アーサー王100本の剣伝説

中村翔

始まりの木の妖精

 この大陸の西方・・・木の幹に刺さりし名剣ぬきし者・・・永遠の命燃やす者となるだろう。


 その剣が刺さった大木。それがこの名もなき木

 もちろんみんな伝説は知っている。

 たとえ暮らしが違えども、この伝承だけは知っている。

 どこで育てどこの剣のある場所は知っている。

 だけど誰もこの木の名前を知っていない。

 この幹の剣の銘をわかるものなどいはしない。

 そんな木に、大木に、刺さっている抜けない剣を今日も誰かが抜いている。

 それが誰かは分からない。いつしか誰も気にかけない。

 だけどこの世でたった"ひとり"その名剣を知っていた。

 いつしか彼は聞いていた。

 どうして彼女は聞いていた。

 彼が聞いたは昔話?彼女が見てるは未来の現世(うつしよ)?はたまたこれは夢幻・・・。

 そんな哀れな王の話、ここにあるのはその一冊

 買っていくかはあなた次第。売れて喜ぶ私たち

 はてさて今日はどんなお話か?

 さあさあここにお試しください。

 今宵はこんなおはなしです。


 ある大きな街に大きな誰もが知っている、名剣刺さりし大木がありました。

 そこに刺さった剣は誰のものでもなくまた、みんなの物でもありました。

『この剣、名剣につき、抜けたものに金貨をあげます。』

『この名剣抜けたら売って下さい!言い値で。要※相談』

 えぇーと。1番古い看板に描かれているのは・・・、

『王。後継を選定する。この名剣※※※※を抜きし者を養子また妻に迎える。最初の選定はー。』

 などとこの国の王が選定を始めたからさあ大変!この名剣が抜けないと分かるまでみんなで抜こう!この国を正せ!、とみんながみんなこの剣を抜くのに必死だった頃にまだ産まれてなかった僕。

 ひぃーふぅーみ。もう三百年前だったらしいそのせんてーは昼は子供の勇者ごっこに使われ、夜になると酔っ払いの勇気試し。

 誰もがこの剣と育ってきた。この剣に育てられてきた。

 そして今日が丁度三百年たった記念日だったので街はお祭り真っ最中ってわけ。

 でもお祭りに浮かれて主役のこの木には誰も近づいてこない。

 それも彼にはお見通しってわけ。

 彼はこの街に生まれて育った12歳の青年。

 彼には人に言えない秘密があった。

 幼き日にこの剣に触れた時妖精の声が聞こえた

 それは何もない木から発せられたしかしそれがあると実感を持って宣言出来る。そんな実像を兼ねた声だった。

 その日彼は剣を抜かなかった。抜こうとしなかったのだ。

 抜くとこの世が終わってしまう。そんなことを思わせてくる、そんな素敵な音色だった。

 でももういい。この世が終わるなら其れが定め

 ならば終わらせてしまえ。と。そう考えてこの木に足を運んだのだ。

 実際この世は終わればいいと思っているし、終わらなければそれはそれで。

 青年は抜くことにしたのです。一人で誰にも知られず終わるのです。

 でもそんなのやっぱりいや!そんな寂しいのは絶対いや!そう考えるのはワタシだけ?

 青年が木にたどりついた時、木からは甘い匂いがでていました。あれあれ?その香りにのせられたのか、街のひとも集まって来たみたい。

 ん?お前選定に挑戦するのか?よし、ならこの盟主さまが証人になってやろう!この場にいるやつもおまけだ!もってけぇ!

 おやおや?言いたいことだけ言うと倒れて寝ちゃいましたね。困った酔っ払いです。

 はてさて困ったのは街のみんな。盟主だか領主だか分からない酔っ払いが万が一本物だったら、青年が抜けなかったらどうなるか。

 しかし青年は抜くのをやめませんでした。

 青年にはもう死ぬか、抜くか。どちらかひとつしかなかったからです。

 手袋を脱ぐとまだ剣を持ったこともない手で触ると目を瞑りました。

 そして次に目を開けた時知らない妖精が目の前にいました。

 その妖精は、

 君の願いを叶えましょう。

 一つの願い。二つの祈り。三つの希望。

 青年は目を閉じて、考えて、目を開けました。

 すると、青年は尻餅をついていました。

 あー

 みんな呆れて物も言えません。

 青年は選定に失敗したのです。

 みんな仕方ないかと領主か盟主だかの男を起こして各々の家へと帰って行きました。

 青年も訳が分からず家に帰りました。

 青年がご飯を食べてるときも上の空。

 青年は早めに寝るといい、ベッドに向かいました。

 ですが青年、何かが胸に支えてしまいました。

 この胸の支えは?

 青年は、ハッとして外へと走り出しました。

 これは支えてるのではない!置いてきたのだ!

 あの木に!あの剣に!あの妖精に!

 それからどこをどう行ったかわかりません。

 剣の前まで行くと手袋を付けたまま剣を握りました。そして今。目の前には彼女がいる。

 さあ、願いは?

 不老不死になりたい!(女の子になりたい)

 では、不老不死の女の子になりたいと。

 え?じゃ、じゃあ。

 英雄になりたい!(女の子になりたい)

 では不老不死で英雄の女の子。

 ちがっ、なら

 世界一幸せになりたい!(女の子になりたい)

 分かりました。最後に聞きます。

 本当に不老不死で英雄の幸せな女の子になりたいんですね。

 では願いは叶うといいですね。サヨウナラ。


「おい!アーサー!聞いてるのか?アーサー!!!」

 寝ぼけてる頭に感に触る声。思わず

「うるさーい!!!!!!!」

 ドコォ!

