異世界に転生した俺は、最強の能力をもって無双ハーレム!

あずま悠紀

【1】前篇

異世界に転生した俺は、最強の能力をもって無双ハーレム!を実現してみせるぜっ!と息巻いてみた。

「あぁ、そのことなんですけど、ちょっとお話よろしいですか?」

そう言って現れたのは金髪イケメン……神様だった。

え!?神!?俺って本当に死んだん?マジで異世界行けるん!?でも最強チートは!?俺の最強チートはどうなったんだよ!!ってかここは何処だ!?天国か?もしかして夢落ちじゃねぇだろうな!?おい!神様答えろやゴラァ!!!(※イメージ映像です)

(……いやね?普通に考えてみなよ?)

脳内の声は至極冷静に俺に告げる。

うん、お前の意見はわかった、確かに一理あるかもしれないが、それは現実を受け入れられたときに初めて言えることだぞ?まぁ良い。とりあえず今は続きを聞きましょうかね。

「ふぅ……はい」

ため息まじりに返事をする。正直、色々言いたいこともあるが今はスルーしよう……。そして神様の説明を聞いてみることにした。

どうせ死んだんだし、このまま天国に行くのであればこの自称・神にも色々と聞く権利はあるはずだろう。

まず、今の状況について確認させてもらうことにしたのだが、やはりというか何と言うか俺が死んだらしい。死因は事故死との事だが、横断歩道を渡るときに飛び出してきた小学生を避けようと車道に出てしまい、車に轢かれたとのこと。………………なんだろうな。

なんか納得いかない。もっとさ、死ぬような死に方は嫌だけどさ?もう少しこう格好よく死にたかったわけよ。トラックに跳ねられて空中浮遊的な?もしくは通り魔に襲われてから路地裏に連れてかれナイフで刺されるとか……。とにかくもう少しましに死んでほしかったわ!!……まぁそんな事を考えながら、神様から話を聞いた訳なんだが、なんでも俺は異世界へ転生することになったらしい。やったね!! 神様がいうには「実は先日あなたと同じように事故で死んだ方がいたのですが……」という話から始まる。

神様曰く、「本来であれば同じ世界では2人も生きられない」ということらしく、別の世界に魂を送る必要があるとの事。つまり輪廻転成であると。……ふむ。つまりあれですね。異世界で新たな人生を歩んで来いっ!っていうパターンですか?よくあるアレですよ。いわゆる勇者様的な何かになるんですかね!?わくわくしてきました。俺の時代きたこれっ!!!!……って、ちょっと待ちなさい。それおかしくないですか?だって、普通なら1人しか転生できないのになぜ2人も送り込めるのかとか、そういう根本的な疑問点が出てくると思うんですよね。だってそうじゃない?神様ってば絶対ミスしてるよー!ダメだよね、仕事はちゃんとしなきゃ!!あははー!……よし。決めた。もういいもん。こんな奴信用できないもんね。俺もう神様信じないことにしちゃうから!!もう勝手にやってろよ!!って感じで適当に話を聞き流した俺はその場からそそくさと去ろうとしたのだが…… 気付いたときには神様の手中に俺の意識が移動していた。

(ちょぉぉっとおおお待ったああああ!!!)

必死に訴えかけてくる脳内のヤツ。うるさいんだよ!静かにしてくれませんかね!?

(ごめん、ちょっとふざけすぎたかな……うん)

反省している様子だったが、すぐに切り返してくるあたり反省はゼロに近いだろう。まったく、こいつは……。まぁ仕方ないので話を最後まで聞いてみることにしよう。うん、決してビビっているわけではないんだよ……。うん、本当だから……。

(まぁ結論を言ってしまうとね、僕は君たちの言うところの『神様』ではないんだ)……は?

(僕自身は君たちと同じ『人間』なんだけど……なんて言えば良いんだろうね……。うん、『創造神』みたいな存在なんだ。この世界のね)

創造神……だと!?

(そうだよ。僕はその神様の中でも特別なんだ)

特別……。つまり俺の憧れる「チート」という奴でしょうか!?

(あぁ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名はアルヴィンだ。気軽に呼んでくれたまえ)……あぁ……なんかもうどうでもよくなってきた。なんだろうか、色々と諦めたほうが早い気がするのだ。とりあえず、俺の名前を言うべきかどうか迷ったが、本名を名乗っておこうと思ったのでとりあえず伝えてみた。

ちなみに神様の名前は長いのでよく省略されて「ニア」と呼ばれていてる。

この世界で神として存在する神様は全て「名持ち」なのだそうだ。名前を持っている時点でこの神様はかなり上位の存在だといえるだろう。

神様曰く「君たちが使っている言語も、この世界を作り出した時に同時に作られた物」との事で、俺達の住む地球の言葉が通じたり理解できたりするのもその辺が影響しているようだ。また他にも色々と説明してくれたが、とりあえず重要な部分だけをかいつまんで話しておく。例えば「時間」という概念や「魔法」、「レベル」、「ステータス」「スキル」といったものは全て神々によって作られた概念であり、実際に存在しているということ、また、神様同士で情報を共有し合っていることも教えられた。

正直かなり驚きの内容ではあったが、異世界ファンタジー小説を読んでいた身としてはむしろ納得してしまう内容であったと言えるだろう。しかし、一つだけ疑問がある。俺の記憶が正しければ、こういう系の異世界転生って、主人公が無双する物語が多いと聞く。いや、まぁそういう展開もありかとは思うのだが、実際自分が当事者となってみると何とも言えない感情が渦巻いているのである。もちろん俺はハーレムを作りたいという願望はある。でもそれはあくまで自分に対してであって、他の人間が無双するのは許せないし納得いかないというのが現状だ。そもそも俺は俺自身が無双するような人生を送りたかった訳で、他の奴らに蹂躙されるような人生はまっぴら御免だというのに……。

そんな俺の心情を知ってか知らずか、目の前に立っている金髪野郎(自称・神・様らしいよ……ぷふっ)が俺に向かって微笑んできた。……キモイからマジ勘弁して……。

神様はニコニコしながら「これから君には僕が用意した能力を持って転生してもらうことになる。転生と言っても、君が元々暮らしていた世界とは違う世界に転生することになるんだ。つまり異世界転生ということになるね。君はそこで新しい人生を歩めるわけさ。そして僕からのお願いを引き受けてくれれば報酬を与えることも出来る。……といっても、そこまで大したものはあげられないけどね。……さて、ここまで聞いてくれて感謝するが、最後に君の願いを聞かせてほしいな? なんでもいい、欲しいものを想像してみてくれないか?」……ん?なんだか話が怪しくなってきていないですか?なんでもくれる?しかも「願いを叶えてやるからそれを代償に何か寄越せ」だと?こいつ……やはり詐欺じゃないか……。俺の予想だがこの手の話はだいたい後で追加でお金とか要求してくるパターンだろう。

そして最終的にとんでもない対価を支払ってしまう事になるのだ。よくある話だよなぁ……。だが……しかし……なんでも……? なんでもかぁ……。何でもねぇ……。異世界……?俺が望んだ通りに生きれる?最強の能力を貰えるって事……?チートで俺TUEEE!!……うん、いいね!すごく良い!やっぱり異世界って素晴らしいと思うわけですよ。そんなことなら是非とも受けたいよね?……うん、そうだね。受けちゃえばいいよね。

こうして俺は、神様に言われていた内容をすっぽりと頭の中から追い出してしまうと自分の望みを口に出す。……うん、もうこれしかないよね。神様は少し驚いているようだったが(……まさかこれを受け入れるとは思わなかったらしい……失礼にも程があると思うわけですよ。……え?何を言っているのか分からないって?……気にしないでほしいわけで)

俺の要望を聞くなり神様が「じゃぁそれでいこうか!」と言い、次の瞬間、俺の身体が光の粒のような物に包まれ始めた。……え!?何これどういう状況!?……というかさっきの願いのどこにこんな要素が……。そう思って困惑していたら「あ、忘れるところだったよ」って声と共に神様の顔が迫ってきて……ちゅ……された。…………はい?なんですか今の?なんか一瞬だけど温かい何かを感じてしまったのだが……って……おい!!お前今なにやったんだよ!?キスしてましたよね?間違いなくキスしましたよね?なんでそういう行動に至ったのか理由を知りたいです。そして俺的には今の出来事はなかったことにしてあげますから神様も俺に記憶操作を施してください、今すぐに!……そんな風に脳内パニックを起こしながら神様を見つめると神様は頬を染めながらこちらに視線を合わせてきた。……なんなんですかね、これは?俺の反応を楽しむ為にわざとやっているのであれば非常に不愉快だ。

神様ってこんな人だったのか?見た目的にイケメンだけど中身はクズ?いやでもなんか違和感が。そんなことを思いながらジッと見続けていると、俺の考えを読み取ったのか、神様から衝撃のカミングアウトを受けた。

(僕がさっきしたことに関してだけどね……。あ、ちなみにさ、君に僕の姿が見えているのって、僕の神力によって見えてしまっているからだからね?)……あぁ……そう……。うん、そうなのか。つまりあれだね、神様にとって人間一人を操るなんてことは造作も無い事だと、そういう認識を持てば問題ないんだね……。はははは、うん、そうですね。

(あ、それともう一つ言い忘れていたことがあってね。君の転生後の性別についてだけど、君には女性になってもらおうと思っているんだ)

そう言って再び顔を近付けてきた。

(ちょ、待った待った待った!それはおかしいでしょ!?)

(え?そうかなぁ……。僕としては女の子の方が良いと思ったんだけど……。まぁどっちに転んでも良いんだけど、男のままで良かった?……本当にそうなんだ……残念)

(ちょっと!?あんた何考えてんだよ!?……は!?もしかして俺が転生先でモテモテになるのを防ぐ為か!?そうだな!そうに違いない!)

(あぁ……。そう言えば君が転生先に求めていることって、そういうものだったね……。あぁそうか、僕としたことが大事な事を言っていなかったね。僕の目的は別にそういうものを求めているわけではないよ。まぁ結果的にそういう形に落ち着いたかもしれないけどね。うん。僕はあくまでサポート役だし。その件に関しては心配無用だよ。僕はね、ただ単に面白そうだから君を選んだんだよ。)

(面白くて選んだって……なんじゃそりゃあああああ!!)

(あぁ……。うん、君に分かりやすく言うなら、僕の趣味趣向にぴったり当てはまるから選んだというところかな)

(ちょっと待ってくれよ……。俺の意思はどこにあるんだよ!俺の気持ちを考えてくれても良くないっすかねぇ!?それに神様が面白いかどうかなんて分かる訳がないでしょう!?)

(あぁ……。そうだね、僕の言葉では正確に伝えきれていなかったね。僕の神力で見えるのは何も人だけじゃないってことなんだけどね。ほら、僕がさっきやったみたいに相手の神力を奪えば相手が考えていることが読めるようになるからさ。)

(つまり俺が神様にキスされて思考が読まれたのは……神様の仕業だったのか……?俺の考えを読むためにした行為だったって事か?いや、でも……。それだと俺が転生後に女性として生まれ変わる必要が無くなるし……。)

混乱している俺の姿を見て神様が楽しそうに微笑む。

(はは、君が考え込んでしまった理由は良く分かっているつもりだよ。そうだね……。転生したらまず最初に僕が与える能力を確認してもらいたい。その上で君は今後どうするのかを決めるべきだ。ちなみに能力の詳細については僕の神力が戻れば君に伝えようと思うので今は聞かないでくれたまえ。あと最後にもう1つ伝えておくことがあるよ。僕の神力と君はもうリンクし合っているので離れていてもある程度君の状態は確認できるようになっている。……というか僕が見れない場所にいても常に君の行動を監視出来るようになっている。つまり、君に何かがあった場合には僕は君の元に駆けつける事が可能だという訳だ。僕も君と一緒に異世界にいく予定なのでよろしく頼むよ)……うん。分かったようなわからないような……。とりあえず神様も一緒にくるのか、了解だ。俺一人で転生しても仕方ないもんなぁ。神様も一緒なら寂しくないだろう。よし!とりあえずこの場はそれで納得しておく事にしよう。

色々と気になることはあるがとりあえずは置いておくことにした。それよりも俺は神様の能力の確認がしたいんだ。

俺の考えを読んで神様が微笑みながら俺に手を伸ばすと指先から何かが出て俺に吸い込まれるような感覚に襲われた。何これ、すごく気持ち悪い……。俺の中に入って来るな、このやろう……。そう思っていたのだが、次第にその何かが身体の中に溶けていくと何となくだが分かって来た気がする……。俺の魂の一部みたいなのと神様の何かが融合したのだろう。……なんだこれ、何が起こったんだ?俺の頭の中で理解できない情報が駆け巡っているような……不思議な気分だ……。俺が不思議そうにしていると神様が笑いかけながら「大丈夫かい?」と言って俺の肩に触れた。するとまたあの時のように頭に流れ込んできた。

・君に与えた能力

「神域」:君だけの神の領域に招待することができる能力

「神速移動」:瞬時に目的地に移動できる能力

「超鑑定」:あらゆるものの情報を読み取ることが出来る能力

「神気開放」:君の内に秘める神の気を解放することにより、ステータスが上昇・身体機能が大幅に強化される 以上だ。

俺が転生した後に使える能力はこんな感じでお願いするね。ちなみに、スキルの方で覚えておきたいと願うことで取得することが出来るから。それと念じることでいつでも変更可能だから。じゃあ頑張ってきてくれ!良い旅を! そう言って神様は消えてしまった……。……え?えぇ!?どういう事!?なにこれ?俺が想像していたのとは随分違うぞ!?これじゃあ完全に神様のおもちゃじゃねぇか!?くそぅ……神様の奴め……。いつか必ず目に物見せてやるからな!ってそういえば……。この身体……。この顔……まさかこれって……。そう思った俺は急いで自分の手を見る。

俺の手が小さくなっているだと!? どういうことだ!?どういう状況なんだこれは!? そう思ってしまうくらい俺の姿は変わっていたのだ。

そして神様からもらった俺の新たな体についての詳しい説明と注意事項を聞いてみた。まずはこの世界のことについて簡単に話しておこうと思う。……俺が転生したのは女神信仰の世界、通称【聖教国アルフヘイム】だ。

神様曰く、「君の転生後の容姿が美少女なのは僕が原因だね」とのことだ。そして俺は神様の力を借りずに自由に生きて行ってほしいらしく「僕から貰う力は最小限に抑えてほしいんだよ」って言われたよ。……なんでそこまで俺に優しくしてくれるのだろうか……。

話を戻すと…… ここは神様を信じる信じない関係なしに神様が言っていたように、女神信仰の総本山である聖教国のようだ。なんでも女神様を崇拝するために作られたらしいよ。宗教大国という感じなのかな?まぁそれはともかく、女神様に祈りを捧げることは全ての種族に対して平等とされている。つまり、人族は勿論のこと獣人や亜人の人たちまで全て同じ扱いになるんだって。差別とかはないみたいで安心したよ。そして俺がいる国は【神聖王国アルフェンナ】と言うらしい。ここら辺の国についても詳しく教えてくれたのだが省略させて頂きます。だって、そんなに知りたかったわけでもないからね。あぁそうそう、ちなみにこの世界って俺がいた地球の時間よりも時間がゆっくりと流れているから、君の元居た世界の基準で言うと2年程度経った頃に転生している事になるよ。俺も今はまだ赤ちゃんだからね!成長が早いから普通より長く生きているような感じになっているだけだから心配はいらないよー。あ、ちなみにさっきの話だけど俺の外見は神様に頼んで変えてもらったから元の俺とは違うって事だけは伝えたかったんだ。まぁ見た目だけじゃなくて性別も含めてだけどね。性別が変わるのには理由があってさぁ……。その理由は神様に聞いた方がわかりやすいかな……。という訳で神様との会話はここまでにしておいて…… 次に、スキルに関してだけどね、これも俺が強くなって行きたいと願ったときに発動するようになっているので、自分で選ぶことができないようになっている。なのでどんなものを覚えられるかはその人の才能によるんだって。あと、スキルには熟練度というものが設定されているのでレベルを上げることも可能なのだが……それは追々説明させてもらうことにしようかな。うん。まだ産まれたばかりだからね、これからゆっくり知っていこうじゃないか。ということでそろそろ本題に入るとするよ。

この世界に転生する際、僕からのプレゼントが3つある。

一つはさっき話した【超鑑定(ハイパーカンテマチュ)】

この鑑定は君に分かりやすく言うと……そうだなぁ……。例えばそこにあるパンを見て欲しい。君がそれをじっくり見てどう感じるのかが大事なんだ。

あぁ……うん、そう。その反応が正解だね。その感じ方や見る角度で色々と判断出来るから、色々とやってみるといい。ただ、慣れていないうちは難しいと思うので、最初は簡単なものでいいんじゃないかな? 次は2つ目のプレゼントだ。

二つ目だが、これはさっき話した【神気開放】と似たようなものだが少し毛色が違うね。この【神気吸収】もその名の通り神気が溢れ出るものだね。使い方は簡単で、君の中の気を意識することで勝手に漏れ出すようになっている。

その気のコントロールの仕方だが、君の場合だと気の流れを掴むことが最初の目標となる。

まぁいきなり難しい事を言ってごめんね。

あ、あと神気についての説明は後でちゃんとするのでもう少し待ってください。

最後に……三つ目が問題なんだ……。正直これを渡したときはどうかと思っていたけど……君が凄まじい力を発揮していたので、僕は心の底から驚いているよ。さすが僕のお気に入りだ!うん、うん、やっぱり僕の選択に間違いはなかった!本当によかった!あぁ……でも、ちょっと不安な部分もある……。もしかしたら、君の力を見誤ったのかもしれないな……。僕のせいで大変なことになるかもしれない……。だから、もしこの先僕が言ったことをやろうとするなら覚悟してほしい……。僕はもうこれ以上何も言えない。だから…… 頑張ってくれ! 神様は真剣な表情になってそう言うと再び消えた……。……ん、あ、あぁ、えっと……。今のは何だったんだろう……。神様の声が急に頭の中で響いて……一体何が起きたのだろう……。それに俺が貰った3つのプレゼントの意味がよく分からない。

うーん……。あ、そうだ!こういう時はあれだ!……「とりあえず、なるようになるっしょ!」っていうやつ! 深く考えないようにして、神様のことはいったん放置することにしました。……うん、考えるの面倒臭いからとりあえず今は保留という事でいいですかね?よし!それじゃあそろそろ転生の本番を始めるとしましょうか!! 俺は自分に喝を入れるために、わざと大きく声を出して、元気よく叫んだ。

「うおっしゃー!!」…………ふぅ、すっきり爽快!! こうして、異世界に転生することが決まった俺の物語が始まる。この先何が待ち受けているのかはわからないが……きっと楽しいことがあると信じて頑張ろうと思う。

あぁ……そうそう、言い忘れていたけど、この世界では基本的に1人で生きていくことになるんだ。この世界でも家族がいないというのはちょっと辛いものがあるけど、そこは何とか乗り切って行こうと思います。神様が何かと気にかけていたし、大丈夫だよね……。ってことでそろそろ始めるとしますか!俺の第二の人生!張り切っていくぞぉ! こうして俺は意気揚々と新たな人生を歩むことになったのだ。

〜side・神様〜 無事に転生を終えたのを確認してから一息つくことにした神様は呟いた。

「はは……まさかこんなことになろうとは思わなかったね……」

転生した少年のことを思い浮かべながら神様は苦笑いをした。神様は自分の見立てでは、普通の生活ができれば良いという考えを持っているはずだと読んでいた。そして実際に、彼はその通りに動いていた。

まず最初に、神域を自分専用に改造し、そこで生活をすることにした。その後に、神様と連絡を取り合い、お互いの状況を把握して行ったのだ。神様からの情報によると、彼が今住んでいる場所はかなり裕福な家庭に生まれたようであり、彼の周りには彼を溺愛する大人たちがたくさんいる。また、両親は仕事の都合で世界を転々と飛び回っており、あまり家にいないらしい。そんなこともあってか彼は家事を自主的に行いながら一人暮らしをしているようだ。……という情報を得た。神様が思うに、あの少年には人に頼るということを知らないように感じた。それは彼の両親に関しても同様であった。だから、あえてそうしていたのではないかと……。もちろん本人の意思を尊重してのことではあるが……。

その後、彼が転生した先は神様にとっても未知なる場所だったので、神様の方から様子を見にいった。その際に、念の為にスキルを与えようとしたのだが……神様は、彼が【創造魔法】の固有スキルを持っていたことを知ったとき思わず言葉を失った。神様も今までに【魔道具作製(マジックアイテムクリエイト)】と【鍛冶師】、【裁縫職人】、【細工師】などの【技能作成】と【技術伝授】のユニークスキルを持つ者を目にしてきていたが、そのどれもが強力なものであった為、彼にも同様の力が眠っているのではないかと思ってはいたのだ。

