◇フィールドワーク
趣味と言っていいのか分かりませんが、山歩きが好きです。
稜線にある登山道とか大好物です。
左右が断崖絶壁でも、ぶるぶる震えながら、へっぴり腰でゆっくり歩きます。
むしろ、足を踏み外すと大変なことになるといった緊張感があるほうが、堅実に歩めるような気がしてます。
人生みたいです。
と、そんな高尚な哲学を携えて歩いている訳じゃありません。
皆さま、創作の中で戦闘シーンや敵から逃げるシーンとかがあるじゃないですか。
舞台は荒れ地や森の中なんて描写が多いですが、ふと思うのです。
実際にそんなに動けるのか? と。
そもそも裸足で放り出される物語もありますが、フローリングや畳やじゅうたんじゃなければ、どうしましょう?
石畳や砂場、夏のアスファルトとか裸足で立っていることすらキツイです。
よって、裸足は基本的に想定の範囲外です。
次に、適当な革靴ならばいかがでしょう。
街歩き用のスニーカーでもいいです。
無理、いや無理ですから!
ゴブリンと戦うとか以前に、走れませんから!
足裏は滑るし足首がグキっていいますから!
あのね、体力とかHPとか筋力とか以前の問題なんですよ。
幼少のころから猪に育てられて山を駆け巡るくらいのことをしてる人なら良いですが、たまに泥んこ遊びをするくらいの現代人に、荒れ地で駆け回る機動力はありませんから!
森の中ですら、樹木の根に足を取られ、わずかな段差で横転必至。
移動すらままならないって話しなんですね。
じゃあ、もし明日にでも異世界に拉致られて、普段の服装で初めての戦闘を迎える羽目になったとしたら?
そんなことを考え始めた結果、辿り着いた先に、山歩きがあったのです。
段階としてはこうです。
〇悪路に慣れる。
〇下りを小走り程度で安定して動き続けられるようにする。
〇上りを延々と歩き続けられるようにする。
〇道中の野生動物に勝つ。
この一連の行動をマスターしておけば、異世界初日はなんとか乗り越えられるはず。
ふう、予定が立つと安心するものです。
もちろん実践もします。
抜かりなく装備も整えます。サンキューAmazon。
特に重視したのが機動力の鍵となる靴。
洒落た言い方をすると「トレイル・ラン・シューズ」
検索すると山の様に見つかります。
見るからに怪しそうなブツから、お前靴の癖になんで何十万もするんじゃろかい! と唸ってしまうモノまで、ピンきり。
ああ、ちなみに私は靴を平気でネットで頼む人種です。
試し履きはしないのかって?
一度でも履いたら責任を取るんだよ!
と、店舗で試し履くことにはなんの躊躇もしない口が適当なことを言いましたが、結局のところ、返品が面倒なだけなんです。
基本は店舗で買いますが、やはりネットショップの方が品ぞろえは豊富ですからね。ギャンブル上等ですよ!
正直に言えば、ネットで気に入った靴があれば、店舗に行って、同じメーカーの同系統の靴を試し履きして、サイズ感を確認します。
これで外したことは、半分くらいしかありません。
さて、結果としてとても良い相棒に出会えました。
ニューバランスのトレイルランニングシューズ (FRESH FOAM HIERRO)
15Kくらいの定価がセール中で6Kくらい。サンキューAmazon。
で、先日こいつを履いて近所の山にチャレンジしてきました。
雪が残る山道。
気温はぐんぐんと上昇。
日差しはじりじりと照り照り。
日陰には雪が凍ったまま氷壁を維持。
日向では雪が溶けて大地をヒタヒタに浸食。
その中間辺りはザラメ状の深雪。
まず雪に足を踏み入れますとズボリと膝下まで埋まります。
よいしょと踏みしめますとズルリと滑り、運が悪ければ泥濘に嵌ります。
止まらんのですよ、トレイルランシューズ程度の足底では!
大開脚の果てに身動きが取れなくなるか横転します。
大惨事です。
おかしい。創作の中で一歩、歩くたびに無様に転びそうになるキャラなんていなかった!
みんな軽快に走り回っているやんけ! JAROに訴えるぞこんちくしょう!
そんな悪態を吐きながらも慣れるものですね。
慎重かつ大胆に、歩みは徐々に落ち着きます。
ふむ。
要するに、いろんな物語の登場人物は、描写をしないだけでキチンと状況に応じた動きをしている訳だ。
わずか数十メートル登るだけで、何十ページも歩く描写なんか書いてられっか!
激しく同意。
結論。
ある程度、履きなれた靴であれば、山道程度の悪路は歩ける。
走ったり戦ったりは前提条件が多すぎて検証不能。
何が悲しくて戦闘シーンのリアル描写を求めて滑落を覚悟するもんですか!
検証のフィールドワークでいちいち死んでいたら洒落にならんのです。
まだ治癒魔法だって覚えてないし、エリクサーも持ってない。
安全第一です。
ちなみに最終段階の、野生動物に勝つ! ですが、山登りの翌日、地域の防災メールで当該登山道に熊が出没したと情報がありました。
ちょっと、冬眠は!
まだ寝てる時期だろうが!
冬眠明けで腹ペコ熊なんて無理だから!!
よって、主に身体的な強化と回復手段を入手するまでフィールドワークはお預けですね。しばらくはイメトレで過ごします。
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