第2話 タバコ屋転移と美人三姉妹
眩しい光に包まれた後、しばらくしておそるおそる目を開けるとそこは…。
「僕の部屋じゃないか」
眩しい光に包まれた時にいた僕の部屋であった。おどかしやがって….、心の中で兄に対し悪態をついた。
「まったく、店番してたのにさあ…」
そう言って僕は店に戻る事にした。ウチの家業はよろず屋、昨今あまり見かけなくなったが食品や飲料もあれば洗剤やシャンプーなど身の回りのものを扱っている。まあ、コンビニのような多岐に渡る品揃えはないが生活の必要最低限の物は手に入る…そんな感じだ。
集落の…、このあたりの人からは加代田商店と店の屋号よりはタバコ屋さんと言われる事が多い。店舗兼住宅…十字路の一角に面したその端っこに昭和の香り漂う小さなタバコの販売スペースがある。店番のおばあちゃんが座っているような…、ウチも実際におばあちゃんが…ついでに言えばひいおばあちゃんも店番をしていた。それが集落の人々にこの店がたばこ屋さんと称される
僕はそのたばこの販売ブースに戻った。兄さんからの電話が来る前にしていたのと同じようにスマホを取り出し画面に触れた。通電し明るくなった画面、ネットに接続しようとした。
『接続できません』
そんな文章が表示された。
「は?なんだ、また通信障害か?つながらないんじゃスマホの意味ないじゃん」
やれやれとスマホをポケットにしまってため息を
「な、なんだ!?」
そこに広がっていたのはだだっ広い空間。ただむき出しの地面と共に上には石だか土だかよく分からない天井のようなもの…。まっすぐ奥に向かって視線をやれば遠くの方は暗くてよくは見えない。しかし暗いなら暗いなりにこの辺りの視界は悪いが、僕の勘では体育館ぐらいの大きさの空間だろうか。その空間の所々、何か明かりのようなものが浮いている。それはバレーボールくらいの大きさでその近くを照らしており何人かの人影。
「…あれ?あの人達の近くにあるのは…斧?あっちの人は槍?剣を腰から下げている人もいるし…、ってヤバイだろ!これが街中で斧とか持ってる人がいたら普通に警察に連絡だろ!」
僕は目にした光景に驚きを隠せない。あんな人達が近づいてきたら…。
「僕じゃどうしようもない…」
そんな恐怖にかられていると辺りで声が響いた。
「ようよう、俺達と一緒に野営しようじゃねえかよ!」
□
「いやいや、俺達にしろよ?ゆっくり休めるぜえ!?」
どうやらこのスペースの所々にある明かりのようなものの下にいる連中が発した声のようだ。その声は奥の方からやってきた数人に向けられているようだ。
「ねえちゃん達の細腕じゃ荷物の持ち込みも大して出来ないだろ?
「しっかり休める時に休んどかないと思わぬ不覚をとるもんだぜ!?」
「だから俺達がしぃ〜っかりとついててやンよォ。なあに、礼なんて…なあ?」
そう言って男達はやってきた人達…、女の人達だ。彼女達に無遠慮な視線を向け声をかけている。
ああ、一緒にいてやるから…ねえちゃん達も分かってるよな…みたいな事を言ってるんだろうな。もっとも一緒にいたとしてゲスな奴らだ、水も沢山あるとか言ったけど本当かどうかあやしいものだ。それにくれるとも言ったワケじゃないし。
「ちょっと飛ばしすぎたからね、ルイルイの魔力が…」
「アイアイもでしょ?あれだけ動いたんだから…」
「ごめん、メイメイ姉さん。私がしくじってスイッチ踏んだから…」
どうやら新たに来た女性達は三人、怪我こそしてないが疲労感が簡単に見てとれる。話ぶりから姉妹のようだ。おそらく休憩するにしてもすぐに寝入ってしまうだろう。それをここにいる男達が見逃すだろうか…、そりゃあ絶対にないだろう。
「あ…」
「ん…?」
三人組の女性達、そのうちの一人…髪の短い女の子が僕の方を見て声を上げた。
「ね、ねえ!?あなた、こんなところで建物なんて?お願い、私達を中に入れて!」
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