ソシャゲVTuber、出会いと別れ

アーカーシャチャンネル

どちらが現実で、どちらが虚構か?

『ソーシャルゲーム、それは一期一会ともいえるような存在』


『ソーシャルゲーム、SNS上ではガチャの話題しかつぶやかれないことが多い存在』


『ソーシャルゲーム、サービスが終了すれば、もう二度とプレイはできない存在』


 話題となっていたバーチャル配信者の動画を見ていたのは、動画の人物とは違うバーチャル配信者だ。


 彼女は、彼のいう事にも一理はあるだろう、とは思いつつも実際には何かが違うと感じている。


「ソシャゲと言っても、タイアップ系は元原作は存在し続けるし、オリジナルでもメディアミックスであればそちらをチェックできる……」


 彼の言い方では、明らかに対立煽りや広域炎上を狙っているようなフェイクニュースの類と同レベルでしかない。


 間違ってはいない事でも、そこだけを大きく言及すればファンは減っていくのは明らかである。



『様々なソシャゲがあっても、それに触れる機会がなければ忘れされていくだけ』


『その一方で、不向きなジャンルのソシャゲを無理に薦めれば、それこそ炎上に加担するだけ』


『ソシャゲにもいつかサービス終了するときはあっても、それは単純な別れとは思わない』


 別の日、バーチャル配信者のライブ配信では様々なソシャゲの歴史を語りつつも、重要なのはそこではない、と言及する。


 他の配信者は人気タイトル以外は衰退するとも切り捨てるような発言に対して、彼女の対応はそれとは一切異なっていた。


『同じプレイヤーとの交流、相手プレイヤーとのバトル、様々なものは心に残り続けます。そのソシャゲが終わっても……』


 その後も彼女は配信を続け、視聴者にソシャゲとは何なのかを改めて語ったのである。


 マイナスイメージだけで語って炎上を広げようとするのではなく、ソシャゲの存在を彼女は改めて語ろうとしたのだ。



 しかし、バーチャル配信者を題材としたこのソシャゲはわずか数か月でサービス終了をしてしまう。


 原因は炎上やガチャと言った箇所でもなく、だからと言って事前登録者数でもない。テレビCMこそ打たなかったが、10万人規模のプレイヤーもいた。


 理由としてはバーチャル配信者のモデルがリアルで存在するバーチャル配信者と似ていた、過度なパロディがまずかった、様々な事が言われている。



 後日、運営が発表したところによると『トライアル』だったという事が判明する。


 つまり、本格サービスを行おうとしたが想定しているほどの反応がなかった、という事らしい。これも、出会いと別れと言えるだろう。

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