第3話
女の学び舎が少女たちに自由な時間を長いようで短い時間、明日の朝までの間を与えた。与えると告げたときは陽が山の山頂に隠れ行くころだった。少女たちはゆっくりとゆっくりな歩幅で四歩であっても進んでいた。口は激しく動かしあいながら。ある意識高めの狸のグループは、
美しくかっこいい。あのおすがたは素晴らしいですわ。
あの漆黒の毛並みは夕陽に映えますわ。
語り合う囁きはあの男に化けた、狸とは自慢たっぷりに言えない狸が夕陽が沈んでほかの狸よりもより暗闇に溶け込むまで続いた。
フクロウが腹を空かす時分。狸は夜行性。昼間はあんなに人の男性が鼻血大量出血必死の姿に、何度も化けて割とくたくたなはずだが本能には逆らうことは出来なく、女の園にいた狸たちは、みんな遅寝早起きな生活である。こんな生活ができるのも秋の間に冬の備えをしたことと冬は早めの夜がくることにある。
1匹の狸、園に通う狸の中で一番寝床が園から遠い狸はやっと自分の寝床、穴熊が掘っただろう穴の奥に、脂肪タップリのお腹まわりをねじ込むんで入っていった。寝床の主は穴にかすかに入る月光に照らされてもいまだ暗闇に化けている。
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