第4話
狸は夜行性だ。夜に冬でも少しの食べ物を求めて多くの狸たちは森の奥を彷徨う。起きていれば朝早くから食事していても、野生であっても、カロリー消費が多くて腹を空かすのだ。
しかし、漆黒の毛並みの美しい、他の狸とは毛の艶が違う狸は他の仲間とは違うことをしている。夜目を生かして人間界からくすねた少女漫画、TL漫画を寝床で読み漁っていた。狸はにんまり顔に少し赤らめた表情。狸の傍らにはそれらの漫画が積み重なる。もちろん花より団子も。
女性をたぶらかす男性キャラクターに憧れを持っていた。あぁこんな男になりたい。漫画の女性キャラクターのドキドキした表情をみたり、悶える体を自分に預させて快感を浴びせる。そして愛を捧げさせる。漫画をくすねて読み始めた思春期のまだあまり化けることができないころからずっと思っていたこと。…。
えっ何故それができるわけって?人間界からくすねた電源が乾電池のカシオ製デジタル目覚まし時計、目覚めの時間が他の狸が大体目覚ます時間より2時間早い。美貌の秘訣でもありそう。本人は美貌に意識は無さそうだが。
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