第11話<実生活(農業)>
「いろいろな角度からお金のない社会を考えているんですが、
チョット身近な話を取り上げてよろしいでしょうか?」
「身近な話と言うと?」
「生活に密着する話です」
「どんな話から始めますか?」
「私の周りにも不安に思っている人がいるんですけどね、
TPPの話題で持ちきりなんですよ」
「農業をやり続けることが出来るか不安なんでしょうね」
「僕も米作りのお手伝いをやっているけどね、
ほとんどの個人農家はお金儲けでやっているんじゃないよ」
「国レベルで考えると経済的に潤うことを考えているんじゃない?」
「国の政策は食糧自給率を上げるより経済のために生産するんだよ」
「農業を法人化させる計画もあるんでしょ?」
「ほとんどの農家は先祖代々続けてきた個人農家だと思うけどね」
「TPPって良いことなの? それとも良くないことなの?」
「良いことでもあり良くないことでもあるんじゃないの?」
「どゆこと?」
「外国との交流があることが良いことでしょうね。
良くないことは国益を害することが多いことでしょう」
「お金のない社会だったら、どういう状況になるのかしら?」
「国益とは? と言うような話から始まるんじゃないの?(笑)」
「そうね(笑)」
「すべての国が満足する関係を保つことが良いと思いますよ」
「すべての国に必要なものが必要な量を融通しあうってことね」
「そのためにはお金のない社会にする必要があるんだと思うよ」
「それにしても、農家は高齢化が進んで困っているんでしょ?」
「そうなんですよ、うちなんか70過ぎの義兄と二人でつらいよ」
「お金儲けのためじゃないって言っていたけどなぜやめないの?」
「ほとんどの農家は義務でやっていると思うよ」
「国民の食糧を生産すると言う義務と、『守る』と言う義務ね」
「何を守るの?」
「先祖から作ってきた田畑を荒野にすることが出来ないんですよ。
それとね
田舎の景観を守るという責任感があるんです」
「日本の棚田を守るという日本風景ですね」
「米作りをしなくても草刈だけはやめるわけにはいかないんです」
「後継者のいない農家ではどうしようもないですね」
「だから、お金のない社会にして欲しい気持ちもあります」
「お金のない社会になればどうなります?」
「所有権も無くなって田畑が有効活用されるし、若い人たちが
農作業も草刈もやってくれるじゃないですか(嬉)」
「高齢者だけでは農作業も草刈も重労働でつらいですよね」
「いくら機械化が進んだとは言え体を使うことは多いですよ。
いま田植えの準備で忙しいんですけどね
お金のない社会なら多くの人に手伝ってもらえるのにって思います」
「とりあえずお金持ちだったら人を雇うことが出来るのにね(笑)」
「お金持ちだったら生産者より消費者になったほうが楽だよ」
「いろんな意味でも早くお金のない社会にしたいね」
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