一騎当万の実力者であり、現在公開されているヤマダ王国の天魔の中では最も単騎戦闘能力が高い、世間一般の認識としてはヤマダ王国最強の実力者である。
元は第一王子及び第二王子の剣術の師匠であり、現在、【剣舞の天魔】イト・元王国騎士団長【察知の天魔】カレーヌ・現国王【闇染の天魔】マリアと結婚をしている第五王子に対して幼少期からメイドとして仕え今は第五王子の正妻となっている存在。
まあ、最後の方は蛇足かもしれないが、それでも【剣舞の天魔】というのは大き意味を持っていた。
だからこそ、剣術訓練という授業においては、高等部の戦闘科に所属する第一学年から第三学年まで全て合わせた約300名のうち、驚異の295名がこの授業に出席をしていた。
休んでる人は不慮の事故にあい怪我をしてしまっていたり、諸事情から実家に帰省をしていたりと物理的に授業に参加出来ていないという形である。
つまり、授業に参加できる人は全員が参加しているということであった。
まあ、あの【剣舞の天魔】イトから剣術を教えて貰えるというのだ、ある意味で当たり前の話というものではあった。
そんな【剣舞の天魔】イトの授業は主に2つの内容で行われていた。
まず最初に【剣舞の天魔】イトが出来る限りゆっくり、今回の授業で教える完璧な技術の剣術を見せる。
生徒はそれを真似してやってみる。
最後に【剣舞の天魔】イトが全体を通してみながらアドバイスをしたり、個別にこうすればよいとアドバイスをする。
以上
終わりである。
一見単純に見えるが295名もの人間の剣術を把握しつつ、それぞれにあったアドバイスを完璧に行うというのは正に人の理を外れた天魔であるからこそ出来ることであり、生徒たちの剣術の実力は面白い様に上達していった。
その結果としてヤマダ王国は世界で最も剣術に優れた国となるのだが、それはまた少し先のお話。
さて、話を戻そう。
剣術訓練の授業を行っている【剣舞の天魔】イトは生徒達から非常に人気が高かった。
それもそのはず、身長は180センチと女性としては非常に高く、スタイルとしても抜群、綺麗で長い赤髪に目も同じく綺麗な赤色、胸はFカップの巨乳であり、天魔である為にその美には更なる磨きがかかり、天魔である故の強者としての圧倒的なオーラを纏わせつつも、人妻として妖艶な魅力、大人の魅力を兼ね備えているのだ。
性格としても基本的には優しく、多少口調こそ荒いが、しっかりと丁寧に指導をしてくれる。
男子から純粋にその美貌と魅力から慕われ、同性である女性からはその強さと魅力からお姉様として慕われる。
それはまあ、人気が出るよねという話である。
そうして【剣舞の天魔】イトに対しての人気が上がれば上がる程、相対的に第五王子に対してのヘイトが集まっていた。
それはまあ、当たり前だよねという話である。
何故なら第五王子の評価としては、いまだに怠惰でグウタラなどうしようもない程の駄目王子であり、母方もどことも知れぬメイドと貴族主義の人間からも混じり物と差別されていた。
そんな第五王子が怠惰でグウタラな駄目王子が皆の憧れの的である【剣舞の天魔】イトを妻として、あろうことか、【察知の天魔】カレーヌに【闇染の天魔】マリアまで妻にしてるのだ。
それはちょっと世間は許してくれませんよねって話だ。
もちろん、第五王子との結婚を【剣舞の天魔】イトが自らの望んで行ったというのは馬鹿にもでも理解が出来たし、他、【察知の天魔】カレーヌも【闇染の天魔】マリアも望んで第五王子と結婚をしたというのは理解が出来た。
何故なら三人とも天魔であるのだから、誰も絶対に逆らうことの出来ない最強であるのだから、そんな天魔に第五王子ごときが結婚を強制する力なんであるわけがないのだから。
だから、3人とも望んで結婚をした。
3人とも第五王子を愛していると。
この事実が生徒達を余計に嫉妬心に狂わせた。
流石に生徒達も馬鹿ではないので、天魔であり、自分たちの尊敬するイトの前では第五王子を嫌ってる素振りは見せなかった。
ただ、心の中は煮えたぎるマグマであった。
そんな状況において、今から楽しそうだし学園に来るかなんて思ってる馬鹿(第五王子)が一名。
かくして事態は愉快犯の真希が最高に笑い転げそうな非常に愉快な、ゲフンゲフン、面倒な展開へと向かうのだった。
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まあ、フラグですね。
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