そして神様は改めて考えたのだ。これはもしかするととんでもない拾い物をしてしまったのではないだろうかと……。そしてすぐに行動に移ったのだ。その結果、予想通り、彼は規格外の力を手にすることになった。神様も驚くくらいの能力を秘めており、【超鑑定】に関しては恐らく、現時点で世界最高峰の実力があるであろう存在にまで上り詰めてしまう可能性だってあるのだ。

(さすがにやり過ぎたかなぁ?)と一瞬思った神様であったが、後悔はしていないのである。

そして神様の予感が的中したのかは定かではないが、その後も、【神速移動】、【神格化:神眼の神王】、【魔力支配能力】、などという明らかにヤバそうなものを神様がこっそり付与しているにも関わらず、特に苦労せずに、むしろ楽々とそれらを習得していったのだ。さらに、この世界の常識が一切ないためか、色々試した結果、「神気を身に纏う」ということをマスターしていた。しかもたった数年という短い期間でである。

(うーん……。やっぱり、あれだよな……。うん。まともな人生を送れるはずがないんだよねぇ……。)

そう……結局、そういうことである。まともじゃない人間がまともな人生を過ごせるわけがないのだと……。だからこそ、自分がしっかりフォローしなければと思っていたのだが…… そんな時だった。彼のステータスを確認したときに異変が起きたのだ。その異常とも言える内容を見て、思わず絶句してしまった。その内容が…… ———— 名前 天城典二 種族 人族 職業 錬金術師 性別 男 レベル 245(2450/25000)

HP 130000000/10030000

(13億3031万8000)

/1023600(123万6000)+4000 MP 1001000 /1001000

(111億7200万)

+7000 攻撃 179900984 守備 153700908 敏捷 175400647 耐性 145427585 運 52280076 スキル 【スキル効果説明(1)】【無詠唱】【多重思考(37+1=)8体分身(2)】

【完全解析New】【剣術(2)剣聖】NEW! 【身体強化】Lv.3→3EX NEW! 【危険察知】【気配隠蔽(40)隠密(3)】【神気操作】【超鑑定 New!】

【神速移動】NEW! 【偽装】NEW! 【錬金調合New】NEW! 【鍛冶職人New】NEW!【料理人の心得Ex】NEW! 【大工術】New!【罠解除】【結界魔法】【生活魔法】【魔力増強】

【高速処理】【採取名人New】NEW! EX【神威】new! 称号

「異世界からの転移」「神々の興味対象」「大商人(笑)」「神々の信頼する者」New!「神々の意に沿う者」加護

なし 装備 右手:黒曜石

左手:黒鉄

頭:死神王のマント(フードあり・小)

胴:死皇のベスト(ベルトあり・中)

腰:死皇の帯鎧

足:死神の足袋

腕:死神の手袋

背中:神刀ムラマサ 鞘 武器 黒月*

* * *

スキル *スキル効果説明(21EX)

「無詠唱」・・・魔力を体内で発動させる際の過程を省略し、即座に発動することができる。ただし消費魔力は増えてしまう。「多重思考(42)」・・・自身の脳が別空間に存在する自分の分身を想像し具現化する。それにより自分自身に並列的に考えることが出来るようになる。また、本体にダメージがあれば他の思考にも影響を与えることになる。つまり、本体が瀕死の状態になれば全ての行動がキャンセルされ意識を失うことになる。なお、意識が繋がっているわけではないので命令や洗脳などには全く役に立たない。あくまで、同じ行動を分担して行うことが可能となる。例1「敵を殲滅しろ。(1名分)→指示を受けた思考Aは敵のいる方向へ走る。指示を出した思考Bも同様に走り出すが…… →敵と戦闘に入るのは1人だけなので、指示を出した1名はその場に待機する。また……(1名分の行動が可能)→この場合なら「待機」の命令は受けないので「敵の殲滅」→「指示者の安全確認」という順番で行う。)

※「指示者と待機者の共有意識」・・・指示者と待機者が同一の考えを共有した場合、より効率良く物事が行える。例えば「敵を倒せ」という言葉に対して、指示者と待機者に異なる考え方が合った場合は、「倒すべきか否か」という判断を迫られるが、この2名が同一の目的を持って動いているのであれば、「指示者」の答えに「待機者も同意」することでより素早く確実に目的を達成出来るといった感じ。また、2名の心が繋がっていなくても、「待機者からの連絡事項を受け取る」などすれば同様の効果が発揮できる。

「隠密」・・・存在を感知されることがなくなる。また気配を消すことで相手を撹乱することが可能となる。

「神気解放:神の肉体」の固有能力として使用時にHPを1にする代わりに攻撃力、守備力、素早さを大幅に上昇させる。また身体能力も上がる。

EX【超鑑定】

・・・相手のステータス及びスキルの全てを確認することが可能。またスキルの習得に必要な経験量が大幅に減少する。スキルの説明は省略された物も含め見ることができるが、そのスキルの詳細な効果は表示されない。EXの場合は詳細まで表示される。

【剣術】・・・剣を扱う際に必要十分な動きを身に付ける。剣術系スキルの中で最上位スキル。EXの場合は上位のスキルが取得可能となり、剣術は剣術の上位互換のスキルである『極』を取得できるようになる。【身体強化】Lv.5(EX)の恩恵によってさらに上昇した状態で使用可能。また、EXは熟練度という概念がない。そのためレベルを上げる必要性が全くないのだ。また、魔力を使うため使用者への身体的影響は一切ない。また、『限界突破』の効果を得ることでその数値が反映されるようになる。

【神格化】・・・魂を昇華させることで生まれる存在にランクアップした状態。通常、人の身のまま神に至ることはできないとされている。またこれは神域にいる存在にのみ発現し得るものでもある。また、神の領域に片足を突っ込んだ状態であると言える。これにより本来得られないエクストラのステータスが反映されるだけでなく様々な特殊効果がもたらされるようになる。ただし、この状態に進化するには相当な時間を必要とするが、進化した後は半永久的に持続するようになる。また、神域に踏み込んでいる状態になることから人族の領域に戻ってくることが出来なくなってしまうデメリットが存在する。

【危険察知】

常時発動型スキルで自分に向けられている敵意を感じ取ることができる。しかしあくまでも感じ取れるだけで具体的な位置を把握することは不可能。熟練することによって範囲を拡大出来たりするかもしれない。EXの場合は全方角の状況を察知できます。【気配隠蔽】

【隠密】と似たような能力ではあるがこちらは自分だけではなく、自分が触れたものも隠すことができるという違いもある。

【身体強化】

魔法により身体機能を強化して一時的に能力を高める技能のこと。基本的には魔法の行使と同時に身体機能が強化された状態となり、それを維持することも可能ではあるが維持には魔力が必要となる。

「魔力支配能力」

魔法を発動する際に必要な魔力を自らの意思で操ることが可能な技能のこと。EXの場合では、自分の思い通りに魔力を操作することが可能である。EXの恩恵を受けるのにはもちろん代償があり、それ相応の負担を強いられることとなる。

【無詠唱】

呪文を唱えることなく瞬時に発動させることが出来る技能のこと。通常は、魔法を使用する際には魔力を制御する必要がある為、事前に魔力制御をして魔法式を構築するのだが……EXの場合にはそんなことは関係なく使えるようになっているのだ。

【多重思考】

一つの脳の演算処理能力を数倍に向上させ、並列に考える能力を得る。EXになると20程度までの並列思考が可能となるのだ。この能力があることによって思考に余裕が生まれる為、状況把握、戦術構築などを行い易くなる。ただしこれも、熟練することによりさらに思考数が増加できるようにもなるので……EXの場合、最大で50の思考が可能となるわけだ。ちなみに、思考数は訓練次第で増えるらしい……が、普通ならそこまで上げることはない。(※熟練による思考数の増加する速度は非常に遅く……EXの場合は500が最大)

「錬金術師」「鍛冶職人」「料理人」・・・これら3つの職業のスキルは熟練することでEXを取得する可能性がある。またこれらは、【身体強化】と同じく、EXを取得するまでにかなり長い時間がかかるだろう。(そもそもEXの条件を満たす為にはそれくらいの経験が必要になると思われる)

【高速処理】

頭の処理速度が速くなり情報処理が格段に早くなるスキル。

「採取名人」「罠解除」・・・これらのスキルもまた、EXの取得条件になっている可能性があり、こちらもかなりの熟練が必要であると思われ、まだ誰も達成していないようだ。EXの場合は、採取名人で1000ポイント必要、罠解除は5000ポイントが必要とのこと。

(……うーん……。とりあえずこれって……。もう……うん……。あれだよなぁ……。)……正直ここまで来るとは思ってなかった。確かに神様が言っていた「君の望んだ通りの生活が待っていると思うよ?」というのはこういうことだったのか……。

(あはははっはは!……はは……。ははははは!!……ちくしょおおおぉぉ!!やっぱり、俺みたいなクズはろくなことが起きねぇじゃねえか!)……いや、落ち着け!俺はこんなことを考えてる暇があったら現状を確認しなければならないじゃないか。……くそ!落ち着くんだ!とにかく今は現状の確認が先決なのだから……。それに、今の俺は死んでる訳だから、ここで生き返らせてもらっても意味がないしな!よし!気持ちが落ち着いたぞ! えぇっとまず、この世界に来た時点でステータスを開示しろと……こうなったら仕方がない!……オープン!……。……ははは!なんかテンション上がって来たぜ!ふむ、どれ? ステータス……

「神刀ムラマサ」の固有能力は魂の共有という物だった。EXの場合:所有者が瀕死に陥った場合に所有者の所持品は全て消滅するが……この刀だけは例外で消えることが無い。また瀕死の状態になっていない場合でも魂の繋がりがある限り、意思があれば呼び出すことも可能になる。EXの場合、神刀の能力を全て引き出すことが出来る。

【神威】new:神の力の一部を開放する。神威:EXの場合は神界へと帰還することが出来る。EXの神界への滞在時間:1年。1回の使用で消費するMP:3000。神刀:神威を使用後神刀は消えてしまうが、EXは再度召喚が可能となる。ただし再使用までの時間は1ヶ月。また1回の発動毎に100日ずつ減っていくことになる。

※神威・・・EXは神界の創造主たる神ゼウスのみが扱える能力であり、神以外の者が使用することは出来ない。また神が死した場合、その力のほぼ全てが消失するのも、神以外が神の力を使用することを防ぐためと言われている。

【死皇の王笏】

神刀ムラマサと同等の効果を発揮する武器で、この武器の効果は所有して初めて発揮される。

装備した者は「死者を使役することが可能」になるという能力を持ち、死者を自らの眷属とし死霊魔術の最上位に位置する死皇という存在を呼び出すことが可能となり……その強さはEXと同等。また、この「神具」には「魂」が宿っているらしく……この武器が破壊された場合、持ち主の命が奪えるようになっている。

【魔槍ロンギヌス】・・・この世界の神器の類いの一つ。神剣と同様、使用者の力を引き上げる効果があり、攻撃力を大幅に上げ、守備力と素早さを大幅に下げる効果がある。この効果によって攻撃面が強化されるがその反面、使用者に掛かる負荷は凄まじいものがある。EXの場合はこの能力が無効化されているのでこの様な結果に落ち着いている。【超鑑定】の効果で全ての性能が丸見えになってしまうためあまり有用とはいえないのである。【時を刻まぬ箱庭の館】

神が作った「神の館」の固有能力の一つで、使用することで空間を隔離した場所を作ることが出来る。(EXの時は、この館の内部で時間が経過しないため……EXが切れた時に時間を巻き戻すことで内部では経過したはずの時間がなかったことになり、館の外に出るとその時間は経過しているという仕様になった……らしい?)【多重思考】と組み合わせればかなり役に立つと思うんだけどね~との事だ。ちなみに……これのEXは存在していないが「超時空戦艦ハルカゼ・アキナ・アルティエール」には搭載されてますw 【魔獣の卵】・・・その名の通り魔物の「卵」である。EXの場合のみ「魔核」が中に存在しており「魔石」として使用できるようになっている。これはEXが発動された段階で自動的に生成されるが、生成量はかなり多くなっているようだ。(つまり魔獣の餌にできるってことですね……分かります)【無限の魔導士杖】

魔法系のスキルを持つ者に贈られる武器。魔法を行使すればするほど成長して強くなっていく。魔法を使う際に必要な精神力や体力が軽減されていき、最終的には魔法を使用するために必要な「精神」そのものも強化されるという効果があります。EXの場合では、通常では不可能な程の長時間にわたって魔法の行使が可能となっており、EXの状態で魔法を使うとその威力は通常の数十倍にも及ぶ。

「魔法戦士」・・・魔法も使うことが出来る戦士のこと。魔法を扱うことに特化することで物理攻撃を無効にする能力を得ている。

「武神使い・・・」これはEXの限定能力である神具に付与されている固有能力で、所有者の戦闘経験や知識などを蓄積していき、戦闘に最適な行動をとることができる。【危険察知】との組み合わせが最適で、EXの場合はEXを発動すると危険察知が発動する為回避行動に補正がかかるらしい。【限界突破】・・・身体能力が限界を超え限界を超えた状態になれる。【神域解放】・・・自分を中心とした一定範囲内を聖域化し、自分のステータスを向上させる効果が得られる。ただし聖域内でしか使えないという制限が存在する。【魔力支配】【無詠唱】の複合技のようなもの? 【魔法融合】・・・異なる魔法を混ぜ合わせて新しい魔法を生み出すことが出来る。ただしEXの状態の場合、このスキルを使用した場合は既存の魔法の融合になり新たな魔法を生み出せるようなことはない。EXの状態の時、魔法陣に干渉することで別の魔法に変質させ、更には強化することもできるようになるようだが、EXの状態の時は【無詠唱】と【魔法融合】を組み合わせることが出来る為特に恩恵は感じられないようだ。

「精霊王」・・・神によって作られた存在。精霊神とも呼ばれることがあるようでEXの場合にのみ神の意思に背いてでも仕えることを選ぶことが出来る。【多重思考】との相性が非常に良く、複数の分体を同時に操れるようになっている為非常に使い勝手が良いとのこと。【並列思考】の恩恵を受けているが……これに関しては【神威】による「魂の共有」が効いていると思われる為、このEXの場合に限り他の職業のスキルを使うことが可能になると思われる。ただしこのスキルを使ってしまえば魂の繋がりが消滅してしまう為、EXの場合は二度と使用できないので注意しなければならないだろう。「神槍ゲイボルグ」「聖盾イージス」「神弓アルテミス」

これらの神具の固有能力はEXが発動しないと確認できないため不明だが、おそらくEX状態での発動を前提とするものであると予測されるが……詳細不明なのが悔しいところだ。【魔力支配】・・・魔力を操作することができる技能。EXだと神すら操れちゃう。【魔力回復】・・・使用して魔力を回復することのできる技能。【身体強化】・・・自身の肉体を極限まで強化することができるがEXの状態になったとしても本来の力は発揮出来ないので注意しなければいけないだろう。(神の力でブーストかけても意味ないもんね)

【神速】・・・EX状態の時にのみ使用可能になるスキル。EXの場合【高速処理】の熟練度も上がっている為に通常の10倍の速度で移動が可能となる。

EXの状態の時にはこのスキルを使用することで瞬間的に光速を越えることが出来るが、あくまでも短時間での使用となる。EXの場合は熟練したところでこの能力の本当の真価は分からないかもしれないと言われた。……確かにそうだよなぁ……。そもそもこんなにもチートな能力を神様達は俺に与えて良かったのかよ!……うん。やっぱり俺みたいなゴミ人間に与えるような能力じゃねえぞ!?神様! EXの状態だと俺のレベルやステータスが下がるらしいが、こればかりは仕方がないだろう。神様が言うには、「神剣や魔槍などの神具や、その他の武具など、それらの効果や特殊効果が弱まるが、それ以外なら問題なく使用できるはず」と言っていたからそこまで気にする必要はないだろう……。

「死人返りの秘薬」・・・飲むと死ぬ代わりに死人を蘇らせることができるという伝説の薬(……いらない子になったんだろうな……神様達)。神界にあるらしいけど……。この世界の神様が持ってきてくれたみたいです。

「賢者の石」・・・錬金術の最高到達点と言われる究極の物質であり神界の神々によって作られる。EXの状態になると神界へ行けるので神界の誰かがこの石をくれたらしい。EXじゃない場合はこの石を使用して「神具」を作ったりも出来るんだってさ。

「時戻しの宝玉」

これも「時の神」が作ったアイテムの一つなんだが、時間を戻せるという効果がある。

つまりは死んだはずの人や物、動物なども時間が経てば復活するってこと。ただこれは本当に限られた時間しか戻せないのであんまり使えなさそうかなーって俺は思ってるんだけど、どうなのかねぇ?

「神の衣」

・・・着る者の能力値を劇的に上げることが出来る服のような物。(……あ、あれ?……なんですかその効果は……えぇ?)【全耐性(物理・神聖・状態異常・魔法攻撃)+3(EXの場合5~20までの任意で調整可能らしい。……ま、マジかよこの爺様っ!!)

「神の御言葉」

EX専用装備で所有者に語りかけてくる機能がある。EXは所有した時点で神界の住人になる為、神界の声を聞くことができるのだ。

【鑑定の瞳】・・・鑑定の上位互換で、この世界では見ることのできない情報を見ることができるという超凄いスキル。EXは鑑定した情報が丸見えになってしまう。

【万象の魔眼】・・・【超鑑定】の上位版とも言える魔眼。この世界には存在しないものや見ただけでは分からないものを見ることが出来る。

「超時空戦艦ハルカゼ・アキナ・アルティエール」のコアユニットである「神器」と呼ばれる魔道具を「超鑑定」で鑑定した際、この能力が追加されたのだが、俺自身にはこの能力の使い方がよく分かっていない。(だってこれ「魂の回廊」に接続しないと使えないんだよ?しかも接続しても魂が繋がらない限り、相手の能力が見えないんだよね……この能力……使い辛いったらありゃしない。だから俺はまだ一度もこの能力を使ってはいないのである。)「魂」が繋がっていない状態で使用しようとすればこのスキルは勝手に発動してしまうので注意が必要だと言えるでしょうね……はぃ。

【絶対服従契約】

これは、主従契約を結んだ対象を奴隷化する能力でその効果は隷属の首輪以上だったりする。この能力で首輪を着けることで相手を拘束することが出来るが、主が望めばどんな命令にでも行うことになるらしい。(ちなみにこの能力は俺にしか扱えないらしく、神が作ってくれたこの世界ではこの能力を持つ者は存在せず、EXは俺が初めてのようです。ま、そんな事より「魂の絆」だよ……「魂の絆」さえあれば相手と繋がりを持てるはずだから、それを見つけ出して繋がりを持っておかなければ……。ちなみに神曰く、この「契約紋」はEXの固有能力の一つで【多重思考】の能力と合わせて発動するとかなり凶悪なものとなるようだ。)「魔力解放」・・・体内魔力を解放し身体能力を向上させることが可能になる。

「神格上昇」・・・神格を上げることが出来る能力。これを使えば、本来では不可能なレベルにまでステータスを向上させることも可能らしい。EXの場合はEXの固有スキルを扱えるようになるのと同時にこのスキルも同時に使えるようになるとのことだ。(※ただしこの能力はEXではない通常時は使えないので、通常時は使えないと思うんだけどね)

・・・ 以上が俺に渡された特典である。これだけ貰ってもまだ余っているらしいのだけど…… 【多重思考】の「共有スペース」で、みんなで相談することにしたわけなのだが、やはりと言うべきか、誰も彼もが同じことを考えていたようだ。

それは、EXの状態でも「魂の共有」が出来るのではないかということである。

「魂の共有」というのは、「魂の共有」をした相手に自分のステータスや経験などを共有できるというものらしい。

俺と神達の間では魂を繋ぎ合わせているので、このスキルを使うと強制的に「魂の回廊」が発動され神達のステータスなどが俺に流れ込んでくるとの事だ。

ただ問題は「強制」という点だ、このスキルを使わないのならば問題ないが使うと必ず「魂の繋がり」が切れてしまう為、もし俺と神がこのスキルを使おうとすれば必然的にこの「魂の繋がり」が無くなってしまうということだ。(EXの状態なら問題なく「繋がり」を維持して使うことが出来るみたいですが……。でも「繋がり」を切って使っても普通に使えるようなんですが、どうなってんの?)

