第170話・学園って楽しそうだよな?いやまあ行くのは面倒だけど
「ああ、なんか面白い事したいな。暇だな」
俺は何気なくそう呟いていた。
いつも通りグウタラしてベットでゴロゴロしてる時、そう呟いたのだ。
そして心の底から驚いた、戦慄した、驚愕した。
今の言葉は俺の言葉なのか?
と。
俺は自分でいうのもあれだが自他共に認めるグウタラ怠惰な人間だ。
そんな、俺が今、自ら暇だから面白いことをしたいと考えた。
・・・・・・・・・
「俺も変わったな。いや、本質は変わってないかもな。元々こんな人間だったのかも知れない。ただ、今まで俺の中にある天魔としての怠惰の力が幅を利かせていただけかな・・・?多分知らんけど」
別に俺は生まれた時から怠惰であったわけではない、母親を殺され、復讐に走り、全てがどうでも良くなり、自ら行動をしなくなり、気が付いたら前【怠惰の天魔】に認められて【怠惰の天魔】となり、自他共に認めるグウタラ王子になってたわけだ。
だから、俺の本質という点でいえば、母親が生きていた幼少期の頃の俺というのが正しく、それ以降の俺は俺であることは間違いないが、多少は天魔の力に引っ張られている俺ということだな。
って、何を馬鹿なことを考えているのやらやら。
「あ、でもワンちゃん、真希によって頭の中いじくられてた可能性もあるな。アイツならやりかねない。・・・なんか急にこういうのを考える方が面倒になって来た。うん。やめた。頭使ったら眠くなったし寝よ。俺は俺だ。それ以外の何物でもない。今はそれでいいや」
布団に体を覆わせて、心地の良い微睡に身を任せた。
・・・・・・・・・・・
目を覚ますと、ナナが机に座って、ペンを走らせていた。
「あ、グレン様おはようなの」
ペンを止めて俺におはような挨拶をしてくれるナナ。今日も凄く可愛い。
「おはよう。ナナ、それよりも勉強か、ナナは偉いな」
「はいなの。ナナは偉いなの」
「あれ?イトは?」
「イトお姉ちゃんは学園の臨時講師をしてるなの」
「学園の臨時講師?って、ああ、そういえばそんなことを言ってたな」
「ご主人様が学園に通う時に楽しませる為らしいなの」
「あ~、そういえば前にそんなことを言った気がするな。イトは相変わらず律義だな」
「確かにそうなの。ただ、イトお姉ちゃんが元々誰かに剣を教えるのが好きっていうのはあるなの」
言われて気が付く。
確かにそうかもなと。
イトは今は辞めたが第一王子と第二王子に剣を教えていた。その延長線上で他の様々な騎士団にも剣を教えたりもしてたらしい。因みに前者は仕事としてやっていたが、後者はボランティアみたいな感じでやってたらしい。
正直俺はどうでもいいし、俺の身の回りの世話はしてくれてたから気にしていなかったが、今思えば好きじゃなければそんなこと出来ないよなって話だ。
それに今は色々、いまもう本当に色々あって第一王子も第二王子も知らない子になってるからな。
ここの話を深めると、まあ、長くなるし、いつかしよう。
「しっかし、そうか。イトは誰かに剣を教えるのが好きなのか・・・」
「はいなの」
「じゃあ、俺もイトから剣を教わってみようかな」
「それはいいなの。じゃあナナも教えて貰うなの」
「お、それはいいな。さて、じゃあイトが帰ってくるまで俺は本でも読んでるわ」
「え?ご主人様今から学園には行かないなの?」
「今から・・・いや~~~。今からは面倒だから行かないかな」
「そうなの。ご主人様がそう思うならそれでいいなの。ただ、ナナは学園生活楽しいなの。きっとご主人様も楽しいなの」
「そうか、ってそういえばナナは今日は学園じゃないの?」
「今日は聖教国では休日になるなの。学園は休みなの」
「ああ、そうか、ヤマダ王国と聖教国では曜日に違いがあるからな」
「はいなの。速く宿題を終わらせてイーディアちゃんのお家に行くなの」
イーディア、確かカゲウスの妹だったな。
家は色々というか通学の都合上で聖教国に構えてたな。
「そうか、まあ楽しんできてくれ」
「はいなの」
頑張って宿題をしているナナを横目に俺はのんびりと読書に励むのだった。
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