ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして推しヒロインとくっついてしまった。
桜祭
1、宮村永遠は目撃する(前編)
ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまってからすでに10年近くは経ってしまっただろうか……。
どのルートを通っても必ず死亡してしまう明智秀頼という男の性はどうやっても世界が殺しにきていると言わざるを得ない。
『悲しみの連鎖を断ち切り』というゲームの世界に迷い込み、ゲームのヒロインたちや、ゲームには関係ない人など色々な出会いがあったのだがなぜか彼女が出来ることはない。
原作に登場する明智秀頼は悪人ではあるのだが、常に女に囲まれる学園生活を送っていただろうになぜか俺にそんな恩恵はない。
俺、明智秀頼は『今年も彼女なんかできねーんだろうなー……』とか考えながらギャルゲーをプレイしていた。
転生する前も、転生してからもギャルゲーにどっぷり浸かった人生である。
そして夕方から最近発売したばかりのギャルゲーを起動していてセルフヒロイン評論会をしていた。
「あっ、この子エイエンちゃんみたいで可愛い……。頭が良いんだけどちょい天然入ってあざといとか最高過ぎ……」
テレビの画面にドストライクなヒロインが登場してきて、ぐふふと笑ってしまう。
今の姿をクラスメートに見られたら俺死ぬな、とテレビ一面が黒画面になり反射した
特に前世で1番推しであった
「…………え?ひ、秀頼さん…………?」
…………?
あれ、なんかおかしい……。
聞き覚えのある声がある気がする。
多分、永遠ちゃんの声だ。
いや、あり得ないでしょ。
だって前世の永遠ちゃんはゲームのヒロインだったけど今世ではリアル人間である。
たまたまゲームに似たヒロインがいただけだよ。
ティッシュ箱に手を伸ばし、ズボンのベルトに手を掛ける。
永遠ちゃんらしき声が聴こえたら妙に興奮してしまい、気持ちを静める儀式に取り掛かろうと思う。
「あ、あわわ……。ひ、秀頼さんの息子さん……」
「…………」
いや、そもそもゲームのボイスから俺の名前が出てくるのも意味わかんないし、どう聞いても声の発生源がテレビじゃないしで聞こえてきた方向に目を向ける。
すると自室と廊下を繋げる部屋の扉が遠慮がちに開かれ、宮村永遠が赤い顔をしてこちらを覗いていた。
「…………え、エイエンちゃん?……な、何してるの?」
というかなんで俺の家を知っていて、しかも中にいるんだろう……?
突然の推しキャラの襲来に俺の心は悲鳴を上げていた……。
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