つまりは……俺と神がEX状態で戦うようなことになればどちらか一方が確実に死ぬということだろう……。

うむ……恐ろしい話だ。

俺もそう簡単に死にたくないし、神もそうだとは思うのだが、何がどうしてそうなるのか理解に苦しむ部分がある為考えても答えが出ないだろうと思い、とりあえずこの話は棚上げする事にしたのであった。

それに……なんかよくわかんないけどEXの固有能力のEXは「エクストラ」のことで、神様に教えてもらったが、俺の持っているEXにはさらに上の「超越EX」があって、これがもう反則レベルで強いとのこと。そしてEXにしかないのがこの【魂の共有】で、これを使ってしまえばお互いの魂を共有し、魂で繋がることができるためEXの場合は相手が死んでも、自分の意思でいつでも生き返らせれることができるらしい。……まぁ確かにこんなの貰ったのに、俺が死んだからと言って生き返らすことが出来ないんじゃあ宝の持ち腐れだものなぁ……。

という訳でこの能力があれば死ぬ心配をせずに神をボコれるようになったから良しとするか……。

「なぁ神様よぉ……。あんたら俺をこんなにも強くしてよかったのかよ?」

「いいじゃろうて……。ワシ等にとってはどうせすぐに死んでしまう命なのじゃから……」

いやまぁそうなんですけどね?もっとさぁ?俺の人生なんだから色々あっただろうよ……。……あれか?俺を転生させるときに適当に手抜きしてこの程度の能力で済ませたとかそういう感じなのだろうか?神様の割にはちょっと無責任過ぎませんかねー!? こうして異世界への旅立ちの準備を整え終えた俺は早速異界の地へと旅立ったのである。

神達が見送ってくれてはいたが、正直「魂の絆」は切れたままだったので、別れの言葉は交わせず少し残念だったが、いずれ再会することも出来るだろうと気楽な気分でいた。

だが、この時すでに俺はこの世界を甘くみていたことを後に後悔することとなる……。

異世界へと旅立つ前に俺は、まず最初に自分の姿をどうしようかと考えていた……。

今現在の俺は17歳の少年で容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群の所謂完璧超人となっているわけなので……ぶっちゃけこの状態で行くと目立ち過ぎると思ったのだ。

確かに、こんな超絶イケメンにチート能力を山ほどもらった状態で転生したら……誰からもモテまくりハーレムを築けるだろう……。

でもそんな事したくはないんだよ!……というより、そんなことをしてもきっと楽しいとは思えないんだよね……。そもそもそんな人生は嫌だというのもあるけど……。

だって……それって結局……誰か一人のものに縛られて生きることになるんだぜ?……そんな事しなくちゃ生きていけないくらいに女が寄ってくるような男がいてたまるかっつぅんだよ!!…………って言うのが本音でさ……。

だからといって別に男が好きってわけではない。(断じて違う)

要は、他人に支配されて生きたいと思える程俺の精神が成熟していないってだけなんだよ……。

あと……この世界にはまだ「魔王」なんてものは居ないようだし、人間族と魔人族は仲が良いようで争うことも少ないみたいなので、今の俺のこの外見はどうみてもこの世界の住人からすると「不自然」そのもので、どう見ても怪しい奴になってしまうことは確定している。(まぁこの世界で俺の敵は今のところいないんだけどね?)

ま、この辺はおいおいどうにかしていくとして…… この姿のままでは、この世界で暮らすには目立つという結論が出た。(ま、そりゃ当然だろね。……でだ……俺は、自分を変えることにした。つまりは、自分の姿を自分で変えるという荒業だね。)

「よしっ……じゃあ始めるとするかな!」

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・・・・ あれ? おかしいな?……俺、何を間違えたんでしょうか? あれぇ? あれぇぇ?

「えぇええええええ!!?」……俺は自分の目を疑った……。いやいやそんなはずはない!!……ないはずだ!! しかし、いくら確認しようと思ってもそれが変わることはなかった。

なんということでしょう!!この俺の姿……

・・・なんと「ショタ」になってしまったではありませんか……。(……なぜこうなった!?いや……まさかこの世界のせいじゃないよね?)……いや……これは……もしかするとこの世界が何か関係あるのかも?……だとすると……もしかしてこの世界が俺にとって危険だった……という可能性もあるかもしれない。

例えばこの世界に俺の嫌いなものがたくさん溢れかえっていたりしたのだとすれば、もしかすると俺の嫌いなものを無意識的に「超拒絶」していた為に俺の肉体に変化が起きた可能性もなくはないのではないだろうか? ま、でもその辺の検証をしても意味が無いしな。……取り敢えず今は、これから向かう先へ意識を集中させておけば良いか。

(そういえば神は、俺に一体どこの大陸に行くように言っていたんだっけ……)

そう思った俺が頭の中で地図を広げると……あれ、何だこれ……。俺、神達に「地球」の世界について教えてもらった記憶はあるけど、自分の住む国のことについては聞いてなかったぞ?……なのに何で……。

『君の生まれた国の名は「日本国」だよ』……と神が言ってくれた気がした。(※あくまでも脳内のイメージ映像です)

ははははは……そんな事あるわけないだろ……。そんなこと有り得る訳がない。だって、この俺の記憶が正しければ、日本というのは遥か東にある島国のはずだ。こんなに近くに存在している訳がない……。(でも実際ここに存在していてるんだけどね)

も、もしかするとこの世界での常識的なことで俺が間違って認識しているだけかもしれない。うん。……そうに決まっている。……いやまぁ多分だけど、神達が俺の為に用意してくれた異世界には日本の他にも様々な国が点在してたりするんじゃないか?それでその中のどこかの国の名前を教えてくれたのかもしれないな。……うむ、そうだよきっとそうだ。そうに違いない。……というかそうであってほしい。

それにしても「日本国」とはねぇ……。何でわざわざ日本人しかいないような名前をつけているんだろうな。まぁ、確かに「日本」は俺にとっても故郷のような感じがするし、「国」って付いているくらいだから結構でかい国なのかなぁ。それに、「ニホンコク」っていう名前は語呂も良い感じだしさ……。俺としては違和感がなくて良いんだけど、神達にしてみればもっと他に適当な名前もあったのに……って思うんじゃないのかね……。俺なら思うもんな……。(俺もそう思う。特にこの「コウ」とか「シン」とか……「ジ」なんて名前なら違和感ないのに……。どうしてこんな名前を付けられたんだろうか?)

「日本国」はどうやら「島」ではなく「大陸」のようだ。しかも……「日本」は海に囲まれた大きな「島」のようになっている。そして、この「世界」の大きさが「星」のスケール感から見て「地球の4倍」はありそうな大きさに見える。

この世界は球体をしているみたいで……。……ということはもしかして……この俺が生まれた場所は地球で言うところの南半球って事になるのか?……そう考えた時に少し不思議な感覚に襲われた。俺は北半球の生まれで日本には小さい頃に住んでいたが、その事は覚えていても、自分が「どの国にいて何歳だったのか?」という事をあまりはっきりとは覚えていなかったのだ。(確か……俺は……俺の家族は日本じゃなく海外に住んでたような……?そして俺の年齢が……)

まぁ……いいか……。そんなことは大して重要ではないだろう……。

とにかく、まずは神が教えてくれた俺の生まれ故郷の島……「日本国」に辿り着かないと話にならない。……だがどうやって行けばいいのだろうか……。普通に転移で移動してもおそらく「魔力の渦」が発生してしまうから、まずはその発生を防ぐ方法を先に調べなければならない。

そこで俺は神からもらったEXの【創造】の能力をフル活用することにした。……まず最初にこの世界から脱出するための鍵になりうる「スキルと称号を封印」してしまおうと思ったのだ。

この「スキルと称号を封じる」というものは俺の中では割と有用そうなイメージがあってかなり期待して【EX・創】を発動してみたものの、俺が考えていたような変化は一切起きなかった……。まぁそうだよなぁ……。そんな簡単にチートが消えてしまったら苦労しないよね……。(́;ω;')ウッ 気を取り直して次の手を打つことにする。次に俺は、この「日本国」までの道程を記したMAPを作り上げることに決めたのだが……さて困ったぞ……(́-д-)-3……俺は「地図」を作り出す能力など持ち合わせていないからな……。(ちなみにこの能力の効果は、「自分が訪れた場所」や「知っている場所に目印を付けておいてそれを確認する」という物で……俺は、その能力の事を「マッピング機能」と呼んでいる。要はスマホみたいなものだと思って貰えればよいと思う。だが残念ながら俺には、その能力を使用するための「知識」が無いのだ……。つまり……どういう事かというと……。俺は今、どこに居るのかさっぱり分からない状況に陥っているのだ……。

俺は今現在自分の能力によってこの世界の何処かにいることまでは理解できているので、後は、この世界全体の地形とかを把握したいと思っているのにその方法が無いという訳で……ま、これは自分で何とかするしかないのだろう。(ま、最初からそう思っていたけどね!)

よし! そうと決まったら……

「まずはこの世界全体の様子を把握できるようにしようかな!……あ、そーいえば神様ってこの世界を作ったって言ってなかった?もしかして……「神の視点」みたいなものを使って世界中を監視できるようになれば何か分かるかも!?」……と思った俺は、自分の頭に意識を集中してみると何やら色々なものが頭の中に浮かんでくるのを感じ始めた。

「……なんだこれ?何か頭の中にいっぱい情報が浮かんで来るような……。ってかコレ……ヤバいな……。頭が割れそうだ……。」

俺は余りにもの大量の情報量に処理が全く追い付かず、激しい頭痛に襲われていた。

(やべぇぇええ!!)……と俺は内心叫び声をあげつつも何とか痛みに耐えていたが……やがて俺は耐えきれなくなり気絶してしまった。(※脳内のイメージ映像です)『……』……ん、……

『……お……い……おい…………おきろ!』

ん?……誰だ?

「え?」……あれ、俺いつの間に寝ちゃってたんだろうか?

「あれ?……ここは?どこだ?……」

目の前には見渡す限り何もない空間が広がっていた。…………。……俺は何となくではあるがここが自分の精神世界のような気がしたので周囲を確認しようと意識を向けた途端、また俺の意識は遠くなっていくのを感じた。……俺は再び眠りにつくことにした……。

(もう無理ぃ……。これ以上意識を保ってると本当に死ぬわ。……でも……何となく意識を手放したくないんだよなぁ。……だってこのままだとまた意識を失った時に「この場所」に戻ってしまう気がするからな……。俺はまた自分の意識を取り戻せるかどうか自信がなかった……。)

・・・・・・ 目が覚めると今度はちゃんとした部屋の中で、俺は布団の上に横になっていた。「あ、良かった……。戻って来れたみたいだ……。」

そう思った俺はホッと一息つくと周りを確認しようとしたところで、またしてもあの「強烈な情報」を脳裏に直接叩き込まれることになった……。(……マジでやめて!!(泣))……そして……やはり俺は再び失神することになった。(……うぅ……。も、もしかしてこの繰り返しが……この苦しみが永遠に続くの……?……いやいやそれは嫌過ぎるよ……。も、もしかして俺は永遠にこのままの状態で生きて行かないといけないのか?……俺の魂って大丈夫なのだろうか??)

それから暫くの間俺は、気絶→覚醒→意識失うを繰り返していく事になった。

(いやいやいや、流石にこんな拷問は勘弁して欲しいよ……マジで。早くどうにかしなきゃ……。……ん?待てよ?もしかすると俺の持っているEXの力の【超拒絶】とやらは発動しているんじゃないか? だってそうだろ?神様の話では俺が神に願った「自分の嫌いなものは拒否できるような状態になって欲しい」って願いは叶えられている訳だから……。俺がこの世界に「転移」した段階で俺の嫌いなものを拒絶できたって事になる訳だから、きっと「スキルと称号を無効化」する事も出来たんじゃないだろうか?)

俺がそう思った瞬間だった。急に頭の中でファンファーレが鳴っているような錯覚を覚えてしまったのだ。

ピロンッ……ピロリロリーン♪

・EXアビリティ【完全拒絶】のレベルが上がりました。……【全魔法耐性】を獲得しました。(NEW!)

【スキル無効化】を習得しました。

【無属性無効】を取得しました。(NEW!)

【スキル封印】を入手しました。

【神罰執行者】がレベルアップしました。(※EX・創によるスキル封印の成功数が一定回数に達したためです※なお神に対する攻撃行動は神罰として自動的に「呪い付与効果」「状態異常継続効果」が付与されるため成功しても解除される事は有りません)

【自動復活】のレベルが上がりました。

レベルが上がったことによりHPの残量が50%以下であっても死を免れます。……etc.(なんか凄い事になっちゃってるんだけど……。何だよこれ?一体どういうことだ?)

とりあえず落ち着いて考えてみることにした……。「ふむ……。取り敢えずまずはこの世界で生きて行くために何が出来るのかを考えるべきだな……。うん。」

俺はそう思い立つと早速自分の力の確認を始めることにした……。まずは【超解析】から始めよう……。【超鑑定】よりは詳細情報が多いし色々と便利な機能が付いているはずだから……。

そう思った俺は試しにステータス画面に表示されている情報をチェックすることにした……。すると画面にはこんな表示が出てきた。

・名前:山田真也種族:人間族(異世界人)

性別:男

年齢:15歳

体力 :EXP0/10,000,000……EXPは多分経験値的なアレなんだと思う。(ゲームでいうと経験値って事だな。つまりEXは『エクストラ』じゃなくてそのままの「EXP」っていう意味でいいのだろうか?それにこのEXって言う数値は……何なんだ?……よく分からないが、多分俺のEXが最大値で……その数字分の「経験値」を持っているんだろうな。)

そして……

「え?年齢15才なの?あれ?確か俺って17歳だったはずなんだけど……。若返ってるのか?しかも見た目が中学生くらいまで縮んでいるような?何これ?どうなってるの?」

俺の年齢は何故か16歳から13歳まで一気に若返っていた。「どういうことだろう……。」

そこで更に俺の能力が気になった俺は自分に対して能力を【創造】を使ってみた。その結果……。【超再生】というスキルと【創造主】という称号を獲得したようだ。このスキルの詳細を確認することにする……。

*

***

【超再生】……体の一部が欠損したり失われたりした時に瞬時に回復する。(EXアビリティである創造によって【全回復】に置き換わる。)ただし、「スキル封印」などのEX・創で封印された能力及び称号には適用されない。

「おぉ!!俺の思った通りのチート能力っぽいじゃないか!これで俺は不死身になったのだろうか?いや、そんな事はありえない。そもそも死んだら終わりだしね。この「体の一部」っていう表現は気になるけど、もしかしたら身体の一部を切り離されたりした場合は即座に元通りに繋がるのかもしれない。まぁこの辺りは何回も検証していく必要があるよね。よし、気を取り直して次は【全言語理解能力獲得の加護(※永続版)】の方を確認するとしよう……。」……と俺が再び自分に能力を付与しようとしたその時……俺は自分が身に着けている衣服から微かな違和感を覚えた……。

(あれ?何か変な感覚だな……。なんだ?何か妙な感じだ……。俺は服なんて持ってなかったよな?それにこのズボンは俺のじゃないぞ!?なんだこの短パンみたいな奴は!?それに俺の服装は何処へいった!?)……と思った途端、俺は再び頭を抱え込んでしまった……。「え?どういう事!?俺の着ていたはずの制服は何処にあるの?まさか……俺の着ていた「普通の制服」って、もしかして……「俺自身」の事を指していたの?え?じゃあ俺は今……「誰?」って事なの?」

俺は混乱するあまり思わずその場で大声で叫んでいた。……。……あ、……これっていわゆる「記憶喪失系主人公」ってやつじゃないだろうか!? も、もしかして俺は……

「自分の事を……忘れてしまっているのではないのだろうか?」

こうして俺は…… 異世界転生早々、自分自身に関することを全てを忘れてしまっていたという事実に直面してしまうのであった……。……。……あれ?……もしかしてコレ結構マズくない?……だって俺は「自分の事も覚えていない、何もわからない、おまけにお金も無い」……と言う状態でいきなり異世界で初めて目が覚めた……という状態だったのだから。(※脳内のイメージ映像です。尚この映像はあくまでフィクションで実際の状況とは異なる場合があります。)……そう思った途端に、今までに経験したことが無いほどの激しい頭痛に襲われた……。

【全魔法耐性】を習得しました。

【自動回復】のレベルが上がりました。

俺は頭を抱えたまま痛みに耐え続けていたがやがて意識を失ってしまい再び目覚める事は無かった……。

俺は気が付くと見知らぬ部屋のベッドの上で寝かされていた。「うっ……」……頭が痛ぇ……。俺は意識を取り戻すと慌てて起き上がったが……自分の体が思うように動かないことに気づく……。

「あれ、なんで俺こんなに小さくなってるの?……俺ってこんなに可愛かったかぁ?」

俺は鏡を見て驚いていたが、それと同時に「こんなに可愛い女の子に転生させてくれてるなんて神様ありがとう!!」と本気で思ってしまった。だって仕方がないだろ……。だって本当に美少女になっているし。……ただ一つだけ問題があった……。俺はさっき目が覚めるまでのことが何も思い出せないのだ……。

「う~ん、……どうしたものか……。自分の名前さえ分からないとか……。俺は……一体どうしてしまったのだろうか?う~ん……うぅ……。駄目だ……これ以上考えてると余計な情報が流れ込んじゃう気がしてきた……。もう考えるのやめよ。……そういえばこの体はどこの誰のものなんだろうか?俺はこんなに小さいから子供だと思うんだよな……。」

俺の視界に映っている少女の手はとても綺麗で透き通るように白く美しかった……。でも何故か手を握ったり開いたりする動作を繰り返すだけで凄まじい不快感が全身を駆け巡っていく……。

ピロンッ……ピロンッピロンッ!!

(……うわ!!びっくりしたー!!な、何が起こったんだよ!ってか、うるさい!心臓に悪いって!)

急に手の中のスマホから通知音が連続して聞こえてきたかと思うと、急に画面に沢山の文字が表示された。『あなたに新しいスキル【超速思考】を付与しました。これにより、あなたの思考速度が高速化され、体感時間が通常の10倍になります。』

『EXアビリティ【超高速思考】のレベルが上がりました。(NEW!)【超高速成長】により【肉体】と【精神】の成長が加速します。』

【スキル】

・EXアビリティ(21EX)

**スキル効果説明(21EX)

・EXスキル(11EX)

**EXスキル効果説明(11EX)……んんんん?(・・・・・)「な、なんだこりゃ……。スキル?なんで俺の中にスキルなんかがあるんだ?」

スキルの説明欄が文字化けしているようで読めなかったが……【スキル】という単語を目にした瞬間に何故か心が震え上がるのを感じた。それは何故かというと、まるで「俺にはまだ出来ることがあるんだ」って言ってくれているような気分になってしまったからだ。……俺は無意識のうちに画面を操作していくとスキルの項目を開いて確認していた。

『EXスキル』

EX:EXアビリティ 1【創造主】……EXがMAXのため全てのEXが使える。

2【超解析】……EXがMaxのため解析できる。

3【絶対鑑定】……EXがマックスのためか全てを見ることが出来る。

4【万物創造】……EXがマックスのため全てを生み出すことが出来る。

5【全言語理解能力】……言葉を理解し話せるようになる 6【ステータス閲覧権限】……他人がステータスを見ることが出来ないようになる 7【完全拒絶】……EXがマックスのため拒絶する事が可能になる。

8【完全封印】……あらゆる物を封じることが可能になる 9【全知の眼】……自分の知りたい事を調べられるようになる 10【世界接続者】……自分の知っている世界に行ける

・スキル封印・解除……スキル封印・解除が使用できる。封印中の能力は使用不可。

EX:創(エクストラスキル・創)……EXがマックスのため何でも生み出すことが可能

・全属性適性(MAX)・無詠唱・無限収納・アイテムボックス・多重存在・転移術(異世界・元の世界へ)……etc

『通常スキル』

・火耐性(Lv3)→火炎耐性(MAX→獄炎耐性(L1,Ex2)・水耐性(Lv1)→水流操作(LV5)……etc

・回復(L1)……HP回復(MAX)→体力回復(EX)……MP回復(L4)……etc

「なぁ……。これは何なんだ……って俺が生み出したものって事になるのか?」

そう思うと俺には少し誇らしく思えてきた。

「ふむ、なるほど……。つまり俺は、俺自身の力で作ったチートスキルで、俺自身は記憶を失ったわけなのか……。……なんだよそれ……。笑えない冗談にも程があんだろうが!!……って事は俺はチート無双ハーレムラブコメ系主人公のはずが、まさかの展開になってんじゃねぇか!?ふざけんな!神様!何してくれちゃってるんですかぁ!!!」……自分で自分にキレるという謎の行動を取ってしまうと再び俺の精神状態は混乱してしまう……。するとまたも頭の中であの不快音とメッセージが流れた……。