「おぉー、いつもの鳩尾フィニッシュブロー。」

「お客さんやるねぇ!本業は剣士じゃなくてボクサーかい?」

「ははっ。笑える冗談だ。おやっさんも知っての通りこの娘はアーサー。騎士の頂点王たる所業。アーサー王伝説のアーサーだとしってるだろう?なぁ、アーサー。」

「いや、アーサーも何も人を殺っちまいました。」

「お客さん息!息してないよ!」

「おやっさん。気にしないでくれ。いつものことだ。それより例の55本目だったか?俺からしたら9本目だからこの次で約束は守ってもらうが?」

「嗚呼。正確には56本目だからこれが終わったら貴様には任を降りてもらうことになるし、王に褒美を貰える。」

「すぅー。なるほど、これで終わりならこの寸劇も哀愁があるな。ふぅー。」

「いや、煙い煙い。寸劇ってなにさ?お仲間死んでるのに。」

「アーサー。たまには乗ってあげるのは分かりましたがそろそろ本当に人工呼吸が必要な秒数に突入します。その前に手を打ちましょう。

 まずこの虫を鼻の近くに置いて下さい」

「?まあ分かりました」

「次にヘソからコブシ3個分ほど上のところを親指で上になぞります。」

「エェーとここ?スウー」

「スゥーーーーー・・・!ごふお!はっ鼻にムシがぁ!この!パーシー!変な知識ばっか身につけやがって!ムシが嫌いなのしってるだろ!」

「アームド、あなたが死んだふりで息まで止めてなければこの方法は効きませんでした。ちなみにムシが入ったままでいいのですか?」

「!!!どうしよう。」

「くしゃみをすれば良いのでは?」

「そうか!・・・ヘクシっ!あっこれか?って、ムシの置き物じゃねーか!」

「わかった。分かりました。」

『?』

「これ夢ですね。夢の中で寝ればそこは現実って誰かがいってるの聞いたことあります。じゃあおやすみなさい。クゥー」

「アーサー?寝てしまわれたか。次の剣のおさらいをしておこう。クーヤー。まずこの旅の目的は分かってますね。」

「嗚呼。この世の終わりとかいってたな。数十本の剣が刺さってる場所を巡ってその剣で伝説を作る、だったか?詳しくはしらん。」

「そうです。今まで55本の剣を抜き55、いやそれ以上かもしれません。伝説を成しえました。まず一本目は・・・」

「いや話さなくていい。アーサー王伝説ってのはあまりにも有名過ぎる。その一本目?とか本当にあったか分からない話まで沢山な。その多種多様性ゆえか母親が子供を寝かしつけるのにもちいられてるからな。」

「まあそうでしょうね。ならなぜそれが世界の危機なのか、ですね。まず世界に散らばる剣。

 これには魔眼と呼ばれるもの備わってます。

 代表的なのは、屈折の魔眼。これは実際に起きたことを違う認識に置き換えてしまう。というものでこの剣が刺さってる村では美男が醜悪。醜悪なものほど美男であると『男だけが』おもってる。と言う村でした。そのため子供ができず滅びの一途を辿っているという迷惑かつ恐ろしいものでした。そんな剣が世界各地に刺さってるんですよ?この国の王たるアーサーが解決するのもまた当たり前です。」

「まあその剣のことを魔剣なんて呼んでる所もあったがそんなところに限って消えちまうんだからな。クーヤーの国では神隠しっていうんだったか。そんなこんなで名剣なんて呼び名が一般的になったな。アーサー王100本の剣伝説なんていったりもするな。」

「その魔眼を持った名剣。それを抜けるのはアーサーだけ。そしてアーサーの持つ名、いや聖剣。その剣だけが魔眼を持った名剣を鎮め、浄化できるという剣という訳です。その浄化の作業こそが伝説を作ると言われている訳です。

 こればかりはアーサーにしか分からないと言われているものです。故にアーサーは王であり聖剣を持つことを認められている。という訳です。聞いているのでしょう?アーサー。貴女が記憶喪失だというのは薄々気付いていました。アーサー王。」

「・・・何が何だか分からないけど、まずその聖剣っていうのを見せてくれないと答えは出せない。」

『はぁー。』

「アーサー。腰の鞘に刺さっているのは?」

(ガチャッ)

「これ・・・?意外に質素ででも、見たことがないようなカタチ。そして指にすっと馴染んで信頼できる。そんな剣。本当に聖剣が・・・?」

「それがアーサー王の剣です。その剣に銘はまだありません。それは魔眼の名剣に名前を付けると浄化の第一段階に入ると言われているからです。実際名前を付けて三日持った剣はありません。それで縁起担ぎというわけです。」

「この剣を見て分かりました。改めてよろしくお願いしますパーシー?とえっと?」

「私がパーシバル、黒髪の男がクーヤー漢字というものでは空也というらしいですがクーヤーで通してもらってます。そして死んでるのがアームドパルト。」

「えっとあとこの娘とか貴女とか言ってるけどこれでも男なので・・・」

「・・・やはり前の村の剣の影響でしょうか。」

「あんた立派な女だぜ。しかも美少女。ここから見える純白のパンツがそれを表して・・・ごはあっ!」

「アーサー。その位置からなら見えてません」

「そっか。じゃあこれからは私って言った方がいいかな?喋り方も・・・」

「喋り方は前より良くなっていますよ。お淑やかな村娘といったかんじで。」

「じゃあよろしくね!パーシバル!クウヤ!アームドパルト!」

「さて。もうすぐ目的の村ですぜ旦那。」

 55本〜56本目閑話休題読了

 Thi・一本目の剣を始めますよろしいですか?

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