12本目の剣

 海の浜の海岸にて

 朝に響くは子供の声

 昼に響くは大人の喧騒

 夕に響くは花火声

 夜はないのは仕方ないとか


「ほう。ギャンブルで剣の場所を?」

「ハッハッハー!俺にかかればイカサマなど朝飯前だ。」

「アームドパルトはそれで出禁になったでしょ。」

「出禁で済んでよかったやもしれませんぞ?」

「?。確かに罰金は怖いが金が欲しくてイカサマするんじゃないからな。」

「ではなく。我々の国でそれをしたら。」

 ジェロは手を開き中指を握って離した。

 指がなかった。

「こうなる。」

 アームドパルトが口をぱくぱくとさせて、

「まあ冗談だがね。」

 折り曲げていた中指を伸ばして見せた。

 と同時にアームドパルトは後ろに走って逃げた。

 俺はしなんぞーーー!!!

 俺はしなーーー!!

 俺はーーー!

 おれーー

「走りながら連呼しましたね。さ、行きますか。地図によると海、といっても浜辺あたりの巨木にあるようです。詳しくは海の家で聞いてほしい。だそうです。」

「海に家があるの?あるにしても家ってなにさ?」

「アーサー王。海の家は飲食店および海に関する浮き輪などを貸し出して商売している総称だよ。」

「・・・でも3つくらい並んでますよ。海の家。」

「アーサー。そういうものなんです。」

 アーサーは 混乱 している。

「かき氷でも食べながら聞きますか。」

 へい!かき氷3つ!おまちを!

 ものの十数秒で出てきやがった。

 アーサーが楽そうな仕事だなとジト目で見た。

「お客さん。中で食べてってください。」

 なるほど。中は確かに家って感じ。

「パーシバル。海について兵士長に聞きました。」

 1.恋人たちがあははー。とかうふふー。とか言って追いかけっこしてるが実際は待てや!は?嫌だね!である。

 2.スイカという果物を木刀で割る遊びがあるが、危ないので実際にやると衛兵を呼ばれる。

 3.若者がランニングしてたりするが実際やってるのは冬。なので地獄。死人がでます。

 4.花火をしている人がいる。しかし砂が汚れるのでマナー違反。

 5.鰻屋があります。食べましょう。

 6.砂でお城を作ります。そして帰る頃見てみます。崩れてます。

 7.海亀はなんと砂浜に卵を産みます。それも100個以上を何匹も、何回にも分けて。ですがそれでも生き残るのは数十匹だとか。

 8.私はよく知りませんが、冬にはクラゲがうようよ泳いでます。クラゲはなんでも食べるので人が泳いでると針で刺して食べようとします。

 9.大陸のどこかに踏むと鳴く砂浜があるそうです。なんでも綺麗な汚れてない砂浜だからだとか。・・・皮肉ですね。遠い昔の綺麗な浜辺はどこでもそうだったとでも言うのでしょうか?

 10.夏は裸足で砂浜を歩いてみましょう。それがいかに無謀なことかを思い知るはずです。

            出典:海の十戒より

「だそうです。」

「兵士長。アーサーに嘘教えついでに宣伝しましたね!?」

 お客さん。静かに。

「おやっさん。ここいらに剣の刺さった巨木はないかい?我々はその剣を抜きに来たんだが」

 そうだねぇ。昔浜にある剣で怪我したってお客さんがいたなぁ。たしかあそこの、そうそう。あの木じゃないか?

 指差した先に三本の木。

 近づいてみるとその一本に剣が。

「よしきめた!アドモニッシュは君の名だ!」

 抜いてみて驚いた。

「2本セット?」

 一見一本だが真っ直ぐな剣にSの字の形の剣が絡みついていた。

 アーサーの予想通り2本に分かれた。

「ほう。2本とは。しかし名は一個でいいのかね?やはりそれぞれに名付けなくては?」

「とりあえず真っ直ぐな方をアドモニッシュと呼びます。ですが本題はこっち。伝説も2個かってこと。どうなんですかね?」

「こういうのはいかがかな?」

 アームドパルトが伝説を作ると信じる。

(アームドパルトのくしゃみがきこえそう)

 ーーーーーー!!!!!!

 なんか叫び声聞こえたけど気のせいだよね?

「夜まで待ちますか。」

 アーサー達が夜までいると知ると

 お客さん。さっき木に立ち寄ったでしょう?

 変なところはありませんでしたか?

