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淡々と語る中に秘められた衝撃の本音

『告白』湊かなえ（双葉文庫）　　

　まさにタイトルが示す通り。赤裸々に語る内容には普段は吐き出さないであろう本音が綴られており、それが大まかのストーリーを想像させる。小説でありながらも、言い換えれば独白集と言ってもいい。

　教師、母親、生徒など、それぞれの立ち位置と心情が見事に語られていて、納得するようでもあり否定したりと読みながらもこちらの心情が季節のように変化する。難しいことは書いてはいない。そのためすんなりと心に染み入って来る。

　難解なストーリーで頭を捻らなくてもいいのでとにかく読みやすい。それでいて笑うに笑えない恐怖のような話を展開していくので、考え方によってはスリラーと言っても良いだろう。

　Ｓ中学校二年Ｂ組の担任、森口悠子の娘が同じクラスの生徒によって殺害された。犯人が誰だか分かった森口はホームルームで思いがけない告白をする。

　ＡとＢ。氏名は伏せていたものの、同じ教室の誰もがその二人であることを認識する。処罰を法に委ねたくなかった森口は二人の牛乳にだけあるものを混入させる。それはある人間の血液だった。

　読んでいるだけで背筋がゾクゾクする。恐らく同じ教室内で実際に聞いていたならば頭の中は当人でなくてもパニック状態に近いはずだ。その後、二人の生徒たちはどのような結末を辿っていくのか。この辺りも大変興味深い。

　刑事が取り調べでそれぞれの話を聞いているような錯覚にも陥るタッチは読むほどにどんよりとした世界へと引き込まれていく。そもそもの間違いはどこにあったのか。

　単なる悪戯では済まされないにしても、その理由を知らず知らずのうちに探っていることにも気付かされる。