『スキル【全魔法耐性】と【物理攻撃耐性(大)】を取得しました。』

【スキル詳細

EXスキル:創造】

「……うそ……。俺の想像した通りにスキルが出来上がっていく……。ってか、こんな事が出来るって事は俺の能力にはチート系の能力が含まれているのだろうか?」

俺は改めて自分の持っている能力を確認することにした……。

まず最初に思ったことは「自分の持つ能力についてもっと知っておいたほうが良さそうだ」ということだ。何故なら今の自分は「自分に関しての知識が何も無い状態」なのだ。だからまずは自分が持っている知識を確認する事にする……。俺は自分に【超速思考】を付与して色々と調べてみた。(えっと……。このスマホに表示されてる数字や記号が多すぎるから……。まずはこの数字や文字の解読だな……。とりあえず今はこのスマホの表示しているものを日本語に置き換えよう。)……と俺は思いつきで試してみることにする。(よし、まずは変換する文字を決めて……それから数字とかも漢字に書き換えてみよっかな……。)俺はそう決めると「【翻訳】と入力し変換して実行!」と頭の中で念じた。……しかし、何も起こらなかった……。「あぁ、ダメか。えっと、じゃあ今度はこうだ。【翻訳】……ってうおっ!?急に目の前に光り輝く魔法陣が現れ始めたんだけど!?な、なんなんだよ一体!!」……そして魔法陣からは先ほどの魔法とは違う感じの光を放つ物体が出現してきたのである……。「え!?え!?どういうこと!?え!?ちょ!?え!?ま、魔法じゃないよね!?これ、もしかして……。召喚獣とかそういった類のものなの?マジですか?」……と困惑しながら俺はその「謎の物体」を見続けていた……。すると突如目の前の「謎空間」が弾け飛んだかのように光の塊が現れたかと思うとその「球体」から何かが出てきているのが見えた。……そう、「人」のようなものが出てきたのだ……。

「ん、ここは何処だ?それになんだこの格好?俺、なんでここにいるのかな?そもそも僕は誰なんだい?記憶が曖昧でよく分からないけど、なんだかいやに頭が痛いんだ……。」……俺はこの時この人物が「自分と同じような境遇にあるのではないか」と思った……。「お、おい、大丈夫か?俺はアルヴィンって言うんだけど……君は記憶が無いみたいなんだが……。俺は君と同じ転生者でな、俺の場合は事故に合った後どういった経緯でかは分からないんだが記憶喪失になってしまったんだよ。……ところで俺は今の状況がよく分かっていないんだが……。俺の体が小さいみたいだし……君とは歳が同じくらいのような気もしないでもないので自己紹介も兼ねた質問をしてもよろしいでしょうか?」

俺は相手が記憶を失っていることを確認してからゆっくりと話しかけた。すると彼は俺の話を聞いてくれると分かった瞬間……急に苦しみだしたのだ……。俺は心配で彼に近づくと声をかけてあげようとした。「……なっ、……なんなんだこれは……。この力は……?……この力が……この世界の……力だと……いうの?この世界を破壊せねばならぬ理由があるというのか……。僕達にはそんなものは必要ないのに……。どうしてなんだよ……。くそっ、……このままで済ませる訳にはいかない。絶対に許さない……。必ず……この手で奴らを滅ぼす!!そうしなければ、そうでなければこの怒りを抑えきれない!!」……と苦しそうな顔をしながら呟き始めるのであった……。俺はその姿を見た時に心の底から不安になり、この男を放っておく事が出来ず抱きしめることにした……。……すると不思議な事に彼の感情は静まっていき安らぎの顔へと変化させたのだった……。

「な、なぁ、君はさっきの力をまだコントロール出来ていないのではないのかい?あんな危険な力はもう使わなくていいんだよ……。……もう、こんな辛い目にあって欲しくはないんだよ……。……本当に、もう使わないって約束出来る?」……と優しく語りかけると、俺が抱き着いている人物は次第に落ち着きを取り戻し、安心したように眠りにつくのであった……。

(あれ?おかしいな。俺はさっき確かに彼を救おうとしたはずなのに……。なぜ俺自身が救われてしまったのだろうか?)……俺はそう思うと自分が情けない気持ちになってしまった……。……しかし……、彼が俺を助けてくれたのならば、俺だって助けなければならないと思い立ち……。俺は彼をベッドへ寝かせようとすると……。突然……俺が眠ってしまったのであった……。……そして目を覚ますと俺はまだ幼女の姿になっていた……。……………… うぅ……。よく寝た気がする……っていうか俺が目を覚ますまでどれぐらい時間が経ったんだろうか……。辺りは既に暗くなっていて月明かりしか差し込んでいなかった。そして部屋には誰もいない。俺は急いで自分の能力の確認をした。するとステータス画面に新たな項目が増えていることに気がついたのだ。(んんー?ステータスってなんなんだろ?まぁそれは置いといて確認だけしちゃおっか!)

ステータスを覗いた結果によると、現在のレベルは3となっていた。

【名前】

アルフォンス 【種族】

ハーフエンジェル(人間・天魔族・悪魔)【年齢】

10才 【職業】

無職 【称号】

勇者(EX)……EXスキル【絶対鑑定】【ステータス閲覧権限】を所持 女神(EX)……全能力が大幅に上昇する 【性別】女性 【加護】

創主の愛・悪魔の呪い 【スキル詳細EX】

1【万物創造】……EXがMAXのため全てのEXが使える。

2【完全解析】……EXがMAXのため全てを見ることが出来る。

3【世界接続者】……自分の知っている世界に行ける

EX:創造・EXアビリティ・全属性適性・無詠唱・無限収納・アイテムボックス・多重存在・転移術・完全耐性・全状態異常無効・HP・MP自動回復・経験値増加・完全言語理解能力・スキル強奪・神速再生・HP超絶回復・全魔法耐性・全物理攻撃耐性・状態異常なし・完全防御壁・MP完全吸収 【EXアビリティ詳細】

・EXスキル……EXがMAXのため全てを生み出すことが出来る。

・EX魔法……EXがマックスのためか何でも生み出すことが出来る。

・通常スキル……【超回復】……HPがMAXの時は自然回復、MAXの時は全ての回復効果が2倍になる。

・EXスキル……

・エクストラスキル……

・オリジナルスキル……

・エクストラ魔法……

・エクストラ能力……

・ユニークスキル……

・特殊EXスキル……

・EXエクストラ……EXがMAXであるためEXエクストラが全て使える EXスキル……

・超EXスキル……超がMAXである事と、エクストラの次に付く。エクストラを超える効果を得られる。(通常スキルの効果上昇、取得経験値の増加、スキル獲得確率の向上など)

通常スキル……

・火魔法(Lv1)……火魔法のLvが上がる。

Lv2になると中級、Lv4で上級と威力が上昇する。Lv5は超級となる。Lv7から魔法名は「~ファイヤー」となる。

「火魔法」の派生として「炎熱魔法」、「氷雪魔法」、「雷電魔法」、「暴風魔法」、「暗黒魔法」等が存在する。また「闇魔法」は「闇属性」というカテゴリーで存在するため、「風」「水」魔法と同様に「魔法」扱いとなる。

【能力詳細】

1全能力大幅上昇 全能力値が上昇しやすくなる 2全状態異常耐性 毒や麻痺などの状態異常に掛かりにくくなる。

「状態異常耐性」という「魔法」が存在しない為、魔法というより能力であるといえる。また「状態」とは「病気」の事を指しているのではなく「状態変化」という意味での「状態」となっている。「病み」や「死」の状態を指す場合の「状態」とは異なる。

3無限収納 亜空間を作り出しそこに物を保存できる。時間の流れが無い為、入れたものを入れた時の状態でそのまま維持される。生きているものも入れられるが生き返るわけではない。

4アイテムボックス 生き物以外は生物でも入れることができるが重さの制限がある。生き物を入れている時よりも、容量は小さくなる。大きさ制限もない。ただし生きていないものにはあまり容量がない。また、生きていれいるものが重ければその分、小さくなり重量が増える。

5魔力吸収 触れたものの持つ魔力を吸収してしまう。

6全魔法使用可能 あらゆる魔法を使う事が出来る。

7全状態異常無効 どんな状態になってもすぐに元通りになる。

9HP 体力。最大値は100億ある。

10経験値増大 レベルアップの時にもらえる成長値に補正が掛かる。

100年鍛錬したら10歳の状態から100歳以上に成長出来る可能性がある。

11魔法完全耐性 全ての魔法に対しての耐性を得る。

12神速再生……死んでしまった時に、瞬時に肉体が再生し蘇ることを可能とする 13完全言語理解 言葉を理解する。

14神眼……鑑定能力が備わっていて対象の人物の能力値を覗くことが可能 また、対象者の「記憶」を見ることも出来る。

【オリジナル能力の詳細】

15【創造】……EXがMAXの為、想像したモノを何でも作ることが出来る。

2全属性適性……各系統にある「適正」のある「魔法」が使えようになる 【ユニーク能力の詳細】

16【悪魔召喚】……悪魔と契約を結ぶことでその力を使役することが可能になる。

(※「契約」の破棄は「契約解除」のみ可能である)召喚する悪魔の強さは「階級」により決定され、その「等級」の上下関係は悪魔自身の強さに反映され、更には「契約者のランクアップポイント」による恩恵も受ける事が可能となる。

また、呼び出した悪魔の力もある程度なら自由に使用することが出来る 17【多重存在】……自分自身と同じ「人格」を持った別の個体を作ることが出来る 18【転移術】……自分の「魔力の通った経路」を通って行くことが出来る また自分と同じ能力を有する分身を一体だけ作り出せる。但し、本体が死ぬとこの術の効果は切れる。

19【万物鑑定・改 神の目】……対象を「目視」、「鑑定」することで、全てのステータスと能力を知る事ができる 20【神速再生】……死んだときに即座に肉体を再生する事が出来る。また欠損部分も治す事が出来る。この能力は発動後24時間で回復するが、一度使用すると次に使うまでに72時間は空ける必要がある 21HP超絶回復……死ぬ直前にHPを全て回復させ復活する 22経験値超々増量……レベルが上がりやすくなる 23経験値増加 レベルを上げる時に得られる経験の数値が増加させることが出来る 24スキル強奪……相手の持っているスキルを奪いとることが可能になる。奪い取るスキルは自分のスキルリストから選ぶか相手から強制的に奪い取る必要がある 25コピー&ペースト……対象に触れれば能力を丸ごと複製し自分に貼り付け可能になる。また貼り付けた際に能力が強化される場合あり。例えばステータス強化系の「コピースキル」(身体向上系スキル)の場合は強化倍率が高くなるといった具合だ。

26アイテムボックス 【種族】

ハーフエンジェル(天魔族・悪魔)……種族進化時に選べるが、種族によってデメリットが発生する事がある 【年齢】

10才(精神年齢28才+α)

【職業】

無職 【称号】勇者(EX)……EXスキル【絶対鑑定】【ステータス閲覧権限】を所持 女神(EX)……全能力が大幅に上昇する 【性別】女性 【加護】

創主の愛・悪魔の呪い 【スキル詳細EX】

1【万物創造】……EXがMAXのため全てのEXが使える。

2【世界接続者】……自分の知っている世界に行ける

EX:創造・EXアビリティ・全属性適性・無限収納・アイテムボックス・ステータス改竄・言語理解能力・ステータス偽装 3【超高速再生】……死に瀕した際HPがMAXになり瞬時に復活することができる。

4【ステータス超絶上昇】……レベルが上がった際に手に入るステータスの成長値を増加させる。またステータスの上がりやすくなりやすい状態が通常より早く進行する。(レベルの上昇速度は変わらないが、ステータスの値上昇率は増加する)

5【MP超絶上昇】……レベルが上がった際に手に入るMPの伸び率が増加する。

「ステータス上昇補正」の効果が倍増し、「スキル取得補助」の効果も同時に発揮されるため効率よく成長できるようになる。またレベルが上がった際にはMP値の上昇率が大きくなるため、魔法系統の職業はより効率的に強くなれる可能性が出てくる。

EXスキル(固有スキル)……ユニークスキルの進化先。普通のユニークスキルより遥かに強力な効果を持つスキル。しかし使用には厳しい条件が必要となるものが多い為あまり使われない。EXスキルが使えるようになると「称号・スキル・職業・ステータスがEXの規格外に成長する」効果がある。

2【全知全能(仮)・解析者】……EXがMAXであるため全ての解析を行うことが出来る 【魔法】

3火魔法……Lv1 炎熱魔法…… Lv3で超絶上級魔法の超級「地獄業火」を使用出来るようになる 水魔法……LV4で超絶中級魔法の超「大洪水」の使用が可能になる 土魔法……LV6 氷結魔法…… Lv8では上級魔法の超「氷河期」を使用できるようになる 雷魔法……LV12 暴風魔法……Lv20で超絶上級魔法の超「大地震」を使用出来るようになる 4風魔法……LV16 光魔法……Lv32で超超超最上級魔法の超超超超極級魔法を使用する事が出来るようになる。また魔法名は【天聖撃】となる 5光魔法 【能力詳細】

1全属性耐性 あらゆる属性の「魔法攻撃」「物理攻撃」「スキル攻撃」「特殊攻撃」等の効果を大幅に軽減する。また「状態異常」にもかかりにくくなる。2状態異常耐性 あらゆる「状態異常」にかかりにくくなる 3HP MAXの状態でも自然回復しない 40魔力吸収 4全魔法使用可能 5魔力吸収 6全魔法完全耐性 7全状態異常無効 8完全防御壁 9完全防御無効 10全状態異常完全無効 10魔力吸収………………あれから何年たったのかわからないけど、どうやらあの神様の言うとおり俺は異世界に来てしまったようだ。それにしても「魔力吸収」ってなんだ!?魔力を吸収するなんて聞いたことがないぞ!

「おい!なんで俺をこんなところに送ったんだ!!しかも魔法使えないんじゃねーかよ!」

するとさっきまで脳内で喋っていた声の主であろう奴が目の前に現れた

「君を呼んだのは僕じゃなく君の前にある魔法陣だ。君は魔法が使えずこの世界の人間じゃない、それなのになぜここに呼ばれたかというと……。」

え?こいつ話せるの?でもなんか聞き覚えのある声で、どこか憎たらしい感じの声だ。

「それは僕の願いを聞くためにここへ送られたからだ。君の持つその「力」は素晴らしい。それを見込んで是非、私の「願い」を叶えてほしいのだ。まずはその魔法陣の説明をしておこうかな。その魔法陣は言わば「扉」のようなものだ。魔法を使って転移する際に必要になってくる「道」を作る。その道を通ればいつでも「向こうの世界」に行き来が出来るという代物なのだ。そしてここからが大事なことなので良く聞いて欲しいのだが、実は私は「魔王軍」の四天王の一人なのだ。まぁ今は部下達もいるので一人ではないが、それでも実質「四天王最強」は私である。それでその魔王が君にお願いがあるとのことだった。内容は……『とある国の国王と王妃を殺してきて欲しい。そうすれば我が国は貴様らの国の支配下に下ろう。もし断るようなら、我が最強の剣が貴様を殺す。だが我に服従してもらえるのであれば、この世界の半分を与える』との事だった。つまり、私が今からやることはこの魔法陣の使い方を説明し、その後魔法を発動し「王」を殺し、魔法を解除した後魔法陣を消滅させればいい。……そうだ、ついでに君も連れて行ってあげよう。これから行く場所も見てみたいだろうし、一緒に行けばいい。……おっと失礼した。私としたことがつい取り乱してしまったようだ。それでは魔法発動をしようか。……んっ、……これで完了だ。この扉を開くことが出来ればそこは既に異世界への入口になっている。ちなみにその世界で死ぬと強制的にこちらに戻って来ることになるので注意して欲しい。それと、あちらで死んだ場合でもすぐに元いた世界に戻れますので安心してくれて構わない。……では準備は整った。後は自分で決めてくれ。」…………

「ふざ……けるな!!! お前は何を言っているんだ!人殺しだと!?俺にそんな事させる気なのか!?ふざけるのもいい加減にしろよ!!」

「はははははは、やはりそう来るよね。いやまあそうなるのは想定内だけど。うん、仕方ない。じゃあこういうのはどうかな?君はこの世界が嫌になったのだろう? 違うかい?」

こいつはいきなりなんの話をしているんだ。もしかしたらこいつの狙いはこれかもしれない。「人を殺せ」と言うのも何か裏の目的があり、この話が上手くいけばこの世界を乗っ取るつもりなのか!?ならこの話を断るしかないのか?くそったれ!せっかく異界に来たっていうのにまた元の場所に戻されてしまうじゃないか!!!……ならいっそのことこの提案に乗るべきか……いやでもまだ確証がない以上簡単に答えるわけにはいかない!もう少し情報を聞き出すべきだな……

「……わかった、なら質問を変える。……あんたは魔王軍と敵対するような組織にいる人物ということか?」……少しカマをかけてみただけなのだが反応を見る限り間違いないようですね……。なら尚更このまま行くのはまずいな……。……とりあえず話に乗ってみるか。

「そうだ、よくわかっているね。」

「……ならば取引をしたいのだが……」

「……どういうことだ?」

「簡単な話です。あなたの目的は魔王の討伐、または打倒でしょう。……それさえ達成してくれるのなら、俺はあなたの配下になっても良い。もちろん従うかどうかはそれから決めるが、それでいかがでしょうか?もちろん俺の命を守って貰えるならそれ以上のことは要求しませんし、必ず従います。ただし、もしも約束を破ってしまった時は容赦なく貴方を殺すのでよろしく。」

俺はわざと高圧的な言い方をする。相手がどう出るか様子をみる必要があるからね。……正直な所はめちゃ怖いし、逃げ出したいくらいだよ。

「……面白いことを言う子だね。まあいいだろう。君の力を測りたいのもある。それに私の配下になると、私と同等か、場合によっては上の存在になれるんだよ。それを知って君は本当にいいのかね?」……確かに俺には「力」はある、あるけどそれだけなんだ。今の俺がいくら強かろうとも結局はただのガキにすぎない。だからこそ大人しく言う事を聞いていた方がいいのかもしれない。

「構わん。俺の実力を見てくれ、その結果、判断するのはあんたの役目だ。」

「ははははは、気に入った。そこまで自分の力に自信を持っているとは恐れ入ったよ。よし、では交渉成立ということで、これからは共に行こうではないか。では早速、異世界に行くとしましょうか。」

そう言うと、またまた突然視界が真っ暗になり、意識が途切れていった。

目が覚めるとそこは森の中でした……ここは……森……なのか? さっきまで神様の部屋にいて……あれ…… おかしい、頭がうまく回らない。

さっきまで誰かと喋っていて、そして、

「……ん、うぅ…… どこ……だ?ここ……。

俺は……何をしていた……け? だめだ……思い出せない。」

「ようやくお目覚めですか。おはようございます。気分は如何ですか?身体に異常はありませんか?」……急に声をかけられてびっくりしたが、俺は声の主を見て、もっと驚いた

「か、可愛い!!お人形さん!?」

「あ、ありがとうごさいます////」

なんで!?めっちゃ可愛い!!こんな子現実にいたのか!?しかも喋れるし、え?俺こんな子とさっきまで話してたの?……やべぇー、テンション上がるー。しかもこの女の子すごい美人じゃん、金髪だし、瞳は綺麗な青だ。なんか女神って感じがする。

「私は【アリス・アルブ・ビアンコ】といいます。貴女の名前は?宜しければ教えてくださいませ。

私は貴女の眷属になる予定です。今後ともよろしくお願いします。」

え?この子が俺の眷属?なんか色々突っ込みどころがあるんだけど、まず、名前が長い!!ってか、さっきから俺がずっと話しかけているのに全く返事が無いぞ?大丈夫かな?この人……。「あの……すみません。先程から私をジッと見つめていらっしゃるようでしたけど、何か顔についておりましたか?」……そういえばこの人はなんて呼べばいいんだろ? 一応名前は覚えていたけど、本名で呼ぶとまずいことになるかもしれんし……。「申し訳ありません、名前を覚えていなかったものですから。あの、大変失礼ながら自己紹介をして頂いてもよろしいでしょうか?」

「えっと、はい、私は、リリスと言いますわ。それで貴方のお名前をお伺いしたく。」……んーやっぱりこの人敬語使うの苦手っぽいな。ちょっと慣れてない感が否めない。「あっはい!わかりました。俺の名は……」……こうして俺と彼女は出会いを果たしたのであった。

俺の目の前には小さな少女がちょこんと座っていた。……この子を一言で表すと…… 天使? うん、そうとしか表現出来ない。だって超かわいいんだもん。しかもこの子「吸血鬼」って言うらしい。種族名は違うらしいが、同じ「ヴァンパイア」らしい。「ヴァンピーア」ではなく、「ヴァンピース」と読むらしい。この世界ではかなり珍しいようで、人間の間ではあまり見かけないし、ましてや「人間以外の亜人種」も滅多にいないらしい。そもそも人間は「魔力」という力が体内に流れているのが一般的だが、その殆どが微弱なものなのだとか。だがその僅かな魔道が扱える人間の中でも極小数の才能の持ち主がたまに現れるのだそうだ。そういった人達が「魔術師」と呼ばれているらしいのだが、さらにそのごく僅かな人間が「魔法」が使えるようになるのだとか。「魔法」というのは基本的に呪文を唱えれば誰でも魔法が発動出来るのだが、稀に「固有魔法」と呼ばれるものが現れるとかなり重宝されるらしく、それ故に魔法が使えないと分かると、すぐに奴隷商人に売りに出されたりするみたいだ。……うん。この子すごく大変な人生歩んで来たんだろうなぁ……。でもそんな事全然表情に出していない。強い精神を持ってるんだなぁ……。