 そうですか。なにも。いえね、あの木に幽霊がでるとかでないとか噂なんですがね。気になって。

「さて。見せてもらおう。アーサー王の次の伝説を。」

 ーよる。ふゆのかぜがながれるきせつ。

「お姉さん。ここでなにを?」

「ええ。ちょっと酔ってしまって。大丈夫です。」

(アーサー。またハズレですか。)

「お姉さん。背中さすりますよ。」

「うっ。けほっけほっ。すみません離れた方がよろしいかと。」

「?。風邪ですか?薬なら連れが持っています。持ってきますね。」

「!。もしや行商人の方々ですか?お願いします!喘息の薬をいただけないでしょうか!」

「ぜんそく?わかりませんがパーシバルのことです。持ってるとは思います。」

「よかった...。これで姉もしばらくは大丈夫です。」

「喘息の薬?ありますとも。ですがタダとはいきません。この町で薬を買わなかった訳を聞きましょう。私たちに出来ることもあるかと。」

 この町には昔から代々続くお医者様がいました。

 しかしある時町の不良達にそそのかされ薬を出さなくなったのです。

 町の人たちは大して気にしなかったのが運の尽き。

 ある時流行り病の喘息が流行り出しました。

 出所はどこかわかりません。

 もしかしたら不良達が流行らせたやも。

 とにかく人々は薬を求めました。

 しかし最低限の薬しか出してはくれませんでした。

 町の人たちは王都に行けば薬が手に入るとか、

 王都から噂を聞いて新しい医師がきてくれる、

 そんなことを考えていたそうです。

 しかしその頃になると不良は大きくなりすぎたのです。

 外に出た男達を町へいれず、また

 情報がもれないように徹底的に潰していきました。

 そして病気のことは忘れ去られました。

「なるほど。じゃあパーシバルと私で2対面作戦といきましょうか。」


 コンコン。すみません!コンコン!

「なんだ?こんな夜更けに。どっかでみた顔だな。」

「ごほごほっ。」

「姉様が大変なのです!お医者さまに...」

「ほう。朝までに帰れるといいな。とおれ。」

 タタッ。

「姉様。こちらでよろしいので?」

「姉様などとおたわむれを。アーサー王様。ごほっごほっ」

「さてそろそろ。」

 ピーーー!笛の音が響く。

 なにがあった!  敵だ!  裏門の辺りだぞ!

 パーシバルが裏門の門番を叩き笛を奪って門の外、鰻屋の店前で定期的に吹く。

 その間に頭を押さえる。名付けて2対面作戦。

 タタッ。

「こっちに行けば1番偉い人がいるのですか?」

「いえ。こちらに地下牢があります。まずは捕われてる人達を助けます。途中取り引きつまり薬の売買が行われてる部屋があります。そこで運が良ければ人質を捕らえられます。」

 !。話し声が聞こえる。

 これこそが流行り病の特効薬にございます。

 ほう。さすがだの。医師であれば間違いなどないて。

(私がここを引き受けます。)

(姉様は地下牢へ!)

(はい!)

 タッタッ。

 アーサーは静かにアドマニッシュを引き抜き。

 切った。扉を叩き破り中へと押し入った。

 中には4人。アーサーが押し入ると剣とサスマタを構える。

 アーサーはサスマタを下から上に薙ぎ倒した。

 サスマタは重さで尻餅をついた。

 続けて剣を使わず足払いをかけてくる。

 後ろへ2歩。逆に自分の足の硬い部分にぶつけいなした。

 サスマタはまだ立ち上がっていない。

 両手で叩き折る。サスマタには剣より素手だ。

 後ろにいる剣を振り向かず、背に剣を伸ばし後ろ手で受け止める。そのまま前に勢いよく持ち直す。すると反動で剣が相手に帰っていくという訳だ。

「私はアーサー!この屋敷の取り引き現場を偶然見かけ、成敗しにきました!」

 太った漢は泡を吹いて倒れ、医師と見られる男は金を必死に拾っていた。

 ロープないな。どうしよう。

「アーサー王様!」

 姉様!あっ丁度いいや。その手錠を使いましょう。穴に剣先を突っ込んでっと。ガチャ。

(おおー。さすがアーサー王だ。)

(こいつが医師か!なんて悪そうなんだ。)

(こんなやつ殺してしまえ!)

 まずい...!なんとか...

 ドォーーーン!ゴォゴォ。

 火事だー!火事だー!屋敷から火が出たぞ!

「成敗とは誅悪!見殺しにするつもりはもうとうありません!」

 アーサーは手錠の繋がった男達を1人で抱え外に出た。

 ガゴォーン。屋敷は崩れて焼け落ちてしまいました。

「姉様。大丈、どこにいますか?」

(アーサー王!1人でこの屋敷を潰してしまうとは凄まじい!噂以上だ。)

「皆を助けたお姉さんはどこですか?」

(???。アーサー様が1人で乗り込んできたのでは?)


 まだ少し火が燻る中。

 一本の剣が崩れて、一本は焼けてしまった。

 アーサーが1人で乗り込み、

 1人で作戦勝ちしたと噂され、

 ・・・あれはだれ?


 12本目の剣読了。

 Thi・13本目の剣を始めますよろしいですか?









 魔眼名:盗賊の魔眼

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る