第一章 知理和の知ったかぶり 第1話

「和かった、知った、理解した。」

 あの事件の最初は確かあの奇妙な依頼からだろう。

私は佐伊野目 知理和。佐伊野目家の長女で、双子の妹。家族からは知ーちゃんと呼ばれている。私が17歳の時起きたあの事件。私達一家の掟を破ることになったあの事件。依頼以外で能力を使ってはいけないと言う約束。今までは守ってきた。約束を破ったらどうなるか和かっていたから。

 その年の8月、奇妙な依頼がきた。

「知ーちゃん、無知が読んでた。」

そう指漢ちゃんが教えてくれた。

"わかりました。ありがとうございます。"

そう伝えて母のところへ向かった。私達家族は母のことを無知と呼ぶ。何かあったのだろうか。急がなくては。

「失礼します」

部屋に入ると母と志無がいた。志無とは私の兄の和志無維のことだ。母は

「遅かったね、知ーちゃん。無指ちゃんが伝えるの遅かったかなぁ。」

そう言われた。私に伝えにきたのは無指ではなく、指漢だ。それを正直に伝えると志無が

「必要以上に能力を使いやがって、相変わらず。無知も注意したほうがいいと思うぞ」

と言った。志無は言葉が強い。説得力だとかがすごくあって、私とは大違い。そんな志無に無知は特色だと言いくるめた。それから要件を伝えられた。

「要件はある部隊の制圧。部隊名は

『事件解決特別捜査部隊・特殊人物隊"欠陥指示隊』いい噂を聞かない部隊よ。気を付けてね、

2人に限ってミスはないだろうけど、心配よ」

と言った。

 次の日、朝から出かけた。相手のことを知るために。流石に相手のことを知らずに行くのはいくら私達でも危ない。だから、寺冷君達に手伝ってもらって身を隠しながら力量を測りにあった。

私と志無しか使えない気呼と言う能力を使って相手の力量を測った。意外にも年齢通りの力量で少し安心した。その矢先、寺冷君達が倒れた。

「寺冷、維単時。大丈夫か?なんでだ?」

そう言って志無が2人に問いただした。私も2人に触れた。2人の体温は熱く、良く良く見てみると顔色は悪く、息も荒い。何をしていた、私は。こんなことにも気づかないのか、油断しすぎた。過信し過ぎた。2人が危ない。

私と志無が考えることは同じで、

「理和。力残ってるか?」

そう聞かれた。あるに決まっている。弟達を助けられないような能力ならあったって意味ないのだから。私たちはその場を離れた。家族を守るために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

静かなる事件 天ヶ瀬羽季 @amauki_2023

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