ちなみに魔法にもレベルがあるらしく、低級魔法の初歩的なものなら大抵が5~6歳で使えるようにはなるんだそうだ。ただ中級魔法以上は相当訓練しないとなり得ないみたい。……そう考えてみると俺はこの世界の基準から見ると相当なチート野郎だったようだなぁ……。まあ俺が転生したのってこの世界とは全く関係ない別次元の世界だからね。でもこの世界でもそれなりに戦えるようになっておかないと後々不便になりそうだ。とりあえずこの世界の事を色々と知っておいた方が良い気がするので色々と聞いてみることにするか。「……あ、すみません。話を続けて下さい。」……とりあえず話を聞こう、そうしよう。

俺は「リリス」と名乗る女の子に「俺の名前」を教えてあげたんだ。「……はい。ではもう一度言いますわよ? 私は「アリス・アルブ・ビアンコ」でございます。今後ともよろしくお願いいたしますね?ふふっ♪」…… かっ かわぇぇ〜!……じゃなくてっ!いかんいかん!危うく理性を失うところだった。落ち着け俺。クールになれ。……にしても「リリス」ちゃんの話し方って結構独特だなぁ……うん。

まあいいけどね!それより今は彼女の事を聞くべきだな。「あのー……つかぬことをお聞きしたいんですが……」「なっ、なんでしょうか?もしかして私の事お嫌いになられてしまったのですか?……やはりこんな幼い見た目の者は駄目なのでしょうか?」「いやいや!そんなんじゃないですよ!寧ろ逆と言うか!可愛くて最高なんだけど、少し質問させて欲しいと言うか……。」「本当ですか!良かった……。質問と言うのは一体どのようなものなのでしょうか?」「その……

「あなたはいったいなんで俺の眷属になってくれたの?」っていう質問なんですよね。正直俺まだあなたの事をよく知らないし、正直俺自身どうして良いかよくわからん状態でね、とりあえず色々聞いてみることにしようと思って。それにあなたの事も良く知りたいしさ。……嫌だったら答えなくても良いからね。」……するとリリスちゃんが笑顔で「私は……あなたの……眷属に、なったわけではありません…… あなた様と、契約を致しました。

あなた様に救われた命です、私は……もう死ぬ運命にありました、このまま何も成せずに死んでしまうと、そう思いました……。けれど私は、死にたくないと強く願いました。そう願った結果、奇跡が起き、今ここに私は生きているのであります……。そして、私を救い出して下さり、こうして生きたいと思わせてくれたあなたに恩返しをしたい、と心からそう思ったのであります。」「そ、そうなのね…… あ、ありがどうぅ……。」俺は思わず泣きそうになったけど必死に耐えた。……あーもう可愛いなこの子は。こんな可愛い子俺の物にしちゃっても、バチ当たらないよね?ってことで、早速俺のものになろ?って誘ってみた。「あ、あ、ああ……あなたはいきなり何を言っているのですか?えっとえっと、えーっと、そうです!!まずは自己紹介をし合いませんか!?お互いに名前を知っていた方が何かと便利ですし、私はあなたに名乗らせておいて自分は黙っているのは不誠実だと考えております!」……なんかすごい慌て始めたな。うん、すっごい可愛い、うん。

「わかったよ、確かにそれもそうだしね。俺の名前は…… 俺の名前は……なんだ? 俺の名前は何だ?……ダメだ、記憶が無い。

自分の事が思い出せない……。……くっ、頭の中で色々考えているのにうまくいかない。……俺は…… 俺は、 誰だ? わからない、自分が誰かもわからない。

自分の名前も覚えていない。

ただ、俺は「神」と会話していた。それだけはハッキリしている。だけどそれ以外に思い出せる事は殆ど無くて……。

「ねぇ、俺は誰なのか教えてくれないか?」俺は恐る恐る彼女にそう尋ねてみる事にした。

「……それは難しいお話でございますわ……。」

「……えっと……なんで?」

「私が知っている「この世」の事について教えてしまうとお話が長くなるからでございますわ。……私にだって分からないことの一つや二つありますわ。」……えぇ……なんだよぉ……。俺がちょっと不貞腐れていると、リリスが微笑んで話しかけて来た。「申し訳ありませんわ。でも私は本当に貴方に感謝をしているのでございます。こうしてまた生を受けてこうして生きることが出来るなんて夢にも思っておりませんでしたの。ですから貴方には本当に感謝しております。」……うむ。やっぱりこの子めっちゃ優しい子じゃん。うんうん。

さすが俺の「天使」だよな。よし、決めた。俺はこの子に絶対惚れさせてやる。「あ、あの……急に立ち上がってどうなさいましたの? 大丈夫?どこか体調でも悪くされたのでしょうか?」

「うん大丈夫、元気になったから。……ありがとうね?」「……っ///」俺は照れたリリスを横目に、この世界で生きていく決意を固めた。俺は必ず彼女を守ってあげる。この子の「未来」を守れるように…… 俺はリリスと一緒に町へやって来たんだ。ここは俺が住んでいた国とは違い、とても発展していて賑やかな町になっているようだ。……ただ、人混みはあんまり好きじゃないんだが……。そんな事よりもこの世界で必要な物を買うことにしたんだ。

まずは武器や防具など、戦う為に必要な物を揃えることに。まずは武器を買いに行こうと思ったんだが……どこに行けば買えるんだろう。まぁその辺にいる人に聞きゃわかるか。俺の予想は見事当たり、店の場所はすぐに分かった。「へい、いらっしゃい!兄ちゃん見ねえ顔だなぁ、この町初めてかい? ならサービスしといてやっかんな! 今日はこの剣はどうだい?……うん、いい剣じゃねーか! 銀貨1枚って所だな! はい、毎度!」俺はそこで金貨2枚を渡すとその店員はとても驚いた様子を見せた。「ちょいと待ってくんなせぇよ…… まさか旦那は金を持ってるのかぃ?ここいらの連中ってのはほとんど冒険者崩れとかそこら辺がほとんどだから金を持たねえんだが……。もしかしてあんちゃん貴族かなんかなりなさったか?」「んー?俺は別に貴族の坊っちゃんではないと思うんだが……とりあえずその辺は気にしないでくれよ。俺はこのお金が必要なだけであって、別に金持ちになりたいって願望も無いしさ。それよりも早くその剣見せてくれよ。」そう言うと俺達はその店の試し切りができる場所に移動する事になった。……そしてその店で売っていた剣を見たんだが……これがまた素晴らしい代物で。

俺はその剣を見て一瞬で気に入ってしまったんだ。うん。一目見て惚れてしまったと言っても良いかもしれないな……。俺の感性が訴えかけてきたと言うか……。

「気に入ったみたいだな!こいつはなぁ俺の親父が作った逸品でな、名前は「ミスリル」って名前の剣なんだけどな、なかなか珍しいもんだろう?これを作った職人が死んでからは誰もこの剣を扱える人間がいなくて困ってたんだけどな。まあでもこんな所で売れるとはな!嬉しいぜ。この剣は普通は売れねぇはずなのに。……なあ? どうしてか知りたいか?この「ミスリル」を扱える程の実力を持った奴は大抵この辺りにいないからさ。だからこの剣は「呪われた宝具」扱いにされちまってるんだ。まあでも呪いも祝福も似た様なもんだろ?だからお前さんラッキーだったな!」そう言われて俺は思わず笑ってしまっていたんだ。「ははっ、なるほどね!そりゃそうかもね! それにしても凄い掘り出し物のようだ。俺が貰っちまっても問題無いかな?その値段だと俺にとって適正金額な気がするんだが。」そう聞くと男は笑いながらこう答えた。「……はっ、面白いな!お前さん!……ああ良いさ!元々このミスリルも俺達みたいな人間に使って欲しかったらしいからな!ほれ、持って行きな。この調子じゃまだまだ売れそうだなぁ!また来いよ!……あ、そうだ。こいつをやるか。」男が手渡してきたものは腕輪のようなものだったが、俺にとってはすごく魅力的な物に見えた。俺はそれを迷わず受けとり左腕に装着したんだ。……そうして俺の装備が揃ったわけなんだが……うん……なんというか、俺の格好、浮いちゃってるよね。俺、結構普通の見た目なんだよね……。まあしょうがないよね、そういう事もあるよね!……はい!切り替えよう!切り替えるんだよぉ!! そんな事を考えつつ俺の買い物は終了したわけだが、とりあえず腹が減っていたこともあり、飯を食べることに。リリスは相変わらず食べる量が多く、幸せそうに食べていたが……うん……かわいいな。そう思いつつ俺はリリスを見ながら食事を進めたんだ。

さて、とりあえずは準備が完了したわけなんだが……これから何しようかね?俺がそんなことを考えて歩いていると突然悲鳴が聞こえて来た。「きゃあああっ!」「ひったくりよっ!」「誰かっ助けて!!」「おいっ!あいつ捕まえろよ!」

なんか色々大変な事になってたっぽいね……。そんな感じで俺も何かしなくてはいけないのだろうか……と思っていたのだが、俺の目の前にいた女性に向かって今まさに男が鞄を奪おうとしているのが見えた。なので俺もすぐに飛び出し男を取り押さえる事にした。……ふぅ……なんとか間に合ったみたいだね。そう思って後ろを振り向くと先程の女性がいたので声をかけてみた。「大丈夫だったかい?」女性は怯えた様子でコクコクと首を動かしていた。どうやら無事なようだ。俺はほっと息をつくと今度は男の方に目をやった。……こいつも俺と同じ異世界転生者の可能性があるな……。ただ、この世界に順応しきれていないようでこの世界の住民となんら変わりないように見えてしまうが。まぁとりあえずはこいつに話を聞かないと何も進まないしな。とりあえず気絶させて連れ帰ることにするか……。

「おい、お前……」「な、なんだてめぇっ!?」……あれ?俺なんかまずいことしちゃいましたかね……。いやまあ確かにいきなり取り押えるのも悪いしね……。……うーん、でもどうすっかな……。とりあえず、話を聞いてみる事にするか。「……ちょっと待てよ。少し俺の話聞いてみないか?」「……なんでだよ?」……やっぱ怪しいな……。まあいいか、話くらいは付き合ってくれるだろ。「実はさっき、この子がお前から荷物を奪われそうになったのを見てね、咄嵯に飛び出したんだが……。」俺は嘘を交えながら事情を説明すると……。

「そ、そうか……。その……疑ったりしねぇのか?」

「……うん?まあ一応理由があったからな。それにさすがの俺でもあんたが俺に対して悪意を持っているってのは分かったしな。」「……なんだよ、じゃあ俺の事分かってたんじゃねぇか。まぁいいけどさ……。それで?結局は俺の事を捕まえに来たのかよ。まぁそうすりゃあんたは報酬がもらえるかもしれねぇしな。でも俺の邪魔をするなら容赦はできねぇぜ?俺だってまだ捕まる訳には行かねえんでな。」

なんだよコイツ、俺の事知ってたって事はやましい事をやってるってことだぞ。それなのにこの開き直り方ってどうなのよ。まぁいいか、面倒臭いしサクッと終わらせて帰りますか。

俺はリリスのいる位置を確認した。……おっけー、この辺にはもう人はいなさそうだな。「おい、リリス……。ちょっとあの子を安全な所まで連れて行ってあげてくれるか?俺はその間ちょっとこのバカを拘束しておくからさ」俺の言葉を聞いたリリスは一瞬驚いた表情をしていたが「承知いたしましたわ。では参りましょうか?」「……えっ、ちょっ! て、テメェ何言ってんだ!……クソッ! 舐めた真似しやがって! このっ……がはっ!」俺は何もせずに立ち止まっていた。リリスのやつ……なかなかやりやがる。まぁこれで終わるんだが。「ぐっ、はぁ、はぁ……。な、なんなんだよ……。俺の魔法が……全く効いてねえだと……。はぁ、はぁ……ふざけんな!……っざけんじゃねえ! 死ねやぁあ!!!」俺は男が俺に向けて放つ炎や風の魔弾を避けたり、拳で破壊したりしながらその様子を見ていた。……ははっ、やっぱり全然ダメじゃん。なんというか……雑魚だな……。

俺はこの男が放ってきた魔法の威力を肌で感じ、大体の力を把握することが出来た。……この感じからしておそらくレベル10にも満たないような雑魚中の雑魚のはずだ。俺はその男の顎を下から殴り上げることで強制的に口を閉じさせ、そのまま意識を奪った。……よし、とりあえずはこの場を離れないと。俺達が急いでその場を離れたあと直ぐに爆発が起こった。そして俺は思ったんだ。あ〜あ……。やっちゃったかな。俺達……。

俺はとりあえずその女をどこか落ち着けるところへ案内する事に。まあ……その途中で自己紹介は終わったんだけどね。「改めて私の名前はリリア・リリエルです。貴方様の名前を教えてもらってもよろしいでしょうか?」リリエルと名乗った女性は礼儀正しくそう言うと、こちらの様子を伺っていた。……俺の名前を?そういえばなんなんだ?この子は一体……。いや待て、こういう時は素直に名乗っておくべきだな!……そうだ、俺の名を名乗ってしまえば俺が転生者であることもわかるだろうからな。

「ああ、名前か……。

俺の名は……シンヤだ!」

俺は自分の本当の名前を告げたのだが……。

いやぁーびっくりしちゃうよね!いきなり女の子に本名を明かすとかありえないよね!普通は!でも俺が言ったのはあくまで俺の名前であって……俺ではないのだ!俺は今、俺として生きているわけであって、別に「俺」に拘る必要は無いんじゃないかと思ったのである!まあ「僕」が言えたことじゃないかもね!でもさ!俺って結構イケメンだからイケる気がするんだよねぇ!(※ あくまで自称)……はい!現実逃避終わり!!い、いや、ほら、なんかあるかもよ?うん!そういうのが趣味な人がこの世界の何処かにさ!うんうん!まあ、うん!……まあそういう訳だからよろしくお願いします!!……あぁあ!もうどうなっても知らん!俺はもう知らない!……さて気を取り直していこう!

「なるほど……私はリリエルといいまして、とある国のお姫様なんですが……私の事を知っている人がいるとは驚きました! それにしてもその服装、よく似合っていますよ。とてもカッコいいです」そう言って彼女は微笑んでくれた。……うんうん。いい子じゃないですか!こんな良い子が何故あんな所に居たのかわからないけれど……。まぁそんな事はどうでもいいよね!俺も君が誰なのかなんて気にしてないしね!……さぁ切り替えていきますか。とりあえずはここから離れる事が最優先だしな。そう思っていたんだが……そうは問屋が卸さないようで、どうやら誰かに付けられているみたいだった。

まあそれもそうだろうな。さっきの奴らが仲間を呼んだとしても不思議じゃない。さすがにさっさと終わらせようと思っていたんだが……。俺は立ち止まり辺りを確認する。すると俺が止まったのを見て同じように立ち止まる音が聞こえてきた。まあ俺達以外にも誰かが来ていてもおかしくはないか。

さて……とりあえず俺が取る行動は……逃げの一手しかないな!だってこの子足速いし、そもそも戦いたくないもん。俺は全速力で逃げ出した。後ろからは当然の様に追ってくる音と殺気……。俺はまだ死にたく無いんだが……仕方ない。さっきよりも少し早いタイミングで走り出し相手との距離が開いた時だった。突然上から火の玉が降り注いだ!「な、なんだ!?……これは……ファイアボルト!?」

俺は上を見上げているとそのファイアボルトがこちらへと向かってきているのが見えた。俺はそれをかわそうと横に飛びのいたがそれは罠であったようだ。ファイアボルとが地面に着弾した瞬間爆ぜるように炎が燃え上がり俺を呑み込んだ。「な、なんなんだよ!これ……」

なんとか炎を振り払い周りを見ると、そこにいたのは……全身が黒い装備で覆われていて顔は仮面で隠れていた為見ることは叶わなかったが、体格から見ておそらく男と思われる者がそこにはいた。「くくく……俺の魔法で死ぬとは情けない奴だな……」……ん?今こいつ何か言ったか?声の感じからおそらく男であろうそいつは笑っているのか身体が小刻みに震えており、俺に対して言葉を放ったようだったが……聞き間違いか何かだろうか?「ふふふ……だがこれで俺の邪魔をするものは誰もいない。後はあの女の始末だけだ……」俺はこの男の言動を聞いて理解できた。こいつもやはり異世界転生者で、目的はどうやら「リリス」という女性のようだ。しかもどうやら「殺す」とまで言い切っているらしい……。

俺は「リリス」という言葉に反応し、この男が先程の奴らとグルだということが確定したのである。……それにしたってさすがに「いきなり」殺しに掛かるのは良くないだろ……。俺はこの世界に詳しくないから分からないけど……。まあ……この世界ではそういう風習があるかもしれないからなんとも言えないんだけどさ。……それにしてもこの男は一体どうやってここに現れたんだ?俺が戦っていた時には姿が見えなかったはずなのに……。「おい、お前……。何者なんだ?なんの目的で俺達に近付いた?」

そう聞いた途端目の前にいた男が吹き飛ばされ、壁に激突し意識を失ったのか動かなくなった。そして俺の前には金髪の長い髪をポニーテールにして纏めてあり、その青い瞳が俺の顔を覗いていた。

そして俺が驚いている間にその少女は俺の横に来て耳元で言う「……大丈夫?怪我はしていない?……良かった。本当に……無事で……。……貴方が無茶なことをしているのを見たときは……もうダメだって思ってた……。でも生きててくれて……ほんとうによかった……。……さぁ……早くここから離れましょう。私達が一緒にいれば貴方に危害を加える者はここには現れないと思うし……。それとごめんなさい……。私が油断しなければ、もっとしっかりしていればこんな事にはならなかったかもしれない……。本当にごめんなさい……。」その表情には後悔の色が見て取れ、今にも泣いてしまいそうな勢いであったがそれでも必死に笑顔を作って俺の事を心配してくれるこの子の優しさに触れ、胸の奥が熱くなる感覚があった。……どうやら俺の事を心配してわざわざ助けに来てくれたようだ。「あの……君は……なんというか……。ありがとう。助かったよ」俺がそういうと彼女は頬を赤らめながら微笑んだ。

俺は彼女の手を取り急いでその場を離れようとするのだが……その時だった。俺の手を握っている方の腕から肩に掛けて激痛が走ったのだ。そのあまりの痛みに耐えきれず膝から崩れ落ちてしまった。「……っ、い、いったいなんなんだ……これ?」「……やっぱりね……。思った通り……。今の魔法を受けて平気な筈が無いものね……。でも貴方はやっぱり凄いわね……。普通は即死級の攻撃なんだけれど……。まさか耐えてしまうなんて……。貴方、本当に人間なの?」「えっと……。どういうことだ?」どうやら彼女が放った魔法はかなり強力らしく、普通の人であれば死んでいてもおかしくないようだ。しかし俺は何故か生きていた。この子の説明によれば、普通なら今の攻撃を受けると大抵は死んでしまうということらしいのだが……。どうも俺はそれを受け切ったようなのだ。俺自身も全く自覚はないんだが……。

まぁ、俺が生きているということはこの子は相当強いってことになるよな……。まぁ……さっき俺を救ってくれたときの動きからなんとなく察していたんだが……。そして俺は自分の手を見ていた。……そういえば、俺はさっきこの子が放ったファイアボールによって発生した炎に飲まれたんだったよな……。それでなんともなかったのか?「なぁ? 俺の体、変なところは無いよな? なんともないのか?」「貴方……。自分の状態を把握していないの? まったく……自分の体を良く見ないとだめでしょう? ちょっと待っててね。……よし! さぁ!私の目を見て……。私達の言葉を聞いて……!……さぁ目を覚ましてください!」その子は真剣な眼差しになり、両手で俺の頭をしっかりと固定してきた。……な、なんか恥ずかしいな。

俺達はそのままお互いの顔が近づく距離までゆっくりと顔を動かしていった。するとその子は、俺が何も変化しない事で、自分がかけた魔法が失敗したと悟ったのか、「うぅ……。私に出来る事はここまで……。後はもう祈ることしかできない……。どうか無事に成功しますように……!」と言いながら涙を堪えていた。俺はその様子をじっと見守り続ける事にする。この子には本当にお世話になっている。俺なんかを気にしてくれているし……。こんないい子が何故あんな危険な場所に居たのか……不思議だな。

そして……その時間はとても長く感じられた。そしてついに……俺と彼女の唇が合わさる……。そして俺の中に何かが流れ込んでくる感じがしたと思った次の瞬間……視界が光に包まれていった。

ーーーーーー

「お目覚めですか?」そう声をかけられたが、その声は聞き覚えのある声では無くなっていた。俺は慌てて声のした方に振り向く。

「あれ……?あなた誰ですか?もしかして神様?ってことは成功したんですね! やったー!俺って超運が良いのかもしれませんね!!」俺はそう言って喜んでみせる。だって、あの状態からこの世界に戻ってくる事ができたって言うことは……。俺はきっと特別な力を手にしている筈である。しかも女の子に守られて無事にこの場に戻ることができたのだ。これはもう最高についていると言わざるを得ない!だからテンションを上げて喜んでいた。

俺は「神」と名乗る人の姿をした存在を前に興奮気味で話しかけていた。俺はさっきまで死にかけていたはずだ。……いや違う!まだ死んだ訳じゃない!俺は「異世界転生」を果たし、新しい人生を手に入れることが出来た!これからなんだ!俺はこれからなんだ!こんな所で終わって堪るか!!そう思いつつ俺は神を名乗る人物に問いかけた。

すると「そう慌てるものではないよ。とりあえずは落ち着いた方がいいんじゃないかな?そんな調子じゃ話が先に進まないからさ。とりあえず自己紹介をしようか。僕は君のいた世界とは別次元に存在する「創造神界」と言うところからやってきたんだよ。君にお願いがあってね。少しの間だけで良いんだが……僕の頼みごとを聞いてくれないかな?まあ無理な願いなのは重々承知してはいるんだけどさ……」……は? なにこの展開……。マジでどうなってんだ?俺は確かにさっき死にかけていて……。それにしてもこの目の前にいる人は……。明らかに人間では無いよね……。だってさっきまでこんなのは想像していなかったからな。この世界の神はもっと人間の形をしているものだと思っていたし……。

俺は驚きつつも目の前の人(?)に質問を投げかけてみた。「な、何が目的なんだ?どうしてそこまでして俺を助けようとした?俺は……正直言ってこの世界で生きて行くには少し難しい。なんでそんなことが分かるのかと言えば……。俺がここに転生してくる時……『異世界転生の扉』と呼ばれる場所を通ってきたからなんだけどな。あそこから転生できるのは基本的に一度っきりなんだよ。つまり俺はもうあの世界には戻ることが出来ない。そして今から行く先はこの世の終わりと言われている魔境なんだ……。……そうだろ? あの門からはあの世の気配を感じたからな……。まぁ、だからこそこの世界を創っていると言われるあんたが出てくるのが不思議なんだ。まぁ……。それは今は置いておいて……。それで?結局なんの用件でこの世界に来た?というかこの世界は何て名前なんだ?」「この異世界の名前は……確か……アルクス・ディムニタシアだよ」俺が聞くとその人? はまあまぁ焦らないのと苦笑いしながら話してくれた。「そう……まぁ色々と疑問はあるだろうけど、とりあえずまずはこの世界に呼んだ理由について簡単に説明させてもらうとだね……。この世界では現在、魔王という者が現れてね……。そのせいか最近魔物が増えて大変な状況になっていてね……。それに加えて魔王がこの国を支配しようと画策し、様々な悪事を行ってきて民を苦しめようとしているんだ。そこで僕は「異世界からの救世主」を探しに異世界へと渡っているわけだ。ただ僕自身はその世界に干渉することができない。だから今回はその世界にたまたまいた人間に呼びかけてみたというわけさ。」俺はなんとなくその話を黙って聞いていた。そしてこの話の信憑性はどの程度あるのか……。そして何よりも俺自身にどんな力が備わったのかが気になって仕方が無かった。「えぇっと……それで?俺のステータスってどうなっているんでしょうか?」

そう言った途端「創造神様……?」という声と共に誰かが現れた。「あぁ……やっと出てきたか……。紹介するね?この娘は僕と同じ神の1人だよ。」「私は女神の「セレーナ」と申します。以後お見知りおき下さいませ……。さて早速なのですが……創造神様?そちらの方のお力は確認できましたか?」……へ?……ま、まさかこの人が……。そ、そんな筈はないよな……。

俺はその人の容姿を見たが、やはり俺の予想していた人とはかなり違っていた。そして俺は恐る恐る声を掛ける事にした。

俺がその人の前に行くといきなり頭を深く下げ、謝り出した。「この度……この世界の命運に関わるようなことを貴方にしてしまったようで大変ご迷惑をおかけしてしまい本当にごめんなさい……。この子はまだ経験が浅く……。それでついやってしまったようなのです……。本当に申し訳ございませんでした……。」と必死な様子で俺に頭を下げ続けているのだ。

俺はその人のあまりの変わりように戸惑うばかりだ。……なんなんだこの展開……。一体なんの冗談なんだ……。この人……俺を騙そうとでもしてんじゃないだろうな?と俺は思わず思ってしまう。

だが俺を救ってくれたのは間違いなく彼女であり、この子が悪い訳ではないのだ。

「あぁ……えっと……。俺は特に問題無いですから気にしなくて大丈夫ですよ……。その……俺は別に何も被害を受けていませんから……。だから頭を上げてくださいよ。……それとですね……。実は俺はこことは別の所から来たんですよ。」……い、言えない……。俺が別の所の世界から来ているなんて言ったら絶対に怒られると思う……。それに信じてもらえないかもしれないし……。どうすれば……。……えっと……こういうときは……あれだ……。嘘も方便……。よし! これなら何とか誤魔化せるかも!俺はそう思う事にした。

そして彼女はゆっくりと頭をこちらに向けると……。

そこには先ほどまでの悲壮な表情ではなく、驚いた顔をした彼女が居た。

ーーーーーー ーside 女神ー 私が「この方が召喚された人間?」と思いながら彼の元へ向かう。私達は2人で一緒にこの世界を救うため、彼を呼び出していたのである。彼が呼び出されてきた場所は、とあるダンジョンの奥深くにある隠し部屋であるのだ。そこに転移させる魔法陣を張り、そこに向かって呼びかけることで私達は彼をこの場に呼び込むことに成功した。

私達は彼が現れると同時に彼に対して最大限の感謝をするべく頭を下げることにしている。何故ならばこの「勇者」を呼び出す魔法というのはとてつもなく高度な技術が必要なものであって本来使うことすら難しいものだからだ。それに今回もかなりの時間を使って準備を行ったため、とても緊張していたのである。……しかし……。今回の儀式で召喚されたのは……。

見た目がどう見ても子供で……。この子の力だともしかしたら私達の力では対処しきれないかもしれません……。私は彼には内緒にしておこうと考えていたが……この子が私の代わりに「すみません……。失敗してしまいまして……。また改めて儀式を行おうと思います……。」と謝ったことでばれてしまうのであった。

〜〜 俺は「あ、あれ?ちょっと待った……。なんか思っていた反応とかなり違うんですが……。なんか凄く深刻そうなんですが……。」そう言いつつ彼女の様子を見る。

その顔には困惑の感情が表れていたのだった。そして彼女の方は、「そ、その……。わ、わたしが間違えてしまったみたいなんです。それであなたが呼ばれた場所とは別の場所に来てしまったみたいで……。す、すぐにもとの場所にお戻しいたしますので、少しお待ちください……。」と言って俺の方に近づきながら魔法を唱え始めた。……俺がそんなに重大な事を引き起こしたと思っているのかしら?……と俺は心の中で思ってみる。だって……ねぇ?……確かに別の世界の住人だけど……。俺はそう考える。すると彼女は呪文を唱える手を止めた。……え?ど、どうしたんだ?急に固まって……。俺も驚いて彼女を見ている。

すると「うぅ……どうしてですか!?なぜ元の場所への転送の魔法が使えないのですか……。おかしい……こんなことは今まで一度も……。いえ……。もしかしてこの子……。」とブツブツ呟きだし……。俺の顔を見て再び手を動かし始めたのだが……。今度は何故か身体強化魔法の詠唱をしている。「ちょっ!な、何をするつもりなんですか!」と俺が慌てて言うと……。

「え、えっと……な、なんと言いますか……。その……あなたが元いた場所に戻る為には、今の私では難しいと思ったので……少々荒業ではありますが……強制的に場所を繋げさせて頂くことにしたんです。……少し痛むかもしれませんが我慢してくださいね……。いきますよ……。【空間連結】」そう言うと彼女の両手から光が生まれ……。次の瞬間、強烈な衝撃とともに光が辺りを包み込み……。俺は意識を失ってしまったのであった。……………… 俺が目を覚ました時に最初に目に入ってきたのは、心配そうに覗き込んでくる綺麗な女の人の姿があった。

その人は俺が起きると安心した様子を見せてくれた。「よかった……。目が覚めたんだね。ここは君が倒れている間に私が借りてる屋敷の一室だよ……。一応私の上司に話は通してあるから大丈夫。君の事をちゃんと話して保護してもらえてるから……。あぁ、あと君はあの時の事故で結構傷ついているからね……。しばらくの間安静にしていないとダメだと思う。」そう言われて俺は自分の体を見てみると……。服の破れた後や擦り切れた跡などがあり、体のあちこちが怪我をしていたのだ。……マジかよ。これは流石に予想外だよ……。……でもまぁなんとか動けそうだな。俺は痛みはあるが動かせないことは無い程度だったため、そのままベットの上で横になったままでいる。そんな俺の様子を確認したその女性は安堵のため息をつくと話を続ける。「それで……さっきの話になるんだけど……。君を呼んだ理由とこの世界について教えてあげるね?とりあえずまずは名前を聞いても良いかな?」「俺の名前は『真野 和馬』です。」「そうか……カズナくんね……。よろしく。……私はね。実は女神なんだよ……。」「……え?い、今なんて言いました?女神様って聞こえましたが……。」……おい!冗談だよな!?い、いやまぁ……。うん……まぁそういう設定の可能性もあるのかも……。まぁいいか。「……まぁ今はその認識で良いよ……。」「……そう……なんですか。」……なんかもうツッコミが疲れてきたぞ……。とりあえず……本題に入ろうか……。俺は真剣な顔をして女神様に話しかける。「えっと……それで俺が呼び出された本当の理由は何でしょうか……。その……魔王を倒して世界を救ってくれとか……じゃないんですよね……。」……自分で言っていて情けなくなってくるが、それが現実だろ。仕方がないじゃないか。俺は自分がこの世界に呼ばれた意味を考えていたが……。

その考えは「半分正解で半分不正解だね……。」という声が聞こえたことで止められることになった。

俺はその言葉を聞き、女神様を見るとその人は真面目な表情になっていたのである。そして「これから大事な話をするよ?」と言われたので俺は身構えることにする。……なんだか嫌な予感がしてきたな……。俺も思わず顔が引きつっているのを感じるぜ……。そして俺に告げられたのは……。……とんでもない事実だった。この世界の成り立ちとこの世界の脅威について語られていたのだ。俺にとっては全く予想外の話で理解できない部分がいくつもあった。だがそんな事は関係ないと言わんばかりに説明が続けられる。「まぁ簡単に言っちゃえば私達の住む世界とこっちの世界の2つの世界で争いがあって、その結果私達の世界が負けちゃった訳なのよ。そのせいもあって向こうの世界からの侵略を受けて大変なことになっているんだよね……。今は結界を張ってどうにかなっているけど……。それもいつまで持つかどうか……。それにこのままじゃいけないって事で、この世界の女神が勇者を呼ぶことにしたらしいの。で、選ばれたのが君で……。私達女神の力の一部を与えて異世界の人間を召喚することができる魔法陣を使って君をここに呼び寄せた訳。」「な、なるほど……。」……な、なんか一気にいろいろ言われたので頭の中がパニックになっています……。なにこれ?なんなのこれ? そして俺が混乱している最中にも話は続く……。「それでここからが本題で重要なところなのだけれど……。」と前置きすると彼女は俺の方を真っ直ぐ見つめてくる……。……ゴクリッ。

そして「あなたはこの世界を救うべく召喚されたのだから……」と言いながら真剣な雰囲気を出すと、こう宣言したのである。「その力を持って魔王を倒しなさい!そうすれば元の世界に返してあげるわ。もちろん元の生活に戻れるようにするし……。」……あ、頭がパンクしそうになります。な、なにそれ!?いきなり言われても困るんですが……。

「そ、それだけ!?それだけの為に呼んだんですか!?俺はこの世界を救った後はどうしたら良いんですか?」「うーん……。私達はこの世界のことまでは管轄していないの。なのでそこは私達が何とかすることは出来ないの。ただ私達が管理している他の世界でも同じように危機が訪れそうな所があるのだけど、そちらの方に関しては勇者を召喚できるほど力は強くないみたいで……その問題を解決するには君に頑張ってもらうしかないわけ。

あ!あとね。私達も出来る限りの支援をしていくつもりよ?あなたにスキルを与えたのもその一貫で……少しでも役に立ってほしいと思ったからでもあるの。……お願いします!どうか私たちに力を貸してくれませんか!」と頭を下げたのだ。……え?え?マジ?俺……どうしよう……。「ちょ、ちょっと落ち着いてください!」俺は慌ててそう言うと、彼女は顔を上げて少し落ち着きを取り戻していた。

そして俺が困惑していると、「あぁごめん……。急すぎたわね……。

でも……。本当に余裕が無いの……。……この世界ではね……。1年ごとに必ず大規模な戦争が起こっちゃうの……。それは何百年も前から変わらないの……。

しかも毎回違う相手と戦ってきたから……。その度に私達も対抗手段を模索していたの……。でもね……どうしても勝てなかった。でも今回の相手があまりにも強大で……今までの比にならないぐらい危険な敵になるだろうっていうことは分かってるんだ……。今までは魔王を倒した後すぐに私達が管理する世界に戻って貰っていたのだけど……。今回だけは……。」と言う。……その表情はとても悲しげで……。俺はそんな彼女の姿を見てしまうと無下に断ることが出来なかった。……それに俺は昔から正義感の強い奴だと思っていたし、誰かが困っていて助けを求めているのならば手を伸ばさずにはいられない。そう思っていた。そして……。俺には夢があった。それは、小さい頃からゲームが好きで色々な物語に出てくる勇者に自分もなりたいと思うようになっていったからだ。俺は昔、その憧れの存在になった自分をイメージしていたが、まさか本当にこんな事が起こる日が来るとは思っていなかった……。

俺の答えは決まっていたのだった。「やります。俺があなたに力を与えられているという事なら……それを活かす為の最善の行動をとるだけですよ。俺に任せてください。……絶対この世界を救います!」俺はそう言い放つ。すると彼女は俺の言葉を聞くと涙目で笑顔を浮かべ、「ありがとう……。君が来てくれたことが嬉しい……。これで希望が繋がった……。本当に……ありがとう……。」そう言うと彼女は泣きながら抱き着いた。俺は突然の出来事で驚くと同時にドキッとしてしまったが……そのままの状態でいることしか出来なかった。するとしばらくして彼女は「ご、ごめんね!私ったら急に……。」と言いつつ離れて俺を見つめた。

すると「……そうだ!君にはまだ話していなかったね。」と真剣な顔をすると「……君に私達が与えられる最後の力を与える。【創造】と【魔道具作製】【鍛冶師】のユニークスキルを授けようと思っているんだけど……何か希望はあるかな?なんでも作ることが出来る能力だからね……。何でもいいよ?ただし……限度は有るからあまり強力なものは無理だよ。あと武器もね……。それと君に使ってもらう装備を作るのに必要な素材も用意してもらうよ?……あぁ……あとそれから……。」

「ちょ、ちょっと待ってください!?」と俺が言うと「あ、あのね……。言い忘れていたことがあって……。えっと……これは私個人の考えなんだけど……【錬金術】の【技術伝授】って技能を持っている人は……君以外に見たことがないの。」と不思議そうに言った。

俺がその事を気にしないと言ったら嘘になるが……。まぁ……仕方がない。「そうですか……。分かりました。それで……。どんなものが良いですか?」「そうねぇ……。」と考えるように口に指を当てるとしばらく考える素振りを見せると口を開いた。「そういえば君は……この世界を旅することになっているからね……。うん……。やっぱりこういうのが良さそうね。」と言って彼女が渡してくれたものは、小さな剣のような物で鞘に入ったままで刃は付いていないが、とても美しい作りをしたものであった。……これがなんなんだろ?と考えていると、女神様は続けて「これはね。神が作ったと言われている剣で……。名前は……『レーベンライフェン』。……私の世界にある特別な土地でしか育たない植物で作られた特別製の金属を使った物でね……。その刀身には特殊な加工を施しているんだけど……。」と言うと俺は気になって質問をする。「そ、その……。『特別な加工』というのは一体……?」「あぁそれは……。その剣の刀身に使われている特殊合金なんだけど……。それは魔力を吸収する性質があるんだよね。それに普通の武器じゃ切れないんだけど……、魔力を注ぐと強化されるのよ。……で、この剣を使う人の実力に応じて形状が変化するのよ……。そして使いこなすことが出来れば……。まぁかなり強くなるよ……。」「な、なるほど……。なんかすごいですね。」と呟くと「あぁそうそう……。これも渡しとくから。一応君の固有スキルが効きやすいようになっているからね。

えっと……効果は、【状態異常耐性(小)】ってところだね。この指輪は付けておけば毒、麻痺などへの耐性がついていてさらに身体能力を上げる効果もあるから便利だよって……これくらいかしらね……。」と最後に付け足した。……えぇ……。なんなのこれ……。「わ、わかりました。あ、ありがたく頂戴します。……それでその……。俺はこれからどうすれば良いのでしょうか?」「うん……。とりあえずは……。冒険者として活動してもらおうと思うのだけど……。」と言われてしまった。そしてその言葉を聞いた瞬間に俺が思ったのは……。俺、戦闘なんてしたことないぞ?大丈夫なのか?という不安だけだった……。だが俺はここで疑問に感じたことがあったのでそれについて聞いてみることにした。それは「俺は元の世界に戻った時に……。元の世界に戻ることは出来るんですか?俺はまたここに戻ってこなければならないということなんですよね?その辺りがどうなっているのかが分からなくて……。」というものだった。俺の問いかけに対して彼女は申し訳なさそうな表情をした後、「……実は……まだ私達にも分からないんだ。君にこちらに呼んでから1週間ほどは猶予があると思うけど……その間に君には頑張ってもらって魔王を倒すことを優先してもらわないといけなくなっちゃったの……。だからもし戻れなかった場合のことを覚悟しといてほしいの……。」と言いにくそうにしている。

すると俺の中で、元の世界に帰れるかもしれないという希望が完全に消え去ったような気がしていた……。俺はこの時、目の前の女神様を恨むどころか自分の不甲斐なさを恥じたのであった。俺に力が足りないから帰れなくなってしまったのではないか?そう考えていたのだ。そして、その時の俺は悔しくて、悲しくて……何も考えられずにただ涙を流して立ち尽くしていることしかできなかった。

すると「……あぁ泣かないで!本当に……本当にすまない……。私がもっと力になれたら良かったのだけれど……。ごめんなさい……。」と涙ながらに言われてしまい……俺は自分が泣いていることに気づいたのだった。俺は彼女に心配をかけたことを申し訳ないと気持ちになりながらも、泣くなと言われて泣き止まないという子供のように、しばらくの間その場で声を出して涙を流す事しかできずにいた。……しかし、そこで俺の肩に温かいものが触れたことに気づくと……そこには先程までの悲しい雰囲気とはうってかわり、優しい笑みを浮かべた女神の姿があったのだった。そのことに驚きながらも見つめていると、女神の方から「君に渡すはずだったアイテムを一緒に持っていて欲しいの。お願い……。私はもうこれ以上……この世界の為に力を使うことは許されない……。だけどせめてあなたが無事であることを祈りたいの……。それに……あなたには私達の願いを託させてもらったから……。私達はあなたを信じているからね……。」と言われたのだった。

そして俺は渡されたアイテムを見て驚愕することになるのだが……、それは今は置いておくとしよう。なぜなら今俺が置かれている状況を考えると……俺が次に取るべき行動は決まっていたからだ。

俺がこの世界に呼ばれた意味、そして、この世界を救う使命……。そして何より、元の世界での夢……。俺はそれらを成し遂げる為にまずはこの世界のことを知る必要があった。だから俺は決意を新たにし「はい!必ず魔王を倒してこの世界を救って見せます!」と宣言したのである。すると女神様も微笑を浮かべて俺のことを見るのだったが……その瞳はまるで息子の成長を見届ける母親のような眼差しをしているようで俺は少し恥ずかしかった。

