1章③
美味しいフォレストベア(ハチミツモード)なお肉というお土産を手にいれた俺たちは少しの休憩の後、爪痕があったという森に入る。
「報告のあった爪痕はまだ先という話だが、村に近付いてきていないとも限らん。木の上にも注意しつつ進むぞ!」
「「「「「はっ!!」」」」」
サティスさんの言葉に騎士たちは遅延なく答え、俺とセシルは「好きに動いていい」とは言われているもののサティスさんの護衛をしながらついて行く。イルは木々を飛び渡りながら俺たちの近くを移動する。イルが乗るには細い、と思うような枝でもイルは風魔法を器用に併用し、強弱をつけて枝に乗りつつも音もしなりもしないという絶妙な力加減で動き回る…。俺の魔力操作も相当なものだと思っていたが、イルには劣るかもしれない。イルのように日頃の動きにも魔力や気力の操作訓練を取り入れるべきなのか…?
街中では『封じの腕輪』を基本してないといけなくて、訓練場なんかでは外せるのだけど…あれって普段から効いている感じがしないんだよね。神獣は縛れないのかな? 神力が何か影響している可能性もあるか。
しばらく進むが村の付近で爪痕が見つかったという報告はない。
木々を飛び回るイルも何かを見つけた様子はないから村周囲は今の所安全だと思っても良さそうだ。
さらに進み、話の通りならそろそろフォレストベアが討伐されたと思われる場所に近づいたとき、イルが「キュキュッ〜!」と鳴いた!
(………イル、そんな鳴き声だったの?!)
俺が障壁を使ってイルの所まで行けば―確かにそこには大きめの3本の爪痕が残っていた。
木の幹に残るソレは言われてみれば確かに不自然なモノだ。
ただ、〝フォレストベア討伐〟の依頼中に俺が気付けたか?と言われるとおそらく気付けなかった可能性が高い。
なまじ〝気配察知〟や〝魔力感知〟があるだけに、目的の魔物一直線で、村周囲の様子にまで目を向けなかっただろう…。
これがダンジョン内ならそれで良いだろうが、人の生活圏においてはそれでは駄目だ。
俺が冒険者としてはまだまだハリボテだと実感した。
(次に依頼を受ける余裕ができた時はこういう人の生活圏に関わる依頼を受けるのが良いかもな。……教えられるセシルが
そう考えた後―スズのようにセシルが動けなくなった場合は男性アルティスパーティーに頼めば良いかと考え直した。
イルの発見をきっかけに、周囲の騎士たちからも爪痕発見の報告が相次いだ。
それはフォレストベアが討伐されたと思われる場所でも続く。
「…妙ですね。」とラディさんが言えば「そうだな。」とサティスさんも同意する。
何が妙なのか。聞けば教えてくれるだろうが――「フォレストベアと〝爪痕の主〟が争った形跡がないこと、ですね?」と自分で考えようと思っていたらセシルがあっさりとそう言う。
「…ああ、もしかしてあの爪痕は〝縄張り〟ですか?」
俺はセシルの言ったことですぐに何か争うような原因があると3人が考えたのだと分かった…のは良いけど、できれば自分で考えて気づきたかったとも思う。ただ今この場は俺の教育の場ではない。だからセシルの対応で間違いはない―のだけど、今度セシルにはこの『お礼』を返そうと思う。具体的には夜に―――
俺のその〝決意〟を感じ取ったのかセシルが一瞬震え、何か寒さを耐えるように肘を抱えながら辺りをキョロキョロ見回す。
俺が「セシルどうかした?」と問えば「一瞬何か寒気が―」というが「多分気のせいだよ?」と俺は笑顔でサラッと流したのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
短くてすみません!
最近寝落ちが―――(笑)
次回更新は4月13日(日)の8時予定です!
次回はもう少し長く書けるように頑張ります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます