ファンタジー小説って、どうしても説明的になりがちですが。ここまで美しい情景を文章で魅せながら、どんどん聞いたことも見たこともない世界へと引き込んでくる筆力に驚きを隠し得ません。定められた人生の初めての旅路に困惑する「音降り」と、孤独な人生を歩む「胎生」の物語。贅沢な文章で綴られるロマンチックで切ないストーリーに、あなたも恋に落ちるはず。
この作者さまの作品は非常に情景を想像しやすく、すぐに世界に没入してしまいます。今作も、少女のいる場所が脳内に鮮明に浮かび上がり、冒頭からワクワクします。いつもながら発想力に圧倒され、息をつく暇もなく、気が付けば読了後の感動に浸っていることでしょう。壮大なスケールの物語で、これを4000字に纏める力があることにも尊敬です。素晴らしいので、是非お読みください。