知っていますか? 異世界でフリーセックスを広めたのは田原総一郎氏なんですよ
にのい・しち
第1話 その男、異世界で立つ
ここは異世界、AVの撮影現場。
ADが現場で声を張りスタッフに聞こえるように伝達事項を伝えた。
「
監督はセクシー男優に歩み寄り心配する。
「どうした?」
「監督。やっぱり俺には無理かもしれません」
「何言ってる? いつもビンビン、頭を性欲で回転させてるお前が急になんだよ」
「今日の現場、俺には荷が重いです。だって三十人のセクシー女優とフリセで絡むんですよ?」
「プレッシャーを感じてるのは解る。でもな、これは仕事なんだ。他のスタッフだって待ってる。早く
「無理です! 俺にはこの現場はデカ過ぎます!」
困り果ては監督は男優が座るベンチの横に腰掛け、撮影の看板代わりに置かれたホワイトボードを眺める。
『冴えない俺が異世界イッたら三十人のドすけべアマゾネスとハレンチハメハメ
「なぁ、その昔、この異世界に田原総一郎という一人の男がいたことを、知っているか?」
「だ、誰ですか?」
「田原総一郎氏。この異世界とは違う別の世界、日本から来た男……いや、伝説のジャーナリストだ」
「ジャーナリスト? なんの話ですか?」
「まぁ、聞けよ。田原氏は軍国主義だった社会に産まれ、お国の為に命を散らすことを理想としていた。だが国が崩壊して、それまで大人達が子供達に言い聞かせた信念や理想は二転三転した。そこで田原氏は社会をどう生きるかは自分で考えて変えなければならないと悟ったんだ」
「自分で考えて、ですか?」
「そして田原氏は、この異世界に来てフリーセックス。つまりフリセを広めたんだ」
「待って下さい! 話が飛び過ぎてて訳解りません。なんで彼の生い立ちからフリセの話になるんですか?」
「いろいろあったんだよ。田原氏はディレクター時代、勤めていたテレビ局をクビになって街をさ迷っていたら、異世界に飛ばされたんだ。まぁ、異世界ではよくある話だ」
「よくある話しって、それを言われたら何もツッコめない」
「お前は女優に
「監督。それは問題発言ですよ」
監督はベンチの脇に置いてあった撮影で使うローションの容器をおもむろに持ち、透明なジェルに写った自分と目を合わせながら語る――――。
この異世界に来た時、田原氏は嫌悪したそうだ。
当時、この国は国王が絶対的な権力を持っていた。
どんなに税金が高くても黙って国に納めなければならない。
国王あっての国、国あっての国民、国がなければ民は生きていけないと思い、誰も政治に意見しなかった。
そしてフリセを広めた――――。
男優が話の腰を折った。
「待って下さい! だからなんでフリセの話になるんですか?」
「何故かって言うと政治に意見せず、国王のさじ加減に自ずと生活を合わせていった国民達は、いつのまにか自分達の欲求を押し殺すようになった。ようは禁欲だ」
「じゃぁ、その欲求のはけ口をフリセで発散させたんですね」
「そうとも言えない」
「話の引きが長いな……」
「禁欲によって、しばらくは国民は礼儀ただしく慎ましやかな生活をしていたんだ。だが、それを良い事に権力者達は国民から得た高い税金で至福を肥やした」
監督はローションの容器を脇に置くと、その隣にあった赤と白のボーダーが楳図か○おを連想させるTENGAを持ち、まるで楳図オカズおに話しかけるように異世界の歴史を語った――――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます