〇「5分で読書」を勧める理由

 「学校の朝読で読みたい短編小説」としてコンテストが開催され、2020年の10月2日から11月24日にかけて作品の募集が行われました。


 当時の私は、アカウントこそ作ってありましたが、いろいろな作品を楽しませていただいている、いわゆる「読専」でした。

 人気作などを一通り読破し、新たな作品を探していた時に、当該コンテストの企画を知り、参加作品などを拝見しました。

 どの作品も秀逸で、多くの参加者が思い思いの作品を載せて、楽しそうだなぁと羨望の眼差しで見ていたことを思い出します。


 ある日のことでした。

 11月も中旬に差し掛かり、応募期日の締め切りが迫る中、作品の質はともかく、6,000文字くらいなら書けるかもしれない。と、今まで小説など書いたこともないのに、急にスイッチが入ってしまったのです。


 応募しているジャンルは三つ「最後はかならず私が勝つ(どんでん返し)」「通学路、振り返るとそこにいる(ホラー)」「想いが通じる5分前(恋愛)」


 その中で「思いが通じる5分前」用に作品を書いてみました。

 思い立ったその日に、3~4時間かけて「火球考察」という短編を書き終えました。

 書いて推敲してみたものの、公開ボタンを押すことをしばらく迷っていました。

 素人のこんな拙い作品を、衆目に晒してよいのだろうか?

 評価を貰えるかという不安よりも、自分の作品でコンテストの質を落とすことにならないか、社会的な規範意識(笑)がためらいを生んでいました。


 それでも、書き上げた作品は、生後一日足らずのくせにとても愛着を感じさせ、せっかく生み出した命を、自分だけは大切に扱おうと決意し公開ボタンを押しました。


 逡巡というハードルは、一度越えてみると意外に低く感じるもので、他のジャンルも含め合計5作品を応募するという暴挙に出ました。

 素人の勢いって怖いですよね。タガが外れたんだと思います。


 コンテストは合計2,825作品を集め、応募期間を終了しました。


 それからの私は、創作の楽しさを覚え、いくつもの作品を書いてみました。

 ただ、星どころかプレビューすら伸びず、とにかく、自分の書きたいものを書こうと奮起していました。

 やけになっていたのかもしれません。


 年が明け、2月26日のお昼でした。

 「5分で読書」の中間選考結果が出ました。

 「想いが通じる5分前」で「火球考察」

 「最後はかならず私が勝つ」で「胡蝶の夢が覚める時」

 の二本が残っていました。

 嬉しかったと同時に困惑です。だってその二本とも、星もプレビューも一桁だったんです。

 一般の読者さんより、選考の担当者さんしか見ていないんじゃないかって状況ですよね。


 その後、賞は逃しましたが「火球考察」が書籍に掲載されることになりました。

 ちなみにその時点でもプレビューは10くらいでした。


 こんなこともあるんだなと、自分に訪れた幸運を噛みしめました。


 それと同時に、書いて公開して応募しなければ、そんな幸運にも辿り着かない事を知りました。

 宝くじの当選確率は、買わなければゼロなのです。

 

 書いて、公開して、プレビューが一桁でも、ど素人の処女作を拾い上げてくれる選者が存在するのです。

 文法に自信がないという方も大丈夫です。

 ぶっちゃけますと、たかが6,000文字でもえらい直されました。

 つまり「文法警察」の方にそっぽ向かれるような怪しい文章でもOKなのです。

 しかも短編集ですから、一度に10~15本くらい選んでもらえる。


 大事なのは「物語を紡ぎたい」という欲求のみ。

 だからこそ「5分で読書」を強く勧めるのです。



 というわけで、「5分で読書」短編小説コンテスト2022が始まります。

 また力試しをしたいと思い、早速書き始めました。


 そうそう、小学校高学年から中学生くらいまでが対象なので、内容にだけはご注意を(笑)

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