俺の言葉を聞くと、安心した様子で女神様は俺の頭を撫でた後に抱きしめると、しばらくして「……私達がここまで君に干渉できるということは、私達も君の事を本気で支援しているんだよ?それに君はまだ気づいていないかもしれないけど……君はとても素晴らしい素質を持っている……。その才能に期待させてね……。」と言うので俺は驚いた。俺が驚いているのに気づくと、「ふふっ……。私ね、君の魂が気に入ったの。だって……こんなに澄んだ心の持ち主だなんて……。私も初めて見たのよ?あぁ……早く成長した姿がみたい……。あぁ……。あなたが成人になるのは一体いつになるのでしょうね……。それまでこの姿の私で我慢してくださいね……。でもね……あなたが成人するときにはきっと凄い力を身に付けてるんじゃないかなぁ……って思ってるのよ。私とっても楽しみにしてるの。」

俺はそう言って抱きついてきた彼女の柔らかい身体を感じながら照れていた。俺がこの世界の事や、女神の事について詳しく教えてくれると約束してくれたので、早速話を聞き始めた。……そうすると俺の中にこの世界の歴史のようなものが流れ込んできた。そして俺が知る由もない事実が次々と明かされていく中で俺は驚く事しか出来なかった。……正直……俺みたいな奴が本当にそんな事が出来るのか?と何度も考えた。だけどやるしかない……。やらないという選択肢はなかった。俺はその歴史を聞くことで今まで抱いていた気持ちが強くなった。

俺はこの世界に来てすぐに死ぬことになるところだったこと、その直前に助けてくれた人がいたこと……。さらに、俺は元々異世界に召喚された人間であることを聞かされたのだった。

俺はその後、しばらく話をした後「じゃあ……そろそろお別れだね……。」と悲しげに言われたので、思わず引き止めようとしたが、「君には……私達の代わりにこの世界を救って欲しい……。」と真剣な目で訴えかけられてしまい何も言えなくなったのだった。……そして、彼女が言うにはこの世界に来た人間は俺以外には存在しないらしい。つまりは……俺はこの世界でも異例中の異例だということが分かったのであった。……そして俺はあることを思い出して「あの……ちょっと良いですか?」「ん……どうしたのかな?」と聞いてきたのを無視して俺は【技能創造】を使ってスキルを作ったのだった。

スキルは【創造魔法】と【魔道具作製】を融合して新たに生み出したスキルで【スキル統合】というものにした。

・【錬金術】+【技術伝授】=スキル【錬金錬金術師(アルケミーウィザード)】

これは簡単に説明すると錬金術を扱える能力だ。しかも普通の錬金術ではなく、神から与えられた力で俺自身が生み出せる特殊な素材を使えば通常の錬金術を超えるような性能を持った物を作り出すことが出来る。そしてその力を使うことができるのだ。また普通の武器では破壊できない物を作りだすことができるという優れものなのだ。

そのスキルで作れるものの中で俺が興味を引いたのは、『魔導具』というものだ。その能力は、魔力を込めれば発動するという特殊なもので、使用者のステータスに関係なく一定の効果を発揮するという優れたものであった。俺はそれに興味を持ったのだが、どう考えてもその効果が普通ではないことは明白だったので、その効果を俺自身で試すことにしたのだった。

このスキルを使う上で俺に足りていなかった物は経験と実力でその2つを補うように訓練していくつもりだったのだが、その時に思い付いたことがあった。それは『鍛冶』をやってみようと考えたのだった。その前にこの『神剣レーベンライフェン』がどれほどの力があるのかを調べる必要があると、女神様は言ったので、それを確かめてみることになった。

『レーベンライフェン』が俺が手にした途端、刀身に白い文字が浮かび上がっていたのが見えた。俺が何だろうと不思議に思っていると……俺が触れた瞬間にそれが形を変え、俺の知っている武器へと変化したのである。……それは紛れもなく……俺が憧れた伝説の武器の1つで、誰もがその威力を知る有名なものだった。

それは……ゲームの中での話なんだけど……その武器の名前は聖槍ゲイボルグ……。俺がプレイしたことのあるFPSゲームにも登場した伝説の聖遺物級と呼ばれる装備の内の1つである……。

その効果は凄まじく、敵の急所を突けば一撃で葬ることが出来る。さらには特殊効果として相手の動きを止めたり、呪いのダメージを与えたりなど、様々な効果を持っていたのだ。また、それを持つ者が危機に陥ると持ち主の危機を救う為に自ら現れて身代わりになるという逸話も有名で、そのせいか多くのプレイヤーに人気があった伝説級の武器だった。……まぁ俺が知ってる範囲の知識だけなんだろうけどね……。

ただ実際にそれを見た時には驚きしかなかった。俺の視界に入るのはその輝く銀色に煌めく美しい柄だけで、そこに穂先はないのだから……。だが、次の瞬間、その銀が光ったと思ったら、一瞬にして光の粒子となって俺の左手に集まり、そこから光が溢れ出したのだった。……それは俺がよく知る光景だった。そして俺は、目の前にその光が集まって行くのを見ながら……何故か自分のことじゃないはずなのにドキドキしていたのであった。……するとそこには、1本の神々しいまでに眩く光る見事な槍が現れたのだった。俺は感動に打ち震えてその美しさに魅せられてしまっていた……。

俺はこの時……自分がこの世界に本当に来たんだということを実感した。俺はこの世界に来るまでこの世界に憧れて……その世界で暮らしたいとさえ思ったのだ。そして今……俺はこうしてこの世界で生きているのだ!この世界で……俺は……これから何が待ち受けていようと絶対にやり遂げて見せると強く誓った。俺は今この世界で生きていくことを決意したのだ。この世界の平和を守る為に……!……俺は……この世界に来たからこそ、今この世界で出来ることを模索し、やれることからやっていこうと考えていた。まずは自分の力がどこまで通用するのか、その限界を知ろうと思って行動を開始した。俺は女神様に案内されながらこの世界のことを教えてもらったのだった。

女神様によると、まずこの世界には魔王が存在するらしいのだが、現在は特に悪さはしておらず……何かを企んでいるわけでもないということだった。しかしこのまま放っておけば……魔王の邪悪な力に取り付かれた者達によって世界を混沌に陥れてしまう恐れがあり、そうなってしまうとこの世界に住む生物のほとんどが死に絶えることになるという恐ろしい予言を聞いたのだった。だから俺は女神様にお願いされて、俺の使命は魔王を倒すことだと教えられたのだった。

そして俺にはチート過ぎる程の能力が最初から与えられており、さらに俺には固有技能というものが3つあると言われたのである。この3つの力は、俺に与えられた加護の影響によるもので、この力を使いこなせるようになる為にも訓練が必要と、この世界にいる間に習得するようにと言われてしまったのであった。……俺としては嬉しい話ではあるが……あまりにも話が大き過ぎて、正直ついて行けなかったというのが本音である。……そして、この世界に俺の他にも俺と同じ異世界からの勇者がいることも聞かされたのである。

まず最初に俺のところに女神が来た理由だが、この世界を救いし者が現れ、魔王を倒した時にこの世界に現れるようになっているらしく、そのため俺は呼ばれたのだという……。

俺はこの世界に来た際に「ステータスオープン」と言う言葉を言えば俺の情報が分かると言われた。俺が「ステータスオープン!」と唱えると目の前にステータス画面が表示される。ステータスと言っても名前とかレベルしか表示されず、スキルのことや詳しい説明などを見るには自分で見る必要があるとのことだった。

このステータスには色々と疑問が残るが、それは後で検証していけば良いと思っていたので深く考えるのは止めておくことにしている。それよりも俺はステータスに表示されている項目にある「加護」という欄に注目することにしたのだった。……俺の加護というのが【異世界転生】でその能力は異世界への転移が可能になるという能力だった。

異世界に行くと俺はそこで暮らすことになり、こちらの時間が停止されるのだと聞いて、少しだけほっとしたのだった。俺はもう向こうの人間ではないんだと分かっただけでも少しは気持ち的に安心できたからである。

それに異世界で生活ができるというのは俺にとってもありがたい話であった。この世界の人達とは会話は可能だったが文字が違ったりして理解できない部分があったからだ。……でもこのスキルを使えば日本語のままだし……問題なく異世界ライフを楽しむことが出来そうで嬉しかった。

そして次に俺の能力だが、「魔力」「敏捷」「筋力」「耐久力」が数値化されていたのだった。そして各数値は、魔力に関しては0という扱いになっていたが、他の数値に関して全てMAXになっており、異常な程高くなっていたのだ。

「…………。」……俺、なんか嫌なことを思い出した気がするんだけど気のせいであって欲しい……。

そんな感じでこのステータス画面にはツッコミどころ満載なのだが、その1つ目として……『称号』というものがあって……その効果が、スキルの効果が上昇したり、身体能力が上がるというものなのだ。俺が見た限りではどれもパッとしないものばかりなのであった。……例えば『無謀なる者』『幸運の使い手』……そして一番意味が分からない『強者の卵』なんてものまであった……。まぁ……とりあえずスルーしておいたが、このスキルがどれくらい凄いかを試す必要があると考えたのだった。

そして俺は女神の案内で街を見学しながら歩いていくと……目の前に城が見えてきたのだった。その城は今までに目にしたことのないような綺麗で立派な造りをしていて……まさに俺の知るRPGのダンジョンそのものといった外観をしていたのだった。その見た目の感想を俺が女神様に伝えたところ、それは当然だと言われて、その昔に初代国王と当時の王妃が建国した際の建造物をそのまま残して利用していると教えてくれたのだった。そして今は魔族の襲来に備える為に作られた最終防衛ラインの1つだということだった。そしてここがその王都なのだという。……ということはあの城壁の中に入ると敵地になるということか……!?……うん。あまり深く考えない方が良さそうだ……。

そして、この国の王様に会いに行き挨拶をするという話になったのだが、その時に身分証明書がないと困るからということでギルド登録証を作ることになってしまったのだった。

俺達は城の門まで来ていた。門の所に立っている衛兵さんに声をかける。

この門は出入りがかなり厳しく制限されており、一般人は通行許可のない者が入ろうとすると攻撃されることもあるようだ。そしてこの城に勤めている一部の人物を除いては、貴族であっても信用が置けないという理由もあってか、入城する際に必ず身元確認が行われていて厳しい審査があるとのことなので、俺は緊張した面持ちでいるのだった。

するとそこに女神様が現れたのだった。その女神の姿に周りに居た騎士たちが驚いていたが、俺が女神の関係者だということが分かるとすぐに態度を改めていた。……さすがはこの世界の女神なんだな……。

そしてその女神は俺に微笑みかけながら話しかけてくる。……うわぁ……めっちゃ可愛い!マジで惚れてしまいそうなほどに超絶美少女である……。だが俺の心はすでに別の人のものとなっていたので残念ながら彼女の好意を受けることはないのだった……。そして女神様が、俺が女神様と一緒にいることについて不思議に思っていたので、この人は神であることを伝えてからこの世界に来た経緯を話すと納得してくれたようで安心したのだった。そして俺は女神様に言われるままに、ステータス画面の「所持品・装備」を開いてその中からギルドカードを選択してアイテム欄に入れてみると……ちゃんと入っているではないか!しかもそのまま使用出来るみたいだったので取り出してみたら……

『勇者殿

氏名:サトウユウキ(異世界人)

年齢

:18歳

性別 :男性 レベル 1 職業

・冒険者ランクG級 生命力 351/375 魔力 560/670 強さ 375+10 知力 412 体力 217 速さ 162+130 運 124 魅力 620 状態健康 HP回復量向上 100 MP回復量向上 100 攻撃力 255 +15 魔法力 203 物理防御力 14 魔力付与力 9 物理防御力強化 10 精神力 865 魔法防御力 790 魔法付与力 13 属性値 15 火系耐性 10%上昇 水 20%上昇 風 25%上昇 土 50%上昇 雷 30%低下 光 60%上昇 闇 40%下降 氷 15% 木 0% 聖 80%上昇 特殊能力 言語変換 ステータス画面収納機能 経験値増加 ステータス隠蔽 偽装 獲得経験値上昇 危険察知 気配感知 罠発見解除 罠作成能力 自動地図機能付き 全鑑定 剣術補正効果増大 槍術補正効果増大 棒術補正効果増大 弓術補正効果増大 投擲物回収 投擲物射出能力付加……何じゃこりゃー!!ステータスが上がりすぎじゃないか……!特に魔力と知力が半端ないし……何これ!チートじゃんか!って言うかこんなに強くなっていいのかよ……!俺もついに最強になれたか……。いや、これはまだ始まったばかりで、この先もっと強くなるんだ!頑張らないとな……。

それを見て女神は驚きながらも、そのスキルの内容と、ステータスの異常さに驚いていたのだった。

そして女神様が俺のステータスに興味を示して色々と質問してくる。……そして俺は自分が異世界からの転移者であるということ、そしてそのせいでこの世界に転移してしまったことなどを説明するのだった。その話を聞いて女神が、俺が本当に異世界からの転移者で間違いないかを確認して来ていたので、俺の知っている限りのことを話していく。……するとどうも異世界転移者は初めてじゃないというのである。

この世界に召喚されて間もない頃……この世界では魔物の襲撃で人類は絶滅の危機に瀕していたというのだ。そしてその際に異世界から来た者達の協力によって、なんとかこの世界を救われたという話を聞かせてくれたのだ。その時は異世界人と協力するという行為が信じられなかったらしいのだが……その異世界人達のおかげでこの世界にはまだ生きている人達がいるのだと言っていた。……異世界からの来訪者に、感謝しなければならないだろう……。

(異世界からの救世主様は、この世界の危機を救ったのね……。でもどうしてあなたはその力を受け継がなかったのかしら?何か理由でもあるのかもしれないけど……)

そして俺の加護だが、その力を受け継ぐことが出来ないと分かると……悲しそうにしているように見えた。だがその理由については女神でも答えが分からずじまいだったのである。ただ、この加護は俺に与えられたものだと言うことは確かなことらしく、加護の力は強力過ぎて普通の人間に使いこなすことは出来ないと言われていたので……俺も使いこなしたいとは全く思っていなかったし、この加護で良かったと心底思ったのだった。そして俺は女神が、俺のステータス画面に表示されている「異世界の恩恵」という言葉が気になっていたようだったので、「これはどんなものなんですか?」と聞いたら……女神がこの加護がどんなものであるのかを教えてくれることになったのだった。

この「異世界の恩恵」というのはこの世界の人間のスキルとは違う、異界の力であり特別なスキルのことで……この異世界には無い特殊なスキルのことを指しているらしい。……そして女神が説明をしてくれるには、この「異世界の恩恵」には異世界の理が組み込んであり、異世界の法則に則って発動しているという。この世界のスキルにはスキルに込められた力があり……それをこの世界のスキルとして使うのであれば、その世界の理に従った力として使えるという。そしてその異世界の理を取り込んだ力の事を「エクストラスキル」と呼ぶのだそうだ。そしてそのスキルを使えるのが異世界人である。

つまり俺の「加護」と「エクストラスキル」の違いは「加護」は俺自身に与えられる力のことで、それが俺の強さの基準になっているが、「加護」自体は他の人に授けることが出来る力を持っている。だが俺の「加護」は「加護」を授けた者だけが使用できるという制約が掛かっているという。

そして俺のステータス画面で見れる加護が俺だけの固有スキルで、俺が他の誰かに与えることができる「加護」の力をこの画面に映すと他人にも与えることが可能になるのだとか……。ちなみに女神がくれた称号にある【神獣の寵愛】というのは神界に住むと言われる『聖神獣・神狼フェンリル』の神獣であるシロのことで、俺に対して凄く好意的な気持ちがあるからこそ、こうしてこのスキルを与えることができたのだと女神は言っていた。……神が認めた相手ということか……。そして『神の友』は神界の最高神に認められた証で、女神はこの世界で俺が神界で最高神様から直々の指名で、この称号を授けられたということを話してくれていた。……そんなことを言ってもらえるなんて、俺が神様に認められてるみたいでなんか照れくさいな……。それに『勇者の卵』の称号があるおかげで、女神が俺を召喚したのに納得したという感じだったようだ。……まぁ、これで一応の辻妻が合ったからな……。

女神が教えてくれた内容によると、本来ならば、異世界人の加護を別の人が受け取ることは不可能で、その力を受け取ると死んでしまうらしいのだが……何故かこの俺だけは特別だと言われていて、女神が俺に与えた力をそのまま受け継ぐことが出来たというのだ。……俺はこの時、女神が言った言葉を頭の中で反すうするのだった。「この私から与えられたものを、貴方はそのままに受け継いでいるわ。」……それは、つまりどういう意味なのだろうか……!? 俺の「加護」は俺しか使えず、しかもそれは俺にしか効果がないとか言っていたが……それは本当なのかどうかを確認すると……実際に使ってみれば良いということだった。

俺は試しにこのステータス画面を使ってみることにしていた。そして俺は女神がくれたステータス画面を開いて念じてみることにした。すると目の前にウィンドウが表示されたので、その中を開いてみようと強く念じると、まるでその動作を待っていたかのように勝手に操作できるようになっていた……。そしてそこにはステータスが映し出されており、ステータスがちゃんと動くことを確認したのだ……。……これマジなのか……。マジで俺は異世界に来たのか……。いや、俺のこの加護とかを見ると間違いなく来たみたいだ……。俺は女神がくれたステータス画面を見ているうちにテンションがおかしくなってきた……。そしてこの加護の使い方や効果などを理解して……そして「ステータス」画面で色々と確認してみて驚愕したのだった。ステータス画面ではレベルが上がった時に、レベルが1上がっていくごとに数字が変化していくのが見えるのである……。

名前:佐藤

悠木 年齢 :18歳

性別 :男性(異世界人)

種族

:ヒューマン(異世界人)

レベル 1/1001000 1 HP 351/375 +10 MP 560/670 +10 +10 強さ 255 +10 +5 知力 412

±0 体力 217 +130 +15 速さ 162 -110 +10 運 124 ±0 魅力 620 +120 +10 +30 状態:正常 MP 回復量向上 100 魔力 回復量向上 100 物理防御力 17 +10 物理防御力強化 10 +10 +10 +5 +5 魔法防御力 7 +10 +10 +10 +5 魔法付与力 9 +15 +15 +15 +15 物理攻撃力 20 +5 +5 +5 魔法攻撃力 20 +5 +15 +15 魔法攻撃力強化 15 +20+10 +5 +5 +3+3+3 物理耐性 15%上昇 火系耐性 10%上昇 水 20%上昇 風 25%上昇 土 50%上昇 雷 30%低下 光 60%上昇 闇 40%下降 氷 15% 木 0% 聖 80%上昇 闇属性無効 全属性耐性 5%上昇 光系ダメージ減 50%低下 氷結属性軽減20%低下 全属性吸収能力獲得……何じゃこりゃあー!!何じゃこりゃあー!!何なんだこれは! 俺って……もしかしてとんでもない奴になったんじゃないのか……? そしてそのスキルと称号の説明もしてくれた。このスキルと称号のセット効果は、「ステータス」で見れるようになるのだという……。俺の場合は、俺がステータス画面の見方を知らないと思ったのか……親切にも教えてくれてたのだった。俺がこの世界の人間だったら、この加護の力を使うと……この世界の法則を無視して発動するという恐ろしいスキルなのだが……、このスキルを発動させると、世界そのものが壊れてしまうような力になってしまうという。だから、こんなに異常なまでのスキルをこの世界の法則を壊さずに使うことが出来るということは、女神が言うには「神の使徒」に相応しい存在というのだった。……この世界には、俺のステータスのような加護を持つ人間は過去にもいて、その人物たちは異世界人で、それぞれ自分のいた世界の力を使ってその力を発揮していたと言う。その者達も同じように世界の法則を無視した力を使った為に、世界が崩壊しかけたことがあったのだと言う。そしてこの「異世界の恩恵」というスキルを持っているだけで、世界を滅ぼすことも容易く出来る危険な代物だと……。なのでその力を使わずに済むならそれに越したことは無く……使うとしても、せめて自分の周りの人達を守るためにだけ使ってほしいと言われた。その言葉を聞いた俺も確かにそうだと思うのであった。

俺が女神にもらったこの力は、この世界の人間達が持っていても、その力の意味を理解することが出来ないらしく……女神もこの世界の人間の目では見ることが出来ないらしい……。その力を持った人間が俺が初めてではないというのは本当らしいのだが……その力を使えるようになったのは、本当にここ数年のことで、それまではその加護を持っている者がいても、その力が使える者はおらず……この力の存在を誰にも知られることは無かったという。そしてこの「異世界の恩恵」の加護の力を使えば……ステータス画面の加護欄の数値にプラスが加算されていくという効果があるのだ。

女神に説明されたステータス画面で確認出来たことはそれだけだった。ステータスの項目は俺が想像している通りで間違ってはいなかったようだ。ステータス画面で見れる項目をチェックしてみると…… ステータス数値 力

