第3話<執着を取るって?>

「未来のために生き方や考え方を変える話をしたけど

心の中に染み込んでしまったものはなかなか変えられないね(笑)」


「その中でも執着って誰もがあるんじゃないですか?」


「お金のない社会への不安があるのもその執着かな?(笑)」




「お金の要る社会ではどんな執着があるんだろう?」


「今の生活が保証されなくなるってことかな?」


「それは不安材料じゃないでしょう」


「お金のない社会ではすべてが無料なんだから」




「じゃあ財産かな?」


「財産と言えばお金とか不動産とか貴金属とかあるんじゃないの?」


「努力して貯めたお金はまったく価値なんて無くなるよね(笑)」


「努力の結晶が水の泡ってこと?」


「心の葛藤だね(笑)」




「考えてみれば過去にいっぱいあったよね」


「何が?」


「時代の変革で価値観が変わるってこと」


「それに比べればお金のない社会へ変わるほうが良いかもしれないよ」




「ほかにどんな執着があるんだろう?」


「それは所有に対する執着だろうね」


「たしかに物に対する執着はあるよ」


「この世の中はお金と物の社会と言われるくらいだからね」


「自分の物はいつまでも自分の物で誰にも奪われたくないってことね」




「それを保証するのが『所有権』ってのがあるんだよ」


「この所有権って必要なの?」


「僕は所有権なんて無いほうが良いと思うよ」


「山が荒れ放題だし、農地も荒れ放題だし、空き家もいっぱいあるし

近所迷惑のゴミ屋敷もあるし、大切に使われていないよ」


「そうね、所有者は管理義務を果たす必要はあるんじゃないの?」


「管理できないんなら所有権を放棄するべきよね」


「自分の財産をいつまでも自分の物にしておきたいと言う執着があるね」




「自分が使っている間は自分以外は使ってはいけないという保証があればね」


「それは簡単よ、使用権(占有権)というのがあれば良いんだから」


「使用権って?」


「所有者ではなく使用者が占有できる権利よ」


「使う人が独占できるってことね」


「その代わり、管理できなくなったり使うことを放棄したら公のものになる。

そして、ほかに使いたい人がいればその人に使ってもらうってことね」




「お金のない社会って、なんだか合理性を感じるね(笑)」


「だって、利益を追求しないから自然らしい生き方が出来るんじゃないの?」


「なんだか、執着って邪魔に感じるようになって来たよ(笑)」


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