・力の大きさ。・武器や魔法の攻撃に威力。

・力の持続力・素手で戦う時。・力の放出・腕力・脚力・持久力・精神力

・魔力・魔導力・魔力保有力・魔力回復力・魔法の攻撃力・魔法の持続力・詠唱時間短縮率・魔法の消費量・魔法の効果。

・魔法力・魔力保持力・発動速度・集中力・最大魔法使用回数・消費魔法力

・魔法発動力・無詠唱 スキル数値 スキル発動力

・スキルを使える力。・スキルの効果を高める力。・スキルを使用するために必要な力。

知力 知識の容量。頭の良さ。

HP(生命力)

命の強さ。身体の強さを表す。・体力の総合値。怪我をした時の治療や傷の回復に影響する。

MP(魔法力)

魔法使いの力と魔法を扱う力。

速さ 速さを測る基準の一つ。

運 ステータスで見れる数値の中に含まれているが、実際に体感することで、その運気を上げることが出来るステータスで、運の強さ。

魅力 見た目や容姿の綺麗さや、人を惹きつける力、交渉の成功率や信頼を得られる確率に影響してくるステータスで、人と話すときの説得力に大きく関わる。

状態:正常と表示されており、これは今の状態を表わすもの。普通に考えれば、正常で何も問題無いように思えるのだが、このスキルをちゃんと使いこなすにはもっと勉強が必要とのことで……、今すぐ完璧に使えますとは言えない状態だったのだ……。特にこのステータスの数値の部分とかはまだまだ未検証の状態だそうだ……。そしてこのステータスを見て俺は少し不安になったのだ……。というのもこの数値が本当ならば、普通の人間の倍以上はあるのではないかと思って、それが心配になっていたのである……。ステータスのこの数字が、俺の実際の身体能力や魔法や武術などに関係するかと言えば、そこまで重要視する必要はないかもしれないが……やはり俺のステータスの数値をみても、俺は自分がこの世界ではかなり特別な存在になっていることが解ったのだ……。だがその力を完全にコントロールできるようになるまではまだ暫く時間が掛かるのだろうと思い、俺はステータスのことでこれ以上悩むのをやめることにしたのだった。

そしてこのステータス画面から確認できるスキルと称号についても説明を聞いていた。

ステータス画面の「加護」という枠に表示されているのはこの世界に存在する神から与えられる祝福だと言っていたが、その数は100を超えるのだと言って驚いていると、俺に女神が与えた「加護」は特別だとも言っていた。この世界の人間でも、その加護を扱える人間は、女神が今まで見た中でもほとんど居ないというのだ。その話を聞いて俺が更に驚くと……この世界の加護持ちは全部で50人くらい居るらしい……。俺はそんな数の人間に会える日がくるのかと……少し楽しみな気持ちになったのだった。この世界に生きる加護持ちの人達と会うことが出来たら是非色々と話をしてみたいと思うのだ……。まぁそれは今はいいとして、まず俺のステータス画面には、レベル1の時から全てのステータスが1だった。この世界のステータスの数値の平均レベル値は5~10の間なので、ステータスの数字が低いということは珍しいことではなく……俺が貰えた「神の使徒」の称号の「経験値増加」が無ければ俺はすぐに死んでしまっていただろうと……。そう言って女神様が慰めてくれたのである……。

俺はこの異世界に来たばかりの時は混乱していて女神の話をよく聞いていなかった部分もあると思っていた。なので、もう一度最初から詳しく聞きたいと思って、俺に説明してくれた事をもう一度聞くと、もう全部覚えたのかと驚かれてしまい、それ程までに記憶力があるとは思ってなかったらしい。そして改めて俺の質問に応えてくれる事になったのだが……その時の俺の心の中の会話の内容は凄い恥ずかしかった……。(俺が転生したのは本当に異世界で間違いないですか?)

はい……そうです

(え!?女神が俺にキスをして思考を読み取った事と、俺が女になったのって何か関係があるんですか?)……はい……そういうことになります。(あの、なんでキスなんかしたのでしょうか……?)……その前にあなたの前世の性別をお伺いしても宜しいですか?

(……あ!俺、性別女性だったんですけど……あれ?これってもしかして、元に戻ることも可能だったりしますか……?俺、この身体のままだと困ることが沢山あるんで元に戻れないかなぁーっと……あ!俺まだ自己紹介をしていなかったですね!俺の名前は「佐藤祐樹」と言いまして、一応男だったのですが……どうしよう……)

俺の予想通り、女神様は自分の力を使って俺を転生させてくれているので、「異世界への恩恵」の力が働いて、元の世界の肉体に戻ることは可能だという事だったが……戻ろうとするとその力は無効になるので無理なのだということであった。……そうなると……俺はこの異世界では女性の体で生活するしかないという事に……。うぅ……。マジっすか……? 【異世界転移】NEW! 異世界の加護を授けられて異世界にやってきた者に与えられる「恩恵」

スキル 常時発動型

・異世界の法則を無視した「力」を使うことが可能になる加護で、ステータスに+の効果が現れる加護。この加護の力を持っている者が「神の使徒」という存在である。異世界の法則を無視する力の制御方法を覚えなければ大変なことになる。この力を発動させた状態で自分のステータス画面を見ることは不可能で……熟練度を上げることによって発動中であっても自分に向けられた敵意や害意、殺気を感じ取ることが出来るようになり、気配遮断というスキルの効力を発揮することが出来、スキル使用者の姿を他の人間や生物に認識されることもなく動くことが出来る。

称号 異世界の使徒・神の加護・運命の女神からの贈り物

・異世界に来て初めてその能力を発現させて異世界を救ってくれた「神の使徒」と呼ばれる「異世界」で、初めての存在。

※スキルと能力が封印されている この世界には「勇者」も、「賢者」もいるらしい。その「勇者」というのは魔王を討伐するという使命を持つ者なのだそうだ。その魔王という者は人間達が作り出した兵器であり……この世界に突如出現した巨大なモンスター達のボスみたいな存在だと言うのだ。

この世界を恐怖のどん底にまで叩き落そうと企む者達の集まりがあり……それが「魔王軍」と呼ばれていて……そいつらは、この異世界のどこかにあると言われている……伝説の宝具を探し求めているという……。その宝具が見つかれば、この世界を支配することができる力を手にすることができるので……。この異世界の人間達ではその強大な力を持った魔王に勝つことは出来ないのだと……。その魔王軍が探し求めているのは「勇者の魂を宿すことのできる宝珠」「大魔導士の証となる杖」「聖剣エクスカリバー」の三種類らしい。

俺もさっき女神にこの異世界の常識というのをある程度教えてもらったのだが……この異世界の魔法について説明されたときに少し疑問に思ったことがあるのだ。……この世界の人間達はどうやって魔法の属性を知ることが出来るんだろう……と思ったのだ。

この世界には「五つの種族」、「エルフ」、「ドワーフ族」、「ヒューマン族」、「獣人族」が存在している。その中でも一番多いのは……魔法が得意な「エルフ族」が最も多く、次いで、近接戦闘を得意とする身体能力が高いと言われる獣人がいて、次に魔法は得意ではないのだが魔法道具の製作や作成に優れており、魔法武器を扱える「魔導力に長ける」ドワーフが多いのだという。

またその他にも少数ながら……魔導力を全く持たずに産まれる者もいるので、魔法を使うことが出来ない人間が必ず存在するのだそうだ。

魔法を使うためにはまず、魔力を感じる必要があるので、その魔力を感じることが出来るようになれば、魔法の発動も比較的簡単に行えるようになるという。この世界では、誰でも子供のころから訓練によって、魔力の流れというものを理解することができ、それを感じられるようになると、後は魔法の発動もそれほど難しくなく、魔法の発動が出来るようなってくるのだそうで、実際に魔法の威力や範囲などを試してみることもできると女神が説明してくれた。

その魔法にも相性のようなものがあり、その人の適性が分かりやすいもので言えば、火、水、土、風、雷とあって、さらに、光と闇にわかれているのだそうで……それぞれの系統の魔法がどの程度使えるのかを調べる方法があるというのだ。魔法が使えるようになったとしても、その魔法の系統をどれだけ理解できているかは個人の資質が大きく関わっており、その魔法を使いこなすための修練は、個人差があるものの、才能に左右されるもので、中には魔法が使えない人や、適正が無い人は当然いるのである。だがそんな人たちでも努力次第ではその道を極めることができるので決して諦めずに頑張るべきだとも言われていた。そしてそんな人々に対して、この世界で生きる人たちは心優しい人間が多く、時には優しく接して、協力したり、アドバイスをしてくれるのだと言っていた。この「魔法の使い方を教えて欲しい!」と頼むと、喜んで魔法の基礎的な使い方などを教えてくれる人達がほとんどなので、遠慮しないで頼めばいいと言ってくれたのである……。

俺も今から女神と一緒にこの世界での魔法や戦い方を学びつつ冒険するのだ。

俺も異世界の常識とか、この世界の一般知識についてもまだまだ知らないことばかりだし……。

それにこれから一緒に暮らす上でお互いに知っておかなければいけない事もたくさんありそうだからな。……よし!この女神に聞きたいことを質問し終えたし、俺は早速行動に移ることにする。

「じゃあ、俺にいろいろとこの世界のことや魔法のことについて色々と教えてもらえないかな。」

「……はい。かしこまりました……。それでまず最初に何が知りたいと仰りたいですか?」

俺は、女神に聞きたいことはもう特に思いつかなかったので、まずこの世界の通貨の単位について説明を受けることにした。俺もこの世界に来てからまだ数日くらいしか経っていないのでこの辺りのことについては良く知らなかったからだ。女神の説明を聞いてみると……「この世界で使われているお金の制度は日本でいうところの紙幣はなく……金貨と銀貨と銅貨が主流である。ちなみに貨幣単位は、「リオル」といいます。」だそうなのだ。「1枚」というのが100円程度らしく、これが10万枚あれば1000万円ということになるようだ。この世界で使われる金の価値としては……その金の純度や大きさによって値段が上下し……1番価値の低い「一粒金貨」というものが100万〜1000万程度で、「1枚金貨」になると、億単位の値段が付く物もあるそうだ。

あと、通貨の種類も色々あるらしくて、これはこの世界の国ごとに異なっているのだそうで……。

・この異世界の国の中で大きな影響力を持っている4つの存在が発行している硬貨がある。それは「聖銀銭」と「神貨」と呼ばれている2種類の硬貨であるのだそうで……。この世界の人間の生活を支えてくれているこれらの「神聖貨幣」にはそれぞれ特別な力が込められており、この世界に存在するどの「魔法金属」とも違った性質を持つらしいのだ。その特殊な効果をこの世界の人間たちは、「加護の力」と呼んでいるのだそうである。

「神貨」というのは「聖金」「聖白金」と呼ばれる、神の祝福を受けた「オリハルコン」と同じような力のある鉱石で作られているコインのことで、この世界で最も流通しているのが「聖銀貨」なのだそうで……これは、この異世界において最も希少で……価値も高い硬貨なのだという……。

その金額がおよそ「500000万枚」ほど発行されており……これを持っているだけでも貴族並の生活を送れると言われてるほど貴重だと聞いたときは、マジっすか!?って思わず言ってしまったよ……。まぁ確かにこれだけ貴重な素材なら仕方ないだろうな。こんな感じでこの異世界には様々な「魔法合金」のような「神性鉱物」が存在していて、それぞれが「魔法の力」が込められているというのだそうだ。そして、この世界の通貨に使われている全ての「金属類」はこの世界では貴重なものであるので……それを使って取引をしている。この世界に存在しているほとんどの国でこの「聖銀貨」以上の貨幣は存在せず……それ以外の硬貨は全て他国との貿易に使われる程度のもので、国内ではほとんど使われず……。この「神銀貨」や、「聖銀貨」より下位の「小白銀貨」と呼ばれる硬貨もあまり使われないらしいのだ。この世界の経済の中心になっているのが……この「神金貨」と呼ばれる硬貨で、これも「オリハルコン」と同じように「魔法合金」として加工されて……使われている。……ちなみにこの異世界では「金」がものすごく重要な物質なのだが、この世界の人々は「オリジン鉱」という不思議な石を見つけては色々なものを「金」に変換しているのだという。だから、この世界ではその辺にいくらでもある「普通の石」でもかなりの高値がつくので、気を付けないといけなかった。

ちなみにこの世界での通貨単位「リオルク」の呼び方は……女神に確認すると……そのまま「リオルク」と呼んでくれればいいそうだ。……つまり「500リオルク」を日本語で考えると「五百円玉」になるんだろうな。「500」が、「五円」になるのか。「十」が付いていないだけで、「百」とか「千円」も一緒だと考えると結構ややこしいが……。まぁそのうち慣れてくると思うけどね。……それと、この世界での一般的な宿屋の部屋の宿泊費は、大体一日「20」リオルクが相場だという話を聞いたときには、「安いな……」と思ってしまい。「え?そんなんで良いんですか?」……なんてことを言ってみたんだけど、その言葉が間違っていたらしくて……逆に怒られてしまった。……うん、そうだよね。そんな宿で泊まったら確実に風邪引くか死んじゃうわな……。この世界の常識を知らないと、そういうことも知れないのか……というのを思い知らされた。……そして女神に、魔法を覚えるためのコツのようなものも少し教えてもらうことになったのだが……。魔法は魔力の属性と相性さえ良ければ覚えることが出来、適性の無い属性でも頑張れば覚えられるという。ただ適性があっても練習して努力しない限りはその魔法を習得することはできないし、適正が無くても練習を続けていればいつの間にかその属性の魔法も扱えるようにはなるのだとか……。

魔法の習得方法はいくつかあって、その人それぞれのやり方があり、その方法に合った形でやることが重要だと言われた。魔法の訓練にはイメージすることが大切であり、その人の想像したイメージ通りに魔力を動かすことができれば魔法の訓練にはなりやすい。だが、魔法の訓練とは結局自分の持っている「素質」をどこまで引き出すことができるかという部分に大きく左右されるのだ。「魔法の訓練は努力すれば誰でもできる。しかし努力しなければどんな人間でもその魔法を扱うことはできない。努力しない者に魔法は使えない」それがこの世界の常識だったのである。……魔法は想像力が大切で努力を怠らずに努力し続けなければ魔法の習得は出来ないというわけだ。

魔法を使うために必要な才能とでも言うべきものがある。魔法を発動するための「魔法式」を正確に組み立てることができ、その「魔力回路」が正しく流れている状態で魔力を集中させて、発動のための魔力を送り込むという行為が魔法というもの発動のために必要な条件というのだ。魔法に必要な「呪文」、「詠唱」、「魔法陣」、「儀式」というものが必要無い代わりに、発動させるための複雑な手順があり……これがかなり大変なのだそうで……この辺りのことを簡単にまとめてみたのだ。

1・まず頭の中で術のイメージを作ります。

2・それを正確に思い浮かべたら次は実際に魔力回路を構築していくのですが、この際に使用する魔法の系統によって魔法の効果が異なるので注意が必要になります。

3・この魔法の系統を理解していないと魔法の発動ができないどころか、下手をしたらいつのまでたっても発動できないこともあるようです。(魔法の知識がないと正しい構築を行うのが困難になるため)

4・魔法の種類によっては、「魔方円」などの道具を使わないと魔法を行使できなかったり、「魔力結晶」という魔力を凝縮させた宝石が必要になる魔法もあるらしい。

5・また「精霊契約」と呼ばれるものと契約を交わすと、魔法が使いやすくなったり、特殊な能力を得ることが出来るようになることがあるのだそうで……。

魔法には「火」「水」「風」「土」「雷」の5種類があるが、これらは、それぞれに得意とする魔法が違い、「火」の魔法の得意としているのが「熱量変化」や「炎の操作」などである。そして、水の魔法の得意としている魔法で、攻撃系の魔法となると、主に水系の中級レベルから上級レベルの範囲での攻撃系のものしかないようだ。風の魔法の得意な魔法で補助系の範囲で、なおかつ攻撃力を持つものだと、「真空操作」と「竜巻」くらいのもので、どちらも戦闘用の魔法というよりは、生活に役立つような魔法が殆どのようだ。「重力」を操るものは、強力な力を持っているもののその制御が難しく、そもそも使える者が居ないらしい。「空間」に関するものとなると、かなり難易度の高いものになるそうで……。

このように「火」と「水」と「風」と「土」はそれぞれ違う魔法が得意であるようだ。なので同じ系統の魔法であってもその特性が大きく違っているからそれぞれ特徴が違うということだ。魔法が上手な人間はそれらの複数の魔法を組み合わせながら戦っていくというのがこの世界の常識なのだ。ちなみにこの魔法は、その魔法の系統と適性のある属性しか扱うことができない。

例えば「土」の魔法の適性のある人間が、その系統の魔法が苦手な魔法も使おうとすると上手く扱えないので、「土」魔法に特化した魔法の修行をしていかないといけないのだそうだ。だから、もし魔法が上手く使いたいのであれば自分が最も向いている魔法の特訓を行い……それ以外の系統のことはある程度出来てからその魔法の修行を始めなければならないということになるようだ。

この世界で一般的に使われている回復や治癒に関係する魔法というのは、基本的には「回復薬」に頼るしかなく、魔法を使った方が効果が高いのだけれど……それでも「初級」や「下級」程度の魔法が使えるくらいになると、その効果はかなり落ちる。

俺も「光属性」を少しだけ使うことが出来た。

これは、「神聖銀銭1枚」と交換して得たもので……「神聖銀銭1枚」と、この「光属銀銭1枚」を交換することで、俺は魔法を覚えたのである。この「神聖銀銭1枚」というのは日本円でいうところの「1万円」に相当している。……ちなみに、この「神貨」と呼ばれる硬貨と「神金貨」と呼ばれる硬貨については……この異世界では全く価値を持たないものだそうな……。

これはどういうことなのかと言うと、この異世界では「魔法合金」の「聖銀貨」や「小白銀貨」は普通に使われているのだが、「聖金貨」や「神貨」というのは基本的に使われていないそうだ。理由はこの世界の人間たちでこの2種類の通貨を使用する人はごく少数で……この異世界では、「神貨幣」は「オリハルコン」が通貨として使用されているからだそうだ。

「聖金」という金属は希少で……「聖白金」も希少だが、オリハルコンと比べると遥かに希少度が低い。だから、この世界では基本的に「聖銀貨」以上が使われることはないのだそうだ。この「オリジン鉱」で作られた「聖銀貨」は「オリハルコン」と同等の強度があり……さらに魔力の伝導率も高いために、この世界で最も希少で高価な硬貨となっている。……だが、その分値段も高いらしく……。一般人の年収の半分くらいの価値はあるのだそうだ。……まぁそりゃ高いよな……。この世界の人々はそんな貴重な硬貨を使う事はほとんどないらしく……。ほとんどの人々がこの世界で使われている硬貨は「神銀貨」を使っているのだそうだ。……この異世界の人達はどうやって稼いでいるのだろう……と不思議になった。……まぁいいや。……それで……この世界の住人たちはこの世界の「金貨」も使っているそうだ。……つまり、俺たちの世界で言うところの、「一リオルク銅貨」、「五リオルク銅板」、みたいな硬貨は……ほとんど流通していないということなのだ。

ちなみに……この世界のお金の呼び名についても聞いてみると……。

この世界で使われている金貨や銀貨などに使われている文字について説明を受けた。

「この世界では共通文字が使われている」という話を聞いたときに……正直驚いた。なぜなら、今まで見たことがないような文字のはずなのに何故か読めるし意味が理解できたからである。しかもその言葉も聞いたことがあるし……。この世界に元々あった言葉を日本語に置き換えたようにすら感じるほどに違和感が無いものだった。そして「共通言語変換魔法」なるものを教えてもらった。これを使えば全ての種族の言葉を話すことが出来るし、相手もこちらの話し方を理解できるし会話もできるらしい。……すごい便利だな……。

あとは、神様に教えて貰ったのだが……。この世界の文明のレベルはそこまで発達していないのであまり期待しないようにとのことで……。この世界の文明がどの程度のものなのかはよく分からないが、地球に比べると相当に発展が遅れているようだ。……そういやこの世界の科学技術がどれほど進んでいるのかは全然知らなかった……。……というか……よく考えたらこの世界のことについて何も知らないのである。この異世界のことに関して知っているのは「女神」に教えて貰うことができることだけなのだ。

そして今一番気になっている「女神」とは何なのか……ということを質問してみることにした。女神様によるとこの世界を創造したのは他の神々だというのだ。つまり女神はこの世界の管理者のような存在であって、この女神以外の神の事は良くわからないらしい。この世界の「名持ち」の神で名前を知っている者は居ないし、それ以外の神の事をこの世界の住人がどう呼んでいるかというのも知らないのだとか……。

ただ「女神」という呼び方だけはこの世界のどの場所に行っても存在するらしい。この世界のあらゆる場所で女神と呼ばれているのだそうで……そのことからこの世界の人間たちの信仰心の強さが伺えるというものだ……。

この異世界に居る人間達は大きく分けて3種類いるのだという。「ヒト族」と呼ばれる者達と、「獣人」と呼ばれる者